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無責任な魔王は常に◯◯する。  作者: 珀武真由
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母のこと。エセ天使のこと、。すごくむかつくのは幼な過ぎた上の後悔なのか

おはようございます。こんばんは。こんにちは。そしてお疲れ様。


 黒く広がる空に、満遍なく散りばめられた光の粒は何かを夢見るように輝いていた。


 魔王城の一角のバルコニーで、アデルと酒を酌み交わし、満足したハインが椅子に腰掛け無防備に寝ている。


 「ふふ、寝顔はまだ無邪気だな」


 寝ているハインに、ブランケットを掛け、笑うアデルがいた。


 「ん。母殿」

 「おお、珍しい。寝言を言うて。どんな夢を見ているのかな」


 アデルは、ハインに微笑みまだ一人でしっぽりと酒を飲んでいる。


 寝ているハインは、意識を夢に預け、昔の記憶へと身を沈めていた。


 (ここは・・・そうか、夢の中だ。だが夢は夢でも単なる夢ではない。昔・・・の記憶。遠い、遠い、昔・・・)


 「母殿、コレは」

 「それは、バッタ」

 「ふうん」


 《グシャ》


 「コラッ、命を粗末にしない」


 手に、囲むように持っていたバッタを、いきなりハインは握りつぶし、母に叱られていた。


 幼いハインは、よく母に山や川、時には野原など色々な緑あふれる平地へと連れては何やらもの思いに更けている母に付き合わされる。


 「母殿、また空を見て何があるのです? 空には月光城とお月が二つ在るだけです」

 「ええ、そうね。天界とここを結ぶ月光城と月が在るだけだわ」


 空に、天界との扉を繫ぐ月光城と、月が二つ浮いている。


 (そうだ。昔は、月が二つに、城が浮いていた。白く美しい天界との扉とも言える城が。だが、今は無い。なぜ、無くなったのか)


 夢の中で考えるハインは、母との思い出の続きを見る。


 悲しそうにカノンは空を見ると、ハインの手を握り取るのだが、あることに驚き手を離す。


 「! 虫」

 「あっ、ごめんなさい。手」


 手を広げると、先ほど握った虫が、そのままだったことに気づき、困った顔のハインにカノンは微笑む。


 「まったく、この子は。ほら」


 小さな手を広げるハインに、カノンは魔法を使い、つぶれかけたバッタを治し、手の浄化もしてあげた。


 《ピヨ~ン》


 跳ねるバッタを見てハインは笑う。


 「母殿はやさしい」

 「あらっ、ハインもやさしいわよ。でも、もう少しだけ気にかけようね」

 「うん」


 手を引かれ、カノンと一緒に城へと帰るハインがいた。


 「爺、コレはこうだ」


 城に戻ったハインは、アデルと子供部屋で楽しく遊んでいる。積み木を手に遊ぶハインなのだが、木を積むわけではなく、なにも考えず、ことごとく壊し続ける。


 「おお、そうか。でもそれは、積むものであって壊すものでは無い」


 まだ幼いハインには、積み木の意味が分からず、手に持つ物、全てを壊していた。


 「ハインはやんちゃだ。困ったものですね」

 「本当に、そういうとこだけは、あの人そっくり。物を物と思わず無責任に壊す。まぁ、小さな子のこととはいえ困ったわ」


 小さくぼやくと、ハインを見ながら、椅子に腰掛けカノンは笑っている。


 「母殿、コレは戻せるか」


 握りつぶしたカップをカノンに見せ、直すように手を広げるハインがいた。

 ハインの手は、カップの破片が刺さり血が出ているが、物怖じしない姿にカノンは驚く。


 「ハイン、物を壊してはダメ! 自分から壊すものではなく、自然と物は壊れるの。自分から壊すのは理由が有るときだけにしなさい」


 ハインと同じ、紫色の瞳が淡く光り、ハインを叱るが、まだ幼いハインにはよく理解出来ず頬を膨らませ怒っている。


 「良く分からん。ともかく、戻せるか」

 「ハイン・・・」


 怒るハインに、困りながら手を治し、カップを戻すカノンがいる。

 だが、カップは形づくるものの一欠片だけがなく、そこの部分だけ欠けたままであった。


 「あらっ」

 「ふふん、母殿。見て、見て」


 得意気な顔をしてハインは、カノンに魔法を見せる。逆蘇生構築魔法を披露しカップの形を戻すと鼻高々に笑った。


 「ハインっ。いつからそれを!!」


 驚くカノンは、力強くハインの腕を握るも、いきなり咽せて吐血する。


 「母殿」

 「カノン」


 床に手を起き、咽せるカノンをアデルが抱きかかえ、ソファへと置くと背中を撫でる。

 紫の瞳は弱く光り、ほっそりと整った顔に白い肌は陰りを見せる。


 「ごめん、ぼく。そんな怒るなんて」

 「いいの。でも、その魔法は人前ではダメ! 特にお前の()を名乗る者の前では絶対使わない。ううん、その人の前では魔法は使わないで。あと翼も」

 「うん、翼は絶対見せない。誰にも」

 「ありがとう。ハイン、お願いよ。ふふ。少し寝るわね。お父様、良いかしら?」

 「ああ、ハインは見てるから、お眠り」


 静かに眠りにつくカノンを、ハインは心配そうに見つめると、アデルがハインを抱きかかえ椅子に座る。


 「ハイン、構築魔法はいつから?」

 「ええと、この前から・・・」

 「カップは、魔法を見せる為、わざと割ったのかな。ンン」

 「・・・ごめん。まさか、怒られるとは。ぼくの父殿は誰? 聞くと母殿は怒るしぃー」

 「・・・・・・」

 「天使様? 噂は、ほんとなのか」

 「・・・・・・・もう、寝なさい」

 「爺・・・実は、この間。天使様にあった」

 「!!」

 「ぼくと同じ銀の髪に翼の数はぼくより少ないけど、一つだけ。同じ形の翼があった」

 「ハイン、今日は寝なさい。話しはまた、今度だ」

 「爺ぃ」

 「ハイン」

 「・・・おやすみなさい」


 無理矢理寝かされたハインは、ベッドの中でもそもそと、布団に潜りぐずり始めた。


 「ハイン、大丈夫?」


 心配したカノンが、布団の上からハインを撫でると、ハインは顔を急いで出し、泣きそうにカノンにしがみ付いている。


 「母殿、大丈夫?」

 「ふふ、先ほどよりは。いつも心配させてごめんね」

 「ううん」

 

 生まれつき身体の弱いカノンは、ハインを産んでからますます弱り、治癒魔法で延命しているが、原因はそれだけではない。


 「・・・母殿の翼をもいだのは父殿なの」

 「なぜ、聞くの? 母の翼は、軟弱な母のせいで抜け落ちなくなった。それだけですよ。さぁ、寝ましょう」


 (なぜ、あの人と、お父様しか知らないことをこの子が。まさか)


 一緒に布団に入り、静かに寝つくハインの小さな背中を撫でるカノンは、不安に押しつぶされ始めた。


 (いつも、空を見上げ不安になる。あの人がこの子を取りに来ないようにと。だけど、来たのね。たぶん・・・)


 穏やかな日を過ごし、カノンの教えもあってハインは物事に少し責任を持つようになり、アデルの教養もあり、より賢く良き幼少と育つが、まだ幼いゆえに無鉄砲のところは多々あった。


 「母殿、今日は花が綺麗に咲いていたのと、何故か花を摘んだら蝶が釣れた」

 「ハイン、それは寄ってきたの間違いでは?」

 「そうか。母殿に、はい」


 摘んできた花を、カノンに渡しては、庭を走るハインがいる。


 魔王城の庭で、たくさんの花に囲まれ、カノンが地面に腰を下ろし寛ぐ横で、ハインは花を積み大人しく遊んでいる。


 「ハイン、今日は虫はいいの?」

 「それがな母殿、ここ最近、虫が「おじぎ」するんだ。気持ち悪い。だから暫くはいい」

 「虫が「お辞儀」? クスッ、ハイン。何かしたの」

 「いや、ここ最近は、つぶしてもおらんし、捕まえてもおらん。はい」


 笑顔で楽しく過ごすカノンは、空を見上げるが、前のように不安がよぎることなく平穏と過ごしていた。


 忘れた頃に、暗雲は急に訪れる。


 庭を走っていたハインは、人にぶつかり倒れるのだが、見上げ驚いている。

 そこには、翼を持つ黒い影が佇んでいた。


 「なんだ、貴様。なぜここに居る。天使風情が、ここをどこだと」

 「魔王城だ。そして目の前に我が息子と、元恋人がいる」

 「なっ、離せ」


 いきなり、腕を捕まれ持ち上げられるハインは、腕を捕む者を蹴り上げる。

 だが、その者は微動だにせず、ハインを持ちぶら下げ、カノンの方へと歩いて行った。


 「フフ、たくましく育ったものだ。なぁ、カノン。コレがハイン、我が息子。会うのは二回目だがな」


 父と名乗る天使との二度目の邂逅であった。

 

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