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無責任な魔王は常に◯◯する。  作者: 珀武真由
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大人のわがままに子供を振り回すなんて困るなぁ②

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

 

 空間を通り、ある部屋へと足を着けたラスクはそこでハインとルーを見つける。

 その部屋は、魔王城の一角にあるのだが、ハイン以外、特別な者しか知らない部屋だった。


 部屋のベッドの上では、ルーが横たわり、散らばる無数の羽根の中にうずくまる身体はゆっくりと頭をもたげたが、支える腕に力は無く、崩れるとそのままベッドに転げた。


 「ルー? だよね」


 気構えていた聖槍をラスクは手の中に戻し、ハインの様子を覗いながらルーに歩み寄る。

 ベッドの上に寝転がるルーを見て、ラスクはあまりの美しさに声を荒げた。


 「!! 綺麗!」


 (ルーの周りに散らばる黒と銀の羽根は、ルーの綺麗な瑞々しい真珠のような白い肌をひときわ目立たせ、目の前に・・・・ッ)


 ベッドの上で寝転がるルーの周りを、黒と銀の羽根が覆い囲み、白い羽根も少数混ざり、羽根だけでも芸術品かの如くルーを中心に渦巻き散らばる中、ルーの流れる金髪、真珠のような白いなめらかな肌、艶めかしい身体が包まれ輝いていた。


 (なんだろう。神々しい、ものすごく綺麗! 僕、立つのがやっとだ)


 固まり動けず、ルーにクギ付けになる、ラスクを見てハインがつぶやく。


 「綺麗だろう・・・一晩、一日貪り続けた。まだ、足りない」

 「貪るって・・・僕に聞かすこと?」


 返事をするラスクの顔は耳まで赤く、ハインの一言に恥ずかしさを感じている。

 机に、腰かけていたハインがラスクに微笑むと立ち上がり、ルーが寝転ぶベッドの端に座りなおした。


 「綺麗だ。俺のルー。天使のルー。そして今は・・・・堕天に成りつつあるルー。」


 哀しそうにルーを見るハインは、そっとルーの金の髪を手ですくうと口づけ握りしめる。

 その、ハインの仕草に照れるラスクがいる。


 (おじさん、無駄にカッコいいからこういう仕草や所作振る舞いが絵になるんだよな。うらやましい。良いな、絵になる男って)


 「堕天ってどうして? でも見た目は」


 不思議がるラスクが、ルーの脇腹を見て驚くとハインがルーの脇腹を優しく撫で、もう片方の手で、自分の髪をつかみ悔しそうな表情を見せている。


 「その脇腹の刻印・・・ハインの(あか)し。魔刻紋だね」

 「・・・貪り、注ぎ過ぎた。だから、いつも加減して・・・バカッ」


 いつもと、様子の違うハインがいる。


 まるで子供のようにルーを眺め、放つ口調にラスクは少し戸惑い、いつもは見せないハインの表情が悲しく、同じようにつられ、悲しくなっていた。


 「・・・ラスク、お前を呼んだのは、お前がまだ、()()で、浄化力がたぶん俺より上だからだ」

 「えっ? 浄化力って僕、僧侶の類の魔法はまだ覚えてはいないよ」

 「その槍・・・面白半分で与えたが、聖なるモノには変わりないしな」

 「ああ、これ」


 ラスクは、手にもう一度、聖槍を出すと振り回した。


 「フッ、気に入ってるな、それに使いこなしている。良いことだ」

 「・・・悪魔に墜ちるかも知れない人間に聖なる槍か・・・もしぼくを突けば、その槍、は大いなる聖槍となるだろう・・・」

 「ルー・・・そう言うな、悲しくなる。だが試してみるか」

 「・・・」


 (ハインには、口に出して言えないが、今は消えたい。その槍でぼくを消してほしい)


 返事なく、顔を背けると自分の脇腹の魔刻紋を眺め、溜息をつくルーがいた。

 顔に陰りがあり、生気をなくしたかのように気落ちする身体を引き寄せるハインにルーは、離れようとはね()けるが、強引に引き寄せ口づけを交わされる。


 口付けをルーと交わし、ラスクを見るハインがいた。


 魔刻紋が見えるように、ルーの脇腹をラスクのいる位置に置き目配り、ハインは(ひそ)やかに合図を送る。


 「うん」


 ラスクは、頷くと槍の切っ先をルーの脇腹に差し向け突き立てた。。


 《ギャギイィィィン》


 「なっ」


 突き立てられた槍を、魔刻紋は拒むように障壁ができ、貫かれるのを塞いでいる。

 槍と魔刻紋はせめぎあうと、槍は弾かれラスクの手を離れ後ろの壁へと突き刺さった。


 「・・・・うむ。さすが俺」

 「いや、感心してどうするの。おじさん」


 怒るラスクをよそに、ハインはルーを抱きしめ、笑ってはいるが内心は焦っている。


 (刻紋は俺のモノの証し。男はただ手に入るだけだが、女の場合は、必ず身篭もる。どうすれば・・・・あれ? ノアは刻紋がない。同意と強制の違いか?)


 思考を巡らせる、ハインとラスクは同じことを考えていた。


 (あれれ? たまにノアと風呂一緒するけど見たことないよ? 刻紋)


 二人が顔をつき合わせ、考えているとハインに抱かれ、二人の間にいるルーがつき合わされた顔を見て笑う。


 「クスッ、ヘンな顔の二人・・・いいよ、ハイン。僕が半分望んだようなものだ。堕天に身を落とし罰を受けるよ」

 「ルー・・・」


 ゆっくりと、ハインから離れると態勢を整えルーの方から抱き付き、二人はラスクの前で恥ずかしげもなく深く口付けあっている。

 二人のキスシーンを見て、耳まで赤らめ立つラスクがいた。


 「なんだ? フォリシアとは、まだ口づけないのか?」

 「おじさん!」

 

 茶化され、笑われるラスクは、視線を下に落とし、もじもじとすると口を尖らし、ハインに話す。


 「僕と、シフォンはそのなんというか」

 「おっ、新しい名を与えたのか。そうか、シフォンか、お前と同じで旨そうな名だ」


 照れるラスクにハインは微笑むと、ルーの髪を撫で強く抱きしめている。


 「・・・・堕天は免れないのか!? いや、(すべ)はあるはずだ」

 「術は、あるよん」


 悩むハインの問いに、いきなり応える声が現れ驚き、声のする方を直視する二人が、ますます驚いている。


 「アデルお爺ちゃん!」

 「爺!」


 すらりとした身長に、あまり老いを感じさせない紳士がラスクの後ろに佇み、二人の顔を覗き込むと顎を撫で喜んでいる。


 「二人で何を話し込んでいるのやら、まぁ、お爺ちゃんは二人の孫が揃って嬉しい」


 ラスクを抱き上げ、頭に顔をすり寄せ喜ぶ、老紳士はハインの爺、アデルという名で『元』魔王で、今は『大』魔王である。

 醸し出す雰囲気や、仕草はやはりハインに似ており、身長も高く背筋が整った姿、少しだけシワのある貫禄ある面立ち、ハインと同じ紫の瞳にまだ『現役』を張れるほど魔王の覇気をまとってはいるが、今は『大』魔王としてこの魔界の統治を見守っている。

 最近では、ラスクも孫のように可愛がり、ラスクに会うたびに「孫」を連発させていた。


 アデルが、姿を出しハインをさらに困惑させている上に、ハインの求める「答え」を持っていると言う爺に、内心は喜ぶも不安を感じるハインがおり、アデルの方はというとニヤケ顔をしている。

 二人、見つめにらみ合っている。

 アデルの腕に抱かれ、間に挟まるラスクは軽く溜息をつくと少し安心したのか、緊張がとけていた。


 

 




ありがとうございます。

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