おじさんはどこにいるのか誰か僕に教えてよ
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
先日の雷が嘘のように、青空が拡がり、木々は風を受けると枝を揺らす。
鳥が鳴き、羽ばたくと同時に、洗濯カゴを持つノアが空を見上げた。
(ルー様はあれからどうされたのかしら? やはり、ハイン様の所へ?)
洗濯物を干すノアは、考えながら服のシワを伸ばしている。
「あー。もう、ノア様休んで下シャイ。私がハイン様に怒られマシュー」
世話好きの、ハイン直属掃除係のスクリューム(二話参照)が、ノアの手足となり面倒も見ている。
妊婦だが、妊婦らしからぬ動きをするノアに何かと手を焼いていた。
スクリュームが、ノアの洗濯物を奪うと干し始め、小言を言いながらシワを伸ばし、干し終えるとカップとポットを用意した。
「はい、はい、座って、座って。何か食べマッシュ? 飲みマシュー?」
せかせかと動き、ノアをテラスに招くと床にクッションを敷き詰め座らせた。
ブランケットを、ノアの膝に掛けると横で、紅茶をコポコポと淹れ始める。
「もう、過保護すぎですよ。これぐらい動いても大丈夫です。本当に」
クスクスと笑うノアに合わせ、スクリューも笑い出し、注いだ紅茶のカップをノアの手に渡すとフワフワと浮いていた。
「ごめんシャイ。加減が解らんデシュヨ」
「ありがとう。気持ちだけいただくわね」
微笑みながら、紅茶をいただくノアの所に、ラスクが駈け寄ってきた。
「ねぇ、ノア。おじさん知らない? 約束の時間なのに、待ち合わせに来ないんだ」
「あら、珍しいこと。ハイン様は約束は守るお方なのに……」
「うん。初めて、こんなこと。どうしたんだろう。本当に」
《コポコポ。コポコポ………》
ラスクの耳に、ノアの中の鼓動が届くと心配そうにノアを覗くラスクがいた。
あまり自分をさらけ出さないノアだが、ラスクから聞くハインの様子に少し不安なのか、カップを握る手が震えている。
(ハイン様は、約束は守るお人なのにどうしたのかしら………ここ最近も、姿をお見せにもならない………何かあったのよね。たぶん)
「ノア、何か不安でもある? 僕で良かったら聞くよ」
「ありがとう。大丈夫よ」
「いや、大丈夫じゃないよ。不安が伝わってくるよ。僕、そばにいる」
「まっ、ありがとう。ではしばらく横になるから、そばにいてくれるかしら?」
「うん。いる。おやすみ、ノア」
「ふふ。ありがとう」
《ポッ……コポコポ》
「あっ、ごめんな。不安が伝わったかな? そんなつもりなかったのにごめんよ」
《ポッ・・・・・・》
まるで、ラスクと会話をするように相づちを打つ鼓動に、ラスクは安心し、ノアのまだ目立たない腹を撫で、隣で落ち着いてはいるが内心は少し不安に思う所が在るらしく・・・・。
(んー、凄いなこの子。おじさんの子だけ在って視えてるんだ。そうか、おじさん。ルーと寝てるんだ。う~ん)
ハインの子によって視させられたモノに複雑さをおぼえている。
(困った。僕まだ十二なんだよね。まぁ、ここに居るからというかおじさんの所為で慣れてはいるけど・・・複雑~)
《コポポポポポ・・・・》
まるで、ラスクをあざ笑うかのように、鼓動が波打ち騒いでいる。
また、音を耳にするラスクはノアの寝顔をチラ見したあと空を仰いだ。
隣で、スクリュームがポットを片してると、命令を出し扱き使い始める。
「おいっ、スクリュー、お腹空いた。手で摘まめる食べ物いっぱい用意してよ」
「はいはい、何を召しマシュー?」
「なんでも良いよ。美味けりゃね」
「まかせんしゃい」
喜びながら用意しに行くスクリュームがいる。
「おじさん、何やってるの。大人ってバカなのかなぁ。クスクス」
小言にならない小言を吐き捨てるラスクは、またノアをチラ見すると腹を撫で、笑っている。
「お前、おじさん以上の大物になりそうだなぁ。なるかな? どっちかなぁ」
笑い尋ねる、ラスクの問いには答えず、静かにノアに合わせ寝ている子がいる。
風が気持ちよく、ラスクの頬を撫で、木々の枝を揺らし風が抜けていく。
風を感じ、スクリュームを待つラスクの頭は、ハインのことではなく、これからいただく食事に思い馳せていた。
(やはり子供なんだな。僕)
自己完結するラスクがいた。
お疲れ様です。ありがとうございます。




