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無責任な魔王は常に◯◯する。  作者: 珀武真由
20/62

おじさんはどこにいるのか誰か僕に教えてよ

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

 

 先日の雷が嘘のように、青空が拡がり、木々は風を受けると枝を揺らす。

 鳥が鳴き、羽ばたくと同時に、洗濯カゴを持つノアが空を見上げた。


(ルー様はあれからどうされたのかしら? やはり、ハイン様の所へ?)


 洗濯物を干すノアは、考えながら服のシワを伸ばしている。


「あー。もう、ノア様休んで下シャイ。私がハイン様に怒られマシュー」


 世話好きの、ハイン直属掃除係のスクリューム(二話参照)が、ノアの手足となり面倒も見ている。

 妊婦だが、妊婦らしからぬ動きをするノアに何かと手を焼いていた。


 スクリュームが、ノアの洗濯物を奪うと干し始め、小言を言いながらシワを伸ばし、干し終えるとカップとポットを用意した。


「はい、はい、座って、座って。何か食べマッシュ? 飲みマシュー?」


 せかせかと動き、ノアをテラスに招くと床にクッションを敷き詰め座らせた。

 ブランケットを、ノアの膝に掛けると横で、紅茶をコポコポと淹れ始める。


「もう、過保護すぎですよ。これぐらい動いても大丈夫です。本当に」


 クスクスと笑うノアに合わせ、スクリューも笑い出し、注いだ紅茶のカップをノアの手に渡すとフワフワと浮いていた。


「ごめんシャイ。加減が解らんデシュヨ」

「ありがとう。気持ちだけいただくわね」


 微笑みながら、紅茶をいただくノアの所に、ラスクが駈け寄ってきた。


「ねぇ、ノア。おじさん知らない? 約束の時間なのに、待ち合わせに来ないんだ」

「あら、珍しいこと。ハイン様は約束は守るお方なのに……」

「うん。初めて、こんなこと。どうしたんだろう。本当に」


 《コポコポ。コポコポ………》


 ラスクの耳に、ノアの中の鼓動が届くと心配そうにノアを覗くラスクがいた。

 あまり自分をさらけ出さないノアだが、ラスクから聞くハインの様子に少し不安なのか、カップを握る手が震えている。


(ハイン様は、約束は守るお人なのにどうしたのかしら………ここ最近も、姿をお見せにもならない………何かあったのよね。たぶん)


「ノア、何か不安でもある? 僕で良かったら聞くよ」

「ありがとう。大丈夫よ」

「いや、大丈夫じゃないよ。不安が伝わってくるよ。僕、そばにいる」

「まっ、ありがとう。ではしばらく横になるから、そばにいてくれるかしら?」

「うん。いる。おやすみ、ノア」

「ふふ。ありがとう」


 《ポッ……コポコポ》


 「あっ、ごめんな。不安が伝わったかな? そんなつもりなかったのにごめんよ」


 《ポッ・・・・・・》


 まるで、ラスクと会話をするように相づちを打つ鼓動に、ラスクは安心し、ノアのまだ目立たない腹を撫で、隣で落ち着いてはいるが内心は少し不安に思う所が在るらしく・・・・。


(んー、凄いなこの子。おじさんの子だけ在って()()てるんだ。そうか、おじさん。ルーと()()()()()。う~ん)


 ハインの()によって視させられたモノに複雑さをおぼえている。


(困った。僕まだ十二なんだよね。まぁ、ここに居るからというかおじさんの所為で慣れてはいるけど・・・複雑~)


 《コポポポポポ・・・・》


 まるで、ラスクをあざ笑うかのように、鼓動が波打ち騒いでいる。

 また、音を耳にするラスクはノアの寝顔をチラ見したあと空を仰いだ。

 隣で、スクリュームがポットを片してると、命令を出し()き使い始める。


「おいっ、スクリュー、お腹空いた。手で摘まめる食べ物いっぱい用意してよ」

「はいはい、何を召しマシュー?」

「なんでも良いよ。美味けりゃね」

「まかせんしゃい」


 喜びながら用意しに行くスクリュームがいる。


「おじさん、何やってるの。大人ってバカなのかなぁ。クスクス」


 小言にならない小言を吐き捨てるラスクは、またノアをチラ見すると腹を撫で、笑っている。


「お前、おじさん以上の大物になりそうだなぁ。なるかな? どっちかなぁ」


 笑い尋ねる、ラスクの問いには答えず、静かにノアに合わせ寝ている()がいる。


 風が気持ちよく、ラスクの頬を撫で、木々の枝を揺らし風が抜けていく。

 風を感じ、スクリュームを待つラスクの頭は、ハインのことではなく、これからいただく食事に思い馳せていた。


(やはり子供なんだな。僕)


 自己完結するラスクがいた。


 


お疲れ様です。ありがとうございます。

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