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無責任な魔王は常に◯◯する。  作者: 珀武真由
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美味しい菓子を持って来い!

おはようございます。こんばんは。こんにちは。お付き合いしていただきます。ごめんなさい。

 

 エプロン姿に、泡立て器とボールを持つ悪魔大神官グレイがいる。

 先日、失態を犯したグレイは、ハインに菓子作りを強要させられていた。


 「ああん、グレイ様、そこは空気を入れてニェり込みます。そうそう、そこでヘラに変えて粉を三回にニャけて入れるニャー」


 言われたことに、あくせくと腕を動かし必死なグレイの横で、ネコ耳を動かし様子を覗う菓子づくりの魔物キルケットがいる。


 「そこはニェルように動かッ・・ニャッ?」


 ボールがツルンと滑り、中の粉が全部二人、めがけ流れこぼれ落ちた。


 「すまん。ネコ娘、手が滑った。後、ニャーニャーは何とかならんか」


 ひっくり返した粉を、全身に浴びるグレイとキルケットがいた。

 手を差し伸べ、キルケットを起こすグレイだが、粉を被り過ぎて“様”になるものも”様”にならない。


 「ニャー、そんなことを言われても・・・」


 尻尾を震わせ、粉にまみれ笑うキルケットがグレイの顔をマジマジと眺めている。

 

 (はあぁ、いい男ニャー。真っ直ぐ伸びるオニキスのような黒髪。長いマツゲ、きりっと流れる瞳。少し小麦掛かった茶質の肌)


 キルケットは、グレイにうっとりとし恍惚の笑みを浮かべている。


 「どうしたのです。ネコ娘? ああ、こんなところにも粉が・・・べったりではないか。(わたくし)はとんでもないことを」


 粉が付きすぎるキルケットの体を拭いているグレイだが、とんだ失態を犯す。


 「あの・・・グレイ様、そこ胸ニャッ。あと手が股の間に・・・」

 「えっ、こっこれは。すまぬ。肌が白過ぎて気がつかなんだ。あと床に置いたつもりが。すまん」


 ((わたくし)としたことが・・・苦手な菓子作りに動揺してます。そもそも、ハイン様がこのようなことを命じなければ・・・)


 慌てて手をどかすと、キルケットが恥ずかしげにグレイの手を引き握りしめ、顔を大きく舐め始める。

 

 「そこはダメです。・・ッハアァ、舐めないで下さい。ネコ・・・」

 「ニャッて、もったいニャイしィ、それニィー」


 粉まみれのグレイの顔を舐め、耳まで舐められ感じるグレイがいた。


 「あそこで魔王がよろんこでるにゃ」


 (ハイン様。いつから覗きになられてたのですか!)


 壁の隅に隠れる魔王を、指さすキルケットが顔を赤らめ答えるが、舐める舌を止めることは考えておらずグレイを責め続ける。

 同じように、顔を赤らめ吐息を漏らすグレイに、ニヤけ顔のハインが近付いていた。


 「いやぁ、菓子は進んでる? 早く食べたいな。あとどれぐらいかな」


 進捗具合を知って、尋ねるハインの顔は吹き出す寸前で、明らかにグレイの困り顔を楽しんでいる。


 (フフ、グレイが悩んでる。いつも畏まっている、あのグレイが・・・いいぞ! 娘もっと攻めろ。俺の妄想通りなのか確かめてくれ)


 「わっ、舌を止めなさい。ネコ・・・キルケット、そこは関係ないでしょうが」

 「うわぁ、視てて引くわぁ。据え膳ですよ? いいんですか? 俺ならよばれるがなぁ。マ・ジ・メ・」

 「ハイン様、そう言う問題では・・・ああ、離して下さい。しかもハイン様の眼前で」

 「許す。許すからね? で菓子は、まだかな? かな」


 (俺は、お前の菓子が食べたいのと同時にお前の壊れるところがみたいんだ。もうね。いつもお前の苦悩の顔を考え妄想するのに飽きたんだよ。だから見せろ! その苦悩する顔を)

 

 眺めるハインの瞳は、潤み好奇心に満ち満ちグレイに何かを求め待っている。


 「魔王様? 飲んでますか」

 「うん。何本飲んだか忘れたが・・・菓子に合う酒、吟味してたら止まらなくて」

 「・・・グッ・・・」

 「なんでガマンするかな。グレイ、ブチまけろよ!」


 (ハイン様! 酔われているだけではなくなにかのお考えにかき立てられてます。困りました。どうすればいいですか)


 顔を赤らめ耐えるグレイの、顎を引き寄せハインは口付けると舌を這わす。

 グレイの潤む瞳を眺めるハインの瞳も、潤み好奇心に満ち満ちているが、それだけではない感じである。


 ハインは、グレイから唇を離すと微笑みかけ以外なことを口走る。


 「この間から、魔王、魔王と、五月蠅いお前の、壊れるとこが見たくて仕方がないんだ。何でもいい。壊れてくれ」

 「だからッ・・・ンッ・・・」


 ハインに唇を奪われ、キルケットは舐めることを止めず、指を絡めては、舌を動かし・・・グレイはされるがまま流されるしかなかった。


 「・・・ッツ・・ウウッ」


 (ああ!! なんてことでしょう。(わたくし)としたことが・・・)


 グレイの、身体の震えがハインに伝わると、唇は離され身体も解放された。

 にこやかに、満足そうに笑うハインが、グレイの頬を撫で鼻柱を指で弾く。


 「お前でもそんな顔・・・するんだな」


 ひと言、安心したかのように呟くとグレイの上で脱力し寝るハインがいた。

 キルケットも、太腿の上で疲れたのか丸まって寝息を立てる。


 「ふう。・・・ハイン様は何をお考えかわかりません。今は気の晴らし方がこちらに向いていて助かりますが、もし破壊の方でしたら」


 ハインの・・・魔王(ハイン)の能力を考えると青ざめる悪魔大神官(グレイ)がいる。


 「とにかく、皆で風呂ですか。菓子まみれです。まったく、結局、今回も菓子は上手に作れませんでした」


 (キルケットには、驚きました・・・が、ハイン様がいなければ今頃は・・・でしょうか、どうなっていたのでしょう。フフ)


 キルケットを胸に持ち上げ、ハインを肩に担ぎ、二人の寝息と寝顔を見て、頬を緩まし微笑むグレイがいる。


 《ドッボーン》


 キルケットを、そうっとお風呂に入れるグレイだが、ハインは荒く投げ飛ばされ風呂に沈んでいく。


 《ブクブク・・・ぶっく》


 怒り、湯から顔半分を出すハインがいた。


 「我を投げ飛ばすとは、我は魔王ぞ」

 「魔王なら魔王なりに反省してください」

 「・・・ンッ? スッキリしたはずがムカムカするぞ」


 「アッ」と、思うグレイがいるのだが「まぁいいか」と笑うグレイがいる。


 だが、二人は知っている。

 これは「嵐の前の静けさ」だと言うことを。



 


お疲れ様です。そしてありがとう。まだまだまだまだまだまだまだお付き合いください。お願いします。

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