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無責任な魔王は常に◯◯する。  作者: 珀武真由
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俺のために成長する少年に戦利品を与えよう

おはようございます。こんばんは。こんにちは。またお付き合いを。


 辺境の貧しい村に降り立つ二つの影がある。

 影が着いた早々、いきなり魔物の影が容赦なく、この二つの影を襲うが、木っ端微塵になぎ倒された。


「ラスク、初めての実戦とは思えない出だしだが大丈夫か?」 

「おじさんこそ、息上がんないでよ」


 そう、二つの影とはハインとラスクである。

 この二人を警戒し、排除しようと、どこからともなく魔物の群れが押し寄せる。


「でも、いいの。おじさん、一応この人達も魔族で魔物で同族だよね」

「いい。気を使うな。人肉……を、喰ろうた時点でこいつらは下卑たモノに落ちたんだ。気にするな」


(盟約に反することを仕出かすとは、手を焼かすな)

 

 ここ、最近の悩みの一つであるモノを、ラスクを使い無くしていこうとハインは考え、村に降りてきた。


「ふうん。そうか、仕方がないね」


 「下卑たモノ」と声を漏らすハインに、納得するラスクがいる。


「さて、ラスクよ。どれ位成長したか見せてくれ。そして、俺を楽しませろ」

「うん。いいよ」


 ハインの言葉通りに、自分の成長を見せるためラスクは魔物の群れに手をかざした。


 «極大炎舞(ファイヤーボール)»


 ラスクが火系の呪文を放ち魔物の大群を焼き払う。


「いきなり大きく出たな。ううん。が、まぁ、まぁかな。今日の実戦は終わり。次は魔法無しで」

「ええ! おじさん、僕。闇魔導士だよね。なのに無しって」

「いつ魔力が切れるとは限らん。体力も、とりあえず基礎はきちんと叩き込む」

「ええ、厳しいな。おじさん」

「フッ、お前には俺の手足になって貰う。その為、色々と慣れてもらわんとな」

「おじさん」


 二人が、呑気に会話をしてると、どこからか人が押し寄せて来た。手に運ぶ器には、食料とわずかな宝石が盛られていた。


「ありがとうございます。ここ最近、あのモノ達に襲われ困っておりました」


 周りをよく覗うと、人が暮らせてはいるが、土地は荒れ貧しい村には変わりなく、ラスクは昔の自分の暮らしと重なり震えた。


(貧しい村、貧しい暮らし、昔の僕)


 村人が、貢ぎ物を渡そうとするが、押し返すハインがいた。


「それは、貰うことは出来ない。あなた達でお使い下さい。もし要らなければ処分を」

 

 村人を促した後、ハインがラスクの肩を力強く引き寄せる。


「おじさん、僕……」

「お前は俺の所有物だ。昔を省みることは許さん。いいな」

「うん」


 帰ろうとする二人の前に、一人の少女が、ハインに大きな(みどり)の石を渡すため、両手に石を乗せ佇んでいる。

 少女の服は至る所に穴が開き破れていた。

 服が乱れ、全身泥まみれ、垢まみれの少女を見るラスクの瞳が何か物欲しそうにしている。


(この子、お風呂とか入ってるのかな? 身なり整えると可愛いんだろうな。あっ、あちこちにも傷が……)


 ハインの片腕に乗るラスクは、少女の姿をそらすことなく見ているのがばれると瞳を遠い所にそらした。


「ほう。緑長(りょくちょう)斑目翡翠晶(まだらめひすいしょう)か、良い石だ。ちなみに少女よ。親は」


 ハインの問いかけに首を横に振る。


「ほう。そうか」


 少女をよく見ると、喉に深い傷痕があり、話せないことが分かると、ハインは少女を片腕に抱きかかえ喉元を咥えた。


「おじさん! 節操無しかよ。恥ずかしい」

「馬鹿か、違う。よく見ろ」


 言われた通りに、ラスクが、真向かいに抱きかかえられている少女の喉元を見ていると、傷痕が消えていく。


「この石は希少(レアメタル)だ。貰おう。少女は、独り身か。この子も欲しい、貰って良いか」 


 村人の反応はざわめくだけで、少女に感心どころか声を立てる者もおらず、ハインは溜息をついた。


「では、謝礼に少女と石を貰おう。良いな」


 村人達はただ首を縦に振り、ハインに礼を述べている。

 少女とラスクを抱え、貧しい村を去って行くハインがいた。


「あっ、あううと(ありがとう)


 お礼を述べる少女はラスクを見て微笑むとそこには、茹でタコのように顔を赤らめ照れるラスクの姿がある。


「まぁ、おいおい話すことが出来よう。ラスク、この子の面倒はお前が見ろ。お前の戦利品だ。分かったな」

「戦利品って……」

「気に入ったのではないのか? てっきり欲しいモノだと」

「えっ、いや、やや」


 腕に抱かれ少女の顔を見るラスクが瞳が合うと照れて下を向いている。


(おじさんが貰った翡翠と同じ色の瞳)


「可愛いな。瞳がきれい」


 思っていることが、声に出ているのに気付かず、少女を見て微笑むラスクにハインは相づちを返す。


「それは、良かった。帰ったら一緒に風呂に入るといい」

「ンッ? 僕、今」

「心の内がだだ漏れてたぞ。ラスク」


 顔、耳、首、身体全体を赤らめ、恥ずかしがるラスクに、少女は微笑みを返すと静かに頷いた。

 二人の仕草を見て、大声を上げ笑うハインにラスクは、口を尖らし文句を言う。


「もう、何が可笑しいのか教えてよ」

「いや、教えん。自分に聞け」

「ええ、なんかむかつく」


 また、ハインの手元に人間が増えることとなり、ラスクは喜ぶが、悪魔大神官(グレイ)は、大いに怒ると咳払いを一つあげる。


「本当に最近どうされたのです。魔王の自覚はありますか?」

 

 文句の言うグレイに、ハインは少し哀しそうな顔をする。


「解ってはいるのさ。まぁ、気まぐれと思い許せ。今は……」

「・・・・・・」


 ワインの瓶を片手に、空を眺めハインは物思いに更ける。

 空は怒り、閃光が走り、光りの矢を地面に落とす。ますます暗く荒れ狂う景色があった。

 

 その光景を黙って眺めるハインがいた。


お疲れ様です。下に☆が在るのでもしよかったら評価のほどお願いです。ではありがとうございます。

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