第5章 月曜日の出来事
月曜日、恵美莉は週末の慌ただしい出来事を大いに反省していた。朝からの授業も上の空、その出来事を思い出している。
(木曜に春樹君が大学休んで、授業に来なかったのが発端。プラモに没頭して、あたしのこと無視するから。
金曜は桧垣先生との逢瀬。これはいつものことだし、なんとも言えないな。みのりも知らない二人だけの秘密だから、何もなかったことにしとける。
でも土曜日の合コンは、春樹君に知られちゃまずい。でも西野刑事の部屋に泊まっちゃったのは、軽はずみだったな。大いに反省。昨日も電話かかってきたけど、今後どうしよう? 彼氏いるって打ち明けようかな。
それで昨日の日曜日はヒデキさん。あー絶対にないタイミングだった。運命は感じないけど、避けられない道のりって感じがした。お店に入っちゃったらイキナリだもん。
さすがに物凄い罪悪感。途中で春樹君から連絡がなくって本当によかった。
でも、さすがにその間一度も連絡してこないって、やっぱりあたしは、ガンダムより軽んじられてる気がするわ。それは寂しい。普通、浮気でもしたるって気になって当然よね。
そう思う前にしちゃったけど。3日で3人も)
(・・・あたし、ダメなやつ)
「ねえ。土曜日どうだったの?」
休み時間にみのりが小声で訊いてきた。
「はあ、お持ち帰りされちゃった」
「うそ!?」
急に大声になるが、固まって周囲の反応を確かめた後、また小声で。
「あんた、よくやるわね。菅生君どうするの? やめるの?」
「もう。やめるとか言わないでよ。反省してたところなのよ」
その他全部の浮気を知られたら、軽蔑どころの話じゃないだろう。
「なんでそんなことになったの?」
「酔っぱらってたから。自分でも気づかないくらい大分酔っぱらってたみたい」
「私もかなり酔っぱらってたんだけど、そんなふうにはならなかったのに、どうやればそうなれるのか教えてよ」
「知らないわよ」
「あああ、キャンさんも絶対やっただろうし、奈美ちゃんも彼氏とやってるし、私だけ失敗してんじゃない」
「あんただって、ちゃんと彼氏はいるじゃない」
「私も秘密作りたいっ!」
「なんでもべらべらしゃべるくせに。でも春樹君には絶対内緒だからね!」
「分かってるけど、菅生君今日来てる? 見てないよ」
「そりゃ来てるんじゃない? 同じ授業がないから会ってないけど」
「連絡は?」
「全然ない」
「LINEしてみれば?」
「なんだか怖くて、LINE見られないもん・・・・・でも、やっぱりそうする」
恵美莉はメッセージを送ろうとして気づいた。
「あれ? 既読になってない」
昨日早朝、春樹に送信したメッセージが、未だ既読になっていないことに気づいたのだ。
「どうしたのかしら。まさかシンナー中毒で・・・」
恵美莉の脳裏に不安がよぎった。
「何があったの?」
恵美莉のその表情に、みのりも心配そうに訊いてきた。
「ここしばらくプラモに夢中で、ろくに連絡もなかったんだけど、一昨日完成して、昨日はもうゆっくりしてるはずだったのに、LINEを見てくれてないの」
「あんたもそうじゃん。ひょっとすっと、菅生君も浮気してたんじゃない?」
「え? まさか」
その一言を聞いて、恵美莉はとてつもない不安に駆られた。自分の行動を差し置いて、相手のことをどうこう言える立場ではないことは、十分承知していたが、これは罰が当たったのではないかと感じるのだった。
「電話してみれば?」
「うん」
恐るおそる電話をかける恵美莉。スマホの向こうでコール音が続く。暫く待っても春樹は出ない。
(本当に倒れてる?)
恵美莉は立ち上がって、春樹の授業の教室へ向かった。みのりも黙ってついていった。
その教室に着くと、春樹と同じ学部でみのりが所属する剣道部の主将、かつ交際相手である小峠先輩がいた。
「コトちゃん(小峠)。今日、菅生(春樹)さん見た?」
そう、みのりが訊くと、
「え? 今日も来てないみたいだけど、連絡つかないのか?」
小峠は恵美莉を見たが、恵美莉はその質問に答える暇もなく、走り出した。
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