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白猫シーロの物語  作者: 浦島 金太郎
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初めての狩り

「シーロ。ごはんですよ。起きなさい。」


「うーん。眠いにゃ。もう少し寝たいにゃ。」


「早く起きなさい。はい。顔を洗ってきなさい」


眠たそうな顔をした猫族のシーロは、顔を洗う為に外に出ます。

今は春ですが、まだまだ朝は寒い為、シーロは急いで井戸まで行き顔を洗いました。余程水が冷たかったのか、体をブルとさせ急いで家に入ります。


「お父さん。お母さん。おはようにゃ。」


「「おはよう。」」


今日の朝食は、昨夜の残りのスープとパンです。

家族で今日の予定を話しながら、楽しそうに朝食をとります。


「シーロ。今日はバリバリ鳥の狩りに行くぞ。弓の準備をしなさい。」


「分かったにゃ。バリバリ鳥は美味いにゃ。」


バリバリ鳥は春から秋にかけて森にやって来る鳥です。鳴き声がバリバリと鳴くのでバリバリ鳥という名前が付いた鳥で、大変美味しい鳥で有名なのです。春になるとシーロ一家が住む村の森にやって来ます。


「沢山捕ってきてね。美味しいスープを作るわね。」


「僕は立派な狩人にゃ。沢山捕ってくるにゃ。」


父親のパランも母親のミーケも苦笑いをしています。シーロは8才になったばかりで、やっと狩りに同行を許された子供です。今回が初めての狩りで、立派もなにもないでしょう。これから徐々に慣れて行けばいいのですから。弓の練習も頑張っています。命中力は素晴らしいのですが、まだまだ威力が足りません。年が立てば立派な狩人になれるでしょう。


シーロは父親のパランから、森での注意事項をコンコンと説明を受けているところです。もう何回も聞いているので、耳タコ状態です。シーロは早く狩りに行きたくてパランの話を右から左に流しています。こりゃダメだとパランは諦めて、用意をして2人で森の中に入って行きました。


「キュ~バリバリ~。バリバリ~。」


森に入ってしばらくすると、バリバリ鳥の鳴き声が聞こえて来ました。父親のパランとシーロがゆっくりと近づいて行きます。バリバリ鳥の姿が見えてきました。茶色の羽に緑の縦線が入った中型の鳥です。パランが指を指してシーロに見せてあげると、シーロも確認できたみたいで頷いています。パランは弓を構えてゆっくりと近づき、矢を放ちました。矢はバリバリ鳥の胴体に刺さり、木から落ちます。


「命中したにゃ。流石お父さんにゃ。」


「シーロ。血抜きするぞ。」


パランはバリバリ鳥の首を刈り血抜きをします。シーロもその光景を見て、自分も狩りたくてウズウズしていました。パランはこの村1番の狩人です。昔は冒険者をしていましたが、ミーケがシーロを身ごもった為、故郷の村に帰ってきて暮らしているのです。パランもミーケも冒険者時代はCランクまで上っている猛者なのです。この村の森にも魔物は存在しますが、ゴブリン程度の弱い魔物しかいません。バリバリ鳥の血の匂いに釣られて魔物が近寄って来る可能性もあるのですが、パランからすれば恰好の獲物でしかないのです。


「お父さん。次は僕が狩るにゃ!」


「分かった。分かった。でもシーロは力が無いから、近づいて矢を放たないと仕留める事はできないぞ。」


パランとシーロは獲物を求めて森を進んで行きます。しばらくするとバリバリ鳥の鳴き声が聞こえて来ました。シーロは自慢の真っ白な猫耳をピクピクさせながら、ゆっくりと近づいて行きます。段々鳴き声が大きくなっていき、目でも確認出来きました。パランを見ると頷いています。シーロも頷いて、弓を構えてバリバリ鳥に近づいて行きます。


パランは違和感を感じていました。シーロの存在感が段々と薄くなっていくのです。猫族は生粋の狩人なのです。狩りに特化した身体能力を生まれながらに持っているのですが、今のシーロの状態はそれとは全然違います。シーロはスキルを知らず知らずの内に使っているのかもしれないと思いました。


シーロはゆっくりとバリバリ鳥に近づきます。自分の弓が弱い事は解ってます。もっと近づかないと狩ることはできません。気配と音を消すことに集中して近づきます。シーロは矢を放ちました。パランと比べるとかなり弱い威力ではありましたが、見事バリバリ鳥の首を貫く事ができました。


「やったにゃ!」


パランは驚きました。8才の子供が初めての狩りでバリバリ鳥を狩ったのです。まず自分ではあそこまで、バリバリ鳥に近づく事は出来なかったはずです。そして殺気を一切放っていなかった事にも驚きました。これは大変な才能を秘めた子供かも知れません。


「シーロやったな!血抜きだ。やってみろ!」


「分かったにゃ!」


今日はパランが3匹とシーロが2匹のバリバリ鳥を狩る事ができました。バリバリ鳥5匹はかなりの収穫になります。3匹を村の雑貨屋に卸したら銀貨1枚と銅貨5枚にもなったのです。雑貨屋のおばちゃんは大喜びしていた。バリバリ鳥は美味しい為、すぐに売れてしまいます。ご褒美に飴玉を10個買って貰い、シーロはご満悦でした。


「お母さん、ただいまにゃ。僕は立派な狩人にゃ!バリバリ鳥を2匹も狩ったにゃ!」


「まあまあ、すごいわねェ~。手と体を洗っておいで。お母さんが美味しいスープを作ってあげるからね。」


今日の夕食はバリバリ鳥のスープです。母親のミーケが腕を振るったスープです。骨で出汁を取り、肉と野菜を入れて煮込んだスープ。シーロは自分の武勇伝を母親に聞かせながら、スープとパンを交互に食べます。初めての狩りで獲物を捕る事ができて嬉しかったのか、なかなか饒舌です。父親のパランも母親のミーケも飽きれながら話を聞いていました。



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