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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第三章 愛の英雄の誓い 編

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第7話 バイバイね…… 18 ―タイムリミットが迫っている―

 18


「輝ヶ丘を燃やすのはバケモノじゃないだって?!」


「赤い石は……いや、青い石という物も全て、《王に選ばれし民》が作った武器ではないだと?」


 赤と青の石の真相を聞いて、セイギとユウシャは仮面の中で表情を引き攣らせた。

 二人は話を聞いただけで理解していた。二つの石が《王に選ばれし民》が製造した武器ではないのであれば、ホムラギツネを人間に戻すだけでは輝ヶ丘を救えないと。

 アイシンは石の能力が既に発動してしまっているとも話している。石はシェルターも含めた輝ヶ丘全体にばら撒かれているとも昨日の内に聞いてもいる。セイギは考えてしまった。輝ヶ丘を救うにはどうすれば良いのかと。否、英雄として考えて当然であるが、セイギの眼前には敵がいる。

 

「あっ! うわッ!!」


「ギィェ!!」


 戦闘中は目の前の敵に集中するべきだとでも謂う様に、ホムラギツネはセイギに跳び掛かかってきた。

 最前までのセイギであれば、ホムラギツネが動き出そうとする気配を察して、大剣を振る等々の威嚇行動を取ってホムラギツネの行動を事前に止めただろうが、いまは出遅れた。


「セイギッ!!」


 押し倒されたセイギを助けようとユウシャは二丁拳銃を発砲する。

 ビッグバンブレイブを生成する時間はなかった、発射したのは通常のレーザービームだ。

 レーザービームはユウシャが標的と定めた対象に向かって飛んでいく。ホムラギツネが動いたとしても追尾する……そう、ホムラギツネは動いた。セイギに馬乗りになり牙を剥き出しにして噛み付こうとしていたホムラギツネは、拳銃の発砲音を耳にすると素早い動きでセイギから離れ、今度はユウシャを襲おうと走り出した。


 走り出したホムラギツネをレーザーは追尾していくが、ホムラギツネは右に左にとジグザグと走った。ユウシャに視線を向けたままジグザグと。

 ユウシャが放ったレーザーは二本であり、レーザーは直角でしか動けない。これがジグザグと走るホムラギツネを追っていくが、右に動いた時に一本目のレーザーが地面に当たり、続けて左に動いた時に二本目も同じになる。レーザービームは両方とも消えてしまった。

 レーザービームの弾速は決して遅くはない。しかし、ホムラギツネの方が速かったのだ。

 そして、速いが為にレーザービームが消えたとユウシャが気付き、続けての発砲を行おうとしていた時には、既にユウシャの眼前にホムラギツネが立っていた。


「ギィーーーーーェーーーーーーッッッ!!」


 鋭い爪がユウシャの顔面を叩く。

 ユウシャは「うぅ……ッ!!」と呻き、倒れるが、ユウシャも単に攻撃を受けるだけでは終わらせなかった。

 ユウシャは倒れる間際に二丁拳銃の内の一丁の銃口を天に向けて、引き金を引いていた。その銃口から新たなレーザービームが放たれる。

 ホムラギツネは倒れたユウシャに馬乗りになろうとするが、天に放たれたレーザーが降ってくる。


「真田先輩、悪く思わないでくれ……!!」


 ホムラギツネの背中でレーザービームは爆発した。

 ホムラギツネは「ギィイイ!!」と呻く、ユウシャはこの隙に悶絶するホムラギツネの腹を蹴った。


「だぁーーーーーーーッッッ!!!」


 ホムラギツネとユウシャの距離が離れた時、セイギが立ち上がった。

 大剣を振り上げてホムラギツネに向かって走っていく。


「おっとっと♪ 赤と青の英雄さん♪ ホムラギツネさんと戦っても意味がないのでは? ホムラギツネさんを倒しても、赤と青の石は静まりませんよ♪」


「ダリャーーッ!!!」


「ギィッーーー!!!」


 ホムラギツネに接近したセイギはその背中に向かって大剣を振り下ろした。だが、ホムラギツネが跳んだ。大剣の刃は地面を叩いただけになってしまう。

 セイギの攻撃を既の所で避けたホムラギツネは、セイギとも距離を取る。その肩は大きく上下し始める。呼吸も乱れて、セイギとユウシャを交互に睨むが、続けての攻撃に出ようとはしない。

 そんなホムラギツネを警戒しながら、セイギは芸術家をチラリと睨んだ。


「真田先輩を倒しても、石は静まらない、そんな事は分かってるよ……でも、真田先輩をこのままにしておく事は出来ない!!」


「ホホォ♪ それでは貴方は輝ヶ丘と共に心中なさいますかぁ♪」


「それをするつもりもねぇ……だから、愛、ボッズー!! 二人は輝ヶ丘の皆の非難に動け、俺達が空けたテハンドの穴から皆を逃すんだ!! 真田先輩は俺と勇気に任せれくれ、俺達だけじゃ真田先輩を人間には戻せないけど、やるだけやって気だけは失ってもらう!! 彼女を人間に戻すのは輝ヶ丘から脱出してからだ!!!」


 セイギは地面についた刃を持ち上げる。ホムラギツネに向かって再び大剣を構えた。


「赤い英雄さん、貴方は無茶振りをなさるお方だぁ♪ まさか輝ヶ丘の住民全てを避難させるおつもりですかぁ♪ そんな事は言わずもがなですが、無理ではないでしょうかぁ~~~♪」


「無理かどうかは俺達が決める、そうだよな、セイギ……」


 ユウシャは起き上がり、芸術家とホムラギツネに向かって銃を構えた。

 右手に持つ銃を芸術家に、左の銃をホムラギツネに向ける。同時にセイギは頷いた。


「芸術家ッ!! 赤と青の石の真相をお前が俺達に教えたがった理由が分かったぜ、お前は俺達を混乱させようと考えたんだな!! でも、俺達は混乱もしなければ絶望もしねぇ!! そうだよな、勇気!! なんとしても輝ヶ丘の皆を救うんだッ!!!」


「ホホホォ〜〜♪ 今の状況から救えるのであれば、まさに英雄です♪ 英雄譚の始まりだぁ〜〜♪ しかし、無理は無理、不可能ですよ♪ だって時間が無さ過ぎますぅ♪ 避難させている間に炎が生まれてしまうでしょう♪ 時間を巻き戻しでもしない限りは、貴方達が輝ヶ丘の人々を救う事は出来ません♪ 不可能ぉ~〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪♪♪」


 校庭のベンチに座る芸術家は両手を広げて低音を響かせた。

 オペラ歌手であれば、彼は有能な男であろう。芸術家が座るベンチは校庭の隅に置かれているが、その歌声は校庭の端から端までしっかりと聞こえたものであった。しかし、気持ち良さ気な歌声は芸術家とは真逆の甲高い声によって打ち切られる。


「だったら巻き戻してやろうじゃないかボッズー!!」


 それはボッズーの声だった。

 ボッズーはアイシンの肩に止まり、鼻息を吹いた。

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