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ガキ英雄譚ッッッッッ!!!!! ~世界が滅びる未来を知った俺たちはヒーローになる約束をした~  作者: 立神ビーグル
第三章 愛の英雄の誓い 編

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第7話 バイバイね…… 5 ―ギィェーーーッ!!!―

 5


「負ける訳には……いかない!」


 アイシンはフェンスに指をかけ、フラつく自分を無理矢理に立ち上がらせた。


「ギィーーーェーーーー!!!!」


 ホムラギツネはすぐ目の前に迫って来ている。

 ホムラギツネは猪突猛進の形。このままでは突進を受けてしまうだろう。


「ハッ!!」


 アイシンは両手を上げた。

 今度は両手でフェンスを掴む。

 背後のフェンスを掴んだアイシンは、指と腕にグッと力を入れて自分の体を持ち上げる――懸垂だ。逆手の懸垂である。フェンスの前に体があるから通常の懸垂とは見た目が異なるが、要領は同じ。


「エイヤーーーッ!!」


 体を持ち上げたアイシンは前方に向かって飛び、突進してくるホムラギツネの背中に乗った。

 乗られたホムラギツネは驚きか拒絶の意味か「ギィッ! ギィッ!」と奇声を発するが、アイシンは動じなかった。


 アイシンの身長は156センチ。対するホムラギツネは人間を棄てたが為に僅かに巨体となっていて二メートルは超えている。アイシンが飛び乗った背中も大きなものだ。

 その背中の上でアイシンは回った。

 アイシンは体操を習っていた経験はないが、英雄の力を手に入れた事で身体能力が向上されている。


「エイッ!!」


「ギィェーーーッ!!」


 あん馬の上でくるくると回る体操選手が如く動きで方向転換をすると、アイシンはホムラギツネの首に右腕を回した。

 その右腕がホムラギツネの喉の前を通り、首の左側から現れると左手で押さえる。野獣にかけた首輪が外れぬように固定する。固定するとチョークスリーパーが如く、絞め上げる。


「ギィッ!! ギィッ!!」


 首を絞められたホムラギツネの声は僅かに細くなるが、落ち着きはしない。

 ホムラギツネは尾を伸ばしてきた。

 アイシンの胴体に尾を巻き付かせ、アイシンを退かそうと試みてくる。


 ……が、アイシンも負けない。退かされぬ為に更に強い力でホムラギツネの首を絞める。しがみつく。


「先輩! このまま絞め続けたら、あなたはどうなりますか? 分かりますよね? 抵抗するならまだまだ絞め続けますよ! 良いんですか!!」


 アイシンは脅す様に言った。しかし、本心では『戦いをやめてくれ、早く大人しくなってくれ、私と話す気になってくれ』と祈っていた。アイシンはホムラギツネの息の根を止めに来たのではないのだから。


「暴れるのをやめてください! 大人しくなぁ――」


「ギィェーーーッ!!」


「あぁもうッ!! だから暴れるなって言ってんの!!」


 アイシンは絞める力を更に強めた。ホムラギツネが前足を使って屋上を叩き始めたからだ。


「ギィーーーェーーーー!!!!」


「だから暴れないでって!! このままでは大勢の人が死ぬんですよ!! 輝ヶ丘を燃やして何になるの?! 誰かが死ぬ悲しみを、あなたが一番分かってる筈でしょ? 皆にも家族がいる、友達がいる、失って良い命なんて無いんです!! 先輩は分かってる筈ですッ!!」


 アイシンは訴えかけるが、ホムラギツネは屋上を叩く。前足でドンッドンッと叩き続ける。叩く度にコンクリートには亀裂が走っていく。


「ギィーーーェーーーー!!!!」


「あば……あっ、暴れるな!!」


 アイシンの言葉はホムラギツネには届かないのか。ホムラギツネは暴れ馬にでもなってしまったのか。上体を起こしては力一杯に前足を屋上に振り下ろす。何度も何度も振り下ろす。



 ドンッ!! ドンッ!!



「ギィェーーーッ!!」



 ドンッ!! ドンッ!!



「ギィェーーーッ!!」



「――ッ!! こ、これって! もしかして!!」


 アイシンの絞め技は、ホムラギツネの地団駄にも似た行動の末に、振り落とされない為の頼みの綱になってしまった。

 しまったが、しがみ付いている末にアイシンはホムラギツネが鳴らす『ドンッ!!』という音に似ている音があると気が付いた。それは、未だに空から聞こえてくる『ドーンッ!』という銅鑼に似た音だ。アイシンはこの銅鑼に似た音を『輝ヶ丘の外で鳴っている雷の音なのだろう』と思っていた。だが『もしかして?』と思う。


 ― もしかして、今も空から聞こえてくる音って雷じゃないの? そして、もしかして、先輩がやろうとしてる事って――あっ!!


 アイシンが『もしかして』と勘付いた時にビキビキ……と。そして、バリバリ……と大きな音がした。これは、アイシンの『もしかして』が正解だと教える音だった。


 ― ヤバイ! ヤバイ! どうしっ


『どうしよう?』とアイシンは考えようとした。

 ホムラギツネの行動の意味を理解したからだ。『先輩は屋上を壊そうとしている』と。だが、対策は思い付かない。次の瞬間にはホムラギツネがまた屋上を叩いたからだ。


 叩いたら鳴った。


 バリバリと、ドカンッと、爆発音に似た音だ。


 鳴っただけならまだ良い。屋上には空いた。大きな穴が。


「ギィェーーーッ!!」


「あっ……!!」


 ホムラギツネとアイシンは落ちていく。

 開いた穴に落ちていく。

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