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テンプレ勇者の一目惚れラブロード 〜勇者がヒロインと結婚するまで〜  作者: しぇいく
第二章 アオイさん!好き!

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蝿の王、再起動

 「……まぁ、あるよな。再生能力」


 俺は再生していくブルゼを見上げながら呟いた。


 裂けた肉。


 砕けた複眼。


 貫通した頭部。


 全部が蠢きながら繋がっていく。


 ズルズルと肉が寄り集まり、裂けた筋繊維が編み込まれるみたいに再結合していた。


 気持ち悪い。


 だが。


 驚きより先に来たのは、少しだけ諦めに近い感覚だった。


 俺はレイピアを握り直す。


 「武器召喚さえ出来れば……」


 1つ、コイツを倒す可能性があるとすればクリスタルドラゴンを倒した【武器召喚】という魔法。


 あの時は先代の勇者が使っていたから自分もできると思って発動させたら出来たが、あれ以来望んだタイミングで発動できない。


 クールタイムがあるのか、それとも勇者ですら一生に一回しか撃てない魔法だったのか……何せ、発動させてる人が少なすぎて情報がないので調べようもない。


 「ふぅ……」


 ちょうど良いところにみやが来る。


 「リュウトっ」


 「弱点は?」


 「まだなぃっ」


 「そうか」


 弱点はまだ見つからないみたいだな__


 「でも、生殖機能は停止したみたぃっ、代わりにさぃせぃ能力が追加されてるけどっ」


 「いや、それでも助かる」


 再生にリソースを回しているからか?

 どちらも“作り出す”と言う行動ではある。


 まぁ。少なくとも増殖は止まった、いいぞアカネ!


 ズズゥゥゥゥン……


 ブルゼがゆっくり身体を起こす。

 巨大な脚が地面へ突き刺さるたび、周囲の建物が揺れた。


 「ぁと、なまぇは『ブルゼ』だょっ」


 「ブルゼ、か」


 何の因果か。


 元の世界の“蝿の王”に似た名前だな。



 「それとっ、小さなブルゼはぃなくなったみたぃっ」


 「お? 殲滅したのか?」


 「ぃや、何とぃうか、この国の結界にドームが張られてるとぃぅかっ……」


 その瞬間。


 ギギギギギギィィィィッ!!!!


 ブルゼが動いた。


 「っ!!」


 巨大な前脚が振り下ろされる。


 俺とみやは左右へ散開した。


 ドゴォォォォォォォンッ!!!!


 石畳が吹き飛ぶ。

 建物が衝撃だけで崩れた。


 「アカネ!」


 「はい!!」


 その言葉だけでアカネはあーたんに指示を出して即座に俺とは別方向へ走る。


 狙いは護衛ブルゼ。

 繁殖が止まった以上、今度は数を減らす方へ移行した。


 「ドームって言うのは?」


 俺は飛んできた脚を回避しながら叫ぶ。


 「ぅんっ! 広範囲の誰かのまほぅで【ファイアードーム】ってなまぇみたぃっ!」


 「聞いた事ないな」


 跳ぶ。


 ブルゼの顔面へ着地。


 レイピアを複眼へ突き刺す。


 そして内部魔法陣起動。


 ドォンッ!!!!


 圧縮風が複眼内部で炸裂した。


 粘液が吹き飛ぶ。


 だが、即座に再生される。


 「ファイアードーム……」


 名前からして炎系。


 範囲内の敵を焼く魔法か?


 だが、みやは“国全体”と言った。


 普通に考えれば異常だ。


 そんな出力。


 つまり。


 “そのレベルの魔力量を持つ人物が居る”


 そこまで考えて。


 「……お義理兄さんのパーティーか!」


 「?」


 そうだ。


 この国には勇者があと二人居る。


 あの人達が、ただ逃げるわけがない。


 つまり。


 「みんなが合流するまで、ここでコイツを食い止めるって事か」


 ブルゼを見る。


 翅。


 再生した羽の形が変わっている。


 薄く。

 広く。


 「……なるほど」


 飛ぶ気だ。


 「第二形態突入って事か」


 「リュウトっ」


 「どうした?」


 避けながら会話。


 巨大な脚が横薙ぎに来る。


 しゃがむ。


 頭上を通過。


 風圧だけで瓦礫が吹き飛んだ。


 「近くに人の気配っ! それに他とは違ぅけはぃもっ!」


 「……なるほど」


 勇者の魔力なら、みやは分かる。


 なのに“勇者”と言わなかった。


 つまり、まだ断定できない。


 だが。


 このタイミングなら。


 ほぼ間違いない。


 「アカネ達を向かわせる!」


 俺は即座に判断した。


 「救出優先! アンナさんは状況判断で動いてもらえ!」


 「ぅんっ!」


 「みや、翅へ攻撃を集中。あと、さっきより気合い入れろ、ここで足止めをする!」


 倒す必要はない。


 止めれればきっとあの人達が来る!


 「文字通り骨が折れるぞ」


 「ぅんっ!」



 俺は再び【限界突破】を発動した。

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