そのセリフはやめなさい
「――っ」
身体が軽い。
違う。
“通り”が良い。
視界。
呼吸。
筋肉。
魔力。
全部が綺麗に噛み合っていた。
「……アンナさんか」
俺は後方を見る。
そこには装備を整えたアンナさんが居た。
そして、俺たちに向けられた手。
「まさか、同じ時期に二人目のパーティーメンバーが居るとは」
テンプレート的には今回、あーたんがパーティーに入ったから終わりと思ってたが、まさかまさかの展開だな。
まぁ……まだ仮だけど……
その瞬間。
ズズゥゥゥンッ!!!!
巨大蝿の身体が大きく傾いた。
「やった!?」
アカネの声。
腹部。
さっきまで脈打っていた繁殖器官が半分以上崩壊している。
粘液が滝みたいに流れ落ちていた。
「あーたん!」
「うんー!」
アカネとあーたんが戻ってくる。
「話してる暇は無い、今がチャンスだ」
敵が動かないのなら攻撃を止める理由がない。
「全力で畳み掛けるぞ!!!」
「はい!!」
「おー!」
俺は【限界突破】を発動させた。
相手が動かないで場所も狙い放題なら今しかない!
「うおおおおりゃぁぁあ!!!」
レイピアを投げたと同時にギミックを発動。
レイピアが巨大になって向かって行く。
武器を投擲して攻撃。
当たり前だが投げるものが大きければ大きいほど難しい。
大きくなればその分重さも増し速度は落ちる。
さらに大きい状態で投げるには力もいるし狙いも定まらない。
そもそも、全身で槍投げして真っ直ぐ飛ばすのでさえ難しい。
それを全て可能にしてくれる限界突破。
狙うのは真正面!
ブシュゥゥゥッ!!!!
レイピアが深く食い込んだが貫通はしなかった。
「っ……!」
俺の腕の中に走る激痛……ほんと、全力で投げただけでこんなになるなんて使い勝手の悪い魔法だ。
だが
「!」
楽になる腕。
完治とまでは行かないがそれでも気にしないほどに回復した。
アンナさんのサポートだろう。
「ありがたいな」
「後は__」
あーたんに乗っていたアカネが隣をものすごい速さで通り過ぎた。
“後は任せて”とでも言ってたのだろうか?早すぎて聞こえなかった。
助走をつけたあーたんが飛ぶ。
その背を踏み台にし、アカネがさらに加速し巨大ハンマーが、俺のレイピアを“杭”みたいに叩き込んだ。
瞬間。
レイピアがブルゼの頭部を完全貫通し、後頭部側から巨大な切っ先が突き出る。
「……」
俺はレイピアを元の大きさに戻して手元に呼び寄せると、そこには“完全な穴”ができていた。
護衛蝿も機能を停止したロボットのように動かない。
親玉も反応しない。
まるで。
本当に死んだみたいに。
「…………やりましたかね?」
「あ」
その言葉、やばいぞ!
その最悪な予想は当たっていた……
みんなで見ていた穴が____“一瞬で塞がった”




