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テンプレ勇者の一目惚れラブロード 〜勇者がヒロインと結婚するまで〜  作者: しぇいく
第二章 アオイさん!好き!

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繋がる魔力

 ブゥゥゥゥゥゥゥン――――。

 羽音が空を埋める。

 その中心。


 巨大蝿ブルゼを見つめながら、みやは静かに目を細めた。


 「……」


 蛇の紋章が瞳へ浮かび上がる。


 魔眼『解析』


 視界へ流れ込む情報。


 外骨格。筋肉構造。

 魔力流動。体内循環。


 だが――


 「……なぃっ」


 弱点が出ない。

 それどころか、名前すら最初は『???』だった。



 「完全な新種の魔物……」



 数秒後。

 視界の情報が書き換わる。


 《ブルゼ》


 その文字が名前に浮かび上がった。


 「……更新されたっ」


 みやは小さく呟く。

 恐らく、どこかで既に誰かが名前を付けた。


 ミクラル王国か。

 騎士団か。

 ギルドか。


 だがコイツの名前はこれから先、この呼び名で呼ばれるのだろう。


 魔眼『解析』は完全な未来予知じゃない。


 世界へ存在する“情報”を読み取っている。


 だから、認識された瞬間に更新される。


 逆に言えば――


 「何かキッカケがぁれば、弱点もすぐ分かるんだけどなぁっ」


 そう言いながらも__


 ヒュンッ――――


 風魔法を飛ばす。

 透明に近い超圧縮風刃。


 人間サイズの蝿の羽だけを切断しアカネを援護。


 ゴォッ!


 今度は空気の渦。

 小型蝿達がまとめて吸い込まれ、内部圧力で潰れる。


 ブチブチブチッ!!


 小さな肉片になって飛び散った。

 みやは一匹も逃さない。


 小型蝿は危険だ。


 目。

 鼻。

 耳。

 鎧の隙間。


 人間サイズより、むしろ集団の小型の方が殺傷能力は高い。


 だから優先的に潰す。


 その隣。


 アンナは地面へ座り込み、転送魔皮紙の“私物リスト”を眺めていた。


 武器一覧。

 予備魔皮紙。

 治癒系。

 装備系。


 ブツブツと何かを呟きながら確認している。


 まだ何もしていないが疑いはしない。


 “リュウトがパーティーへ誘った”


 それだけで理由は十分だった。


 「……アナタの目って、特別なのよね?」


 アンナが不意に聞いてくる。


 「ぅん?」


 「さっき、リュウトが“弱点は?”って聞いてたでしょ?」


 「そぅだねっ」


 「つまり、“見える”のよね?」


 みやは少しだけ目を丸くした。

 そこまで理解した事に驚いたのだ。


 「魔眼『解析』っ」


 みやは軽く答える。


 「見た相手の情報を読み取れるのっ」


 「……なるほど、弱点は無いの?でもまだ“探してる”って事はその眼は更新式って事よね?それか何かを結びつけて導き出してるって事よね?」


 「…………ぅんっ」


 見たことも無い力を当たり前のように受け入れてそれを分析するアンナ。


 そして、再びブルゼを見る。


 「なら、時間をかけた方がこっちが有利ね」


 「流石っ、リュウトだねっ」


 頭の回転が速い。

 しかも、状況整理が早い。


 「それにしても、準備が良すぎるわね……」


 アンナはそのまま転送魔皮紙へ魔力を流した。


 光が走る。


 転送。


 現れたのは1つの装備。


 「全く……何回私は裸になるのよ」


 そう言いながら服を脱いで無駄のない動きで着替えていく。


 挿絵(By みてみん)

 紫を基調にした魔法使い風の装備。


 大きな魔女帽子。

 金色の装飾が入った長いローブ。

 胸元は大きく開いており、太ももは露出している。


 その代わり脚には長いサイハイソックスのような装備が付いていた。

 布の内側には魔法陣の刺繍が縫い込まれており、冒険者の装備というのが一目で分かる。


 「【マジックシーリング】」


 次の瞬間。


 アンナの視界へ、無数の“流れ”が見えた。


 魔力。


 リュウト。

 アカネ。

 みや。

 あーたん。


 そして装備。

 魔皮紙。

 武器。


 全部が見える。


 「……なに、これ」


 元々は違った。


 触れた相手の魔力が、少し分かるだけの能力。

 それが何故か触れなくても分かるようになり、今は詳細に視える。


 「この装備のおかげ?」


 否。

 この装備は元々味方に強化の魔法や回復魔法をかけるのに特化した装備。



 導き出されるのは__


 

 「私の適正魔法がその流れを見ているって事ね」



 本来。

 援護をするサポート魔法使いの手順はこうだ。


 バフ、回復の専用魔皮紙を発動させる→装備の魔法陣に魔力を流す→対象を選択し範囲に入ったら発動。


 その範囲というのも装備や使用者の元の魔力量による。


 だが、マジックシーリングで魔力の流れを見ているアンナは__



 「繋げれる……」



 自分の“範囲”を細長く。

 そしてリュウト達の芯にある魔力に繋げれるのだ。



 自分の魔力と全員の魔力をリンクさせる。



 つまり……リンクされればどこに居ようが激しく動こうが、アンナが回復させたいと思えば即時に回復できるという事。



 「ぶっつけ本番だけどやるわよ」


 アカネへ魔力供給。


 あーたんの脚部装備へ風魔法補助。


 リュウトへ集中力維持用の魔力循環。


 遠隔で次々と補助していく。


 そして。


 アンナは小さく笑った。


 「これで少しは持久戦を楽にできるわね、サポートはしてあげるから後は頼んだわよ、リーダー」

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