泣いていい場所
「……どうした?」
「いや」
高級料理店【ジョイピー】
貴族御用達のレストランだ。
中は全て防音完備。
料理は全て転送されてくるので途中で店員さんがくる心配もない。
そんな店の前で俺の足は止まっていた。
「緊張しちゃって……」
「……本当に勇者会議なんだよな?お前のデートに付き合うつもりはないぞ?」
「そ、そうだよ!勇者会議だ!でもほら、俺の気持ち知ってるだろ?」
「……それとこれとは関係ない」
「いや!一応俺高校生だったし?意識しすぎてしまうのは分かるだろ?」
「……普通自分で言わない」
「説明は分かりやすかっただろ?」
「……まぁ……うむ」
「なんか、会って嫌われたらって考えると怖くて」
「……嫌われるような事をするのか?」
「そんな事はない、けど……」
「……自信はつけなくていいがマイナス思考になるな」
「へ?」
「……自信がないのと暗くなるのは必ずしもイコールではない」
「……」
「……自信がない時ほどプラス思考で動け、そうしたら、自信がない箇所をカバーできる」
「……」
「……なんだ?」
「な、なんか意外で……そんな事言うんだな?」
「……俺の尊敬する人が言ってたからな」
「ほーう……でも、確かにその通りだ、頑張る」
「……あぁ」
俺は足を進め中に入ると店員に指定のドアまで案内された。
「では、ごゆっくり」
そのまま店員はメインホールに戻る。
「……」
「……なぜまた止まる」
「いや、これは俺の問題じゃないんだ、単純に中に入るタイミングをミスると危ない」
「……は?」
「まぁ、ちょっと聞いて見るか」
この為に開発していた盗聴用魔法の魔皮紙を発動させお義理兄さんにも渡しドアを少し開ける。
すると中から声が聞こえてきた。
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「わ、私の家族に……妹になりませんか?」
「......へ?」
中から聞こえてくるのはアカネとアオイさんの声。
あー……アオイさんの声、耳が幸せすぎて溶けるぅ。
効くぅ……
「奴隷の時から少し思っていたんです、日常の魔法も使えない、女の子の日の対処の仕方も解らない、男の人みたいに他の人の目も気にしないで着替えるところとか心配が耐えません」
その男殺す。
「......は、はい」
「なので、私の妹にします!」
「......」
「わ、私は本気です、いずれあなたを奴隷から解放して私と一緒にリュウトさんと居ましょう!でも、まずは」
「っ!」
「ここまで頑張ったね、偉いよ」
「......」
「......あ…………うぐ…………」
「よしよし。恐かったね、心配だったね。でも大丈夫だから」
「うぐ……......あ」
「ん?」
「ありが、とう......」
「!......どういたしまして」
それからしばらくアオイさんが泣いているのを聞きながらドアの前で待機していた。




