アオイさんにナンパして失敗して勝って鼻血出して死にかけた話
「大丈夫?アオイ」
医務室で検査を受けたアオイさんが出て来て付き添いの方が声をかけてる。
どうやら大丈夫だった様だ……ふぁあ……よかったぁ……
アオイさんに何かあったらと考えるだけで1ヶ月は食べれない。
逆にアオイさんの事を考えるだけでご飯6合は食べれる。
「......すいません」
「謝ることないわよ、事故だしね、それよりこの人にお礼を言いなさい?」
「......ありがとうございます」
あー……アオイさんの声が俺にかけられている……幸せ……この耳もう洗わない。
おっと、幸せの時間を堪能している場合じゃない。
「大丈夫、当然の事をしたまで......ところで俺のこと覚えてない?」
「......すいません」
「ぐはっ......薄々感じてたけどやっぱりかぁ......」
ま、まぁ、最初は色々あったもんな……
「知り合いなのかしら?」
アオイさんが話せない状態なので付き添いのお姉さんが聞いて来てくれた。
どう答えるか……
そもそもアオイさんとは勇者召喚の日しか会った事ない。
このお姉さんもアオイさんの可愛さを十分理解しているのだろう、警戒心が伝わってくる……あぁ、アカネを連れてくればよかったなぁ。
「うーん、複雑な事情なんですけど、とりあえずここで話すのはまずいので今日の夜ここで」
心臓がバクバクと鼓動する中、俺のリサーチしたお店のメモを差し出す。
だ、大丈夫だよな、自然な流れだよな?
複雑な事情だぞ?だからここで話せないから仕方なく、ね?
仕方なくこの高級レストランで事情を話すんだよ?
「あら、ご丁寧に。でも断るわ」
「え!?」
ぐわぁぁぁあ!!!!!!
ま、まって!?失敗した!?この俺が!?
デート誘うの__間違えた話し合いのお誘いが失敗!?
しまった!つい来てほしすぎてあの話の流れなのにアオイさんにメモを差し出してしまった!この付き添いの人が怒ったのか!?その可能性を見逃すなんて俺の馬鹿!くそ!まぬけ!使えないグズ!
ぐぁぁあ!!あーーーーーー!!!
「当たり前でしょう?助けてくれたのはありがたいわ......けど私たちの状況からしたらアオイも知らない私もあなたを知らない状況、ここまで言ったら解るわよね?」
「ぐ......確かに......アオイさんからしたらあの状況は自分の事で精一杯だったから俺の事覚えてないのは当然か......」
せめてもの抵抗!
だ、だって勇者召喚された時はアオイさんはパンツ姿だったから!だから色々と大変だったから!嘘じゃないから!俺とアオイさんは無関係じゃないんだよ!気付いて!
「まぁ多少接点はありそうだけども、その感じじゃ知り合い程度ね、アオイ行くわよ」
いやぁぁああああああ!!!!!
知り合い程度!そ、そうだけど!この思いはその程度じゃないの!!!!!!!!!
「......はい」
アオイさんが後ろを振り向き一歩一歩離れていくたびに自分の内臓が一つずつ消える様な感覚に囚われる。
考えろ!考えろ俺!アオイさんが可愛いのはわかった!美人なのはわかった!今だけ冷静に!考えるんだ!
そ、そうだ!!!お義理兄さん!!
お義理兄さんなら知り合いどころじゃないはず!それをどことなく!アオイさんに伝えるんだ!
あくまで紳士にかっこよく、お義理兄さんがこの国にいる事を伝えるんだ!!
「ヒロユキに相談してみるか......」
ピタッ。
アオイさんの足が止まった。
どうだ!
「アオイ?どうしたの、行くわよ」
「…………………」
「アオイ?」
「......ぁ、う、あ......」
来た!この反応!
おそらく感情を殺したままで久しぶりに声を出したんだ!
つまり!今!ナウ!少しずつ自我を取り戻してるんだ!
今俺が出来る正解の行動は__
__アオイさんに背を向けゆっくりと歩いて離れていく。
焦らせろ!
推してダメなら引いてみな!
あぁ……でも離れる程自分の身を削っていく思い……我慢だ、我慢!
「......あの人……止め、て」
ふぁーーーー!!!
アオイさんが俺の事を止めてって!!
誰でもないこの俺を!
幸せ!
もう死んでもいい!しあわしぇ〜〜〜
「アンタまさか……解ったわ!ちょっとー待ちなさい!」
キターーーーーー!
恋のキューピッドの白羽の矢!
「何でしょう?」
とぼけろ!全部会話は聞こえてたがとぼけるのだ!
ここはテンプレを遂行しないと変な空気になってデートがおじゃんになる!
ここはアオイさん目当てではなく、あくまでも話し合いをしたい人なのだ!俺は!
「気が変わったのよ、条件付きならアオイと会ってもいいわよ」
「ほんとですか!条件とは?」
「此方が決めた場所と時間でお願いするって条件よ、もちろん、あなたの奢りでね?」
「本当ですか!そんなことならお安いご用!任せてください」
「あ、それともう一つあるわ」
「はい?」
「アンタのアールラビッツ、触らせてちょうだいね?」
「良いですよ!あいつも喜びます」
「決まりね、場所はナルノ町の表通りにある《ジョイピー》ってお店に明日の夜の九時集合よ」
決まった……
この勝負、俺の勝利だ!
勝ち取った!もぎ取ったぞ!この勝利!!!
俺の勝ち〜勝ち〜アオイさんとデート!デート!
「分かりました、此方もそれで問題ないです」
「じゃぁまた後でね?それと今回の“ナンパ成功して良かった”わね」
「え?」
ど、どうやら、俺のポーカーフェイスはお姉さんにはバレてた様だ……恐るべし、女の観察力。
「じゃあね、イケメン君」
そう言って2人は俺を置いて病院を去っていく……
良いか?
もう居ない?
アオイさんもう行った?
「よし、すいません」
俺は近くを通った看護師に声をかける。
「はい?なんでしょう?」
「緊急で輸血の準備してください」
「は?」
ツーっと鼻から血が垂れ。
それを皮切りに俺の鼻は爆発した。
「きゃぁぁぁぁああああ!!!先生!先生!緊急の患者さんが!!!」
あぁ……アオイさん……すてき__
………………
………




