代表騎士ナオミと義兄
ミクラル代表騎士ナオミ。
この国で、この人を知らない者はいない。
……だが、一つ疑問がある。
「どうして、面識が?」
今でこそ俺は勇者と呼ばれているが、それはクリスタルドラゴン討伐の実績から来る“通り名”のようなものだ。
本物の勇者であることは秘密。
一般人が代表騎士と関わる機会など、まず無い。
「……たまたま」
そう言ったお義理兄さんを、ナオミがすぐに訂正する。
「そんな謙遜しなくていいじゃないか。あたし達騎士団が、この男一人に助けられたんだよ」
なるほど!流石お義理兄さん!
代表騎士を救うとか、スケールが違う。
「何で聞いてきたアンタがニヤニヤしてるんだい?」
「え?いや、へへ」
「……気持ち悪い」
「えぇ!?」
お義理兄さんの話になると、どうしても顔が緩む。
心理的に、アオイさんに一番近い存在だからかもしれない。
「それで、二人ともどうしたんです?」
「あたしがちょっと礼をしようと思ってね。役職柄、この時間しか空いてなくてさ」
「なるほど」
代表騎士。
忙しいんだろう。
「ここじゃ何だ。二人とも、あたしの部屋に来てくれ」
……!
その瞬間、俺は見た。
代表騎士ナオミの――わずかな頬の緩み。
フッ。
俺でなければ見逃している。
同じ“恋する者”として、分かる。
「いや、俺は大丈夫です。時間も時間ですし、自分の部屋に戻ります」
「!……そ、そうかい。悪いね」
「いえ」
順調だな。
お義理兄さん、ちゃんと勇者している。
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部屋に戻る。
「……すぅすぅ」
「むにゃむにゃ」
ベッドの上。
アカネと――見知らぬ女。
ウサギ耳。
やたらと大きい胸。
「……」
一瞬だけ考える。
結論。
「うん、順調にテンプレ進行中だな」
朝。
その正体が人間化したあーたんだと知ったアカネが、死ぬほど驚いたのは――また別の話。




