お義理兄さんと代表騎士ナオミ
「さて、指定する女か」
正直、あーたんが仲間になったばかりだ。
これは仲間イベントではないだろう。
だから新しい奴隷はいらない。
……とはいえ。
無視していいイベントでもない気もする。
「どうしたものか__って、あれ?」
色のない白黒の世界でも分かる。
あの顔。
あの髪型。
お義理兄さん!!!!
説明しよう。
お義理兄さんことヒロユキは、俺と同じく召喚された勇者!
そして――あのアオイさんの弟だ!
つまり!
いずれアオイさんと結婚する俺にとって、絶対に好感度を上げておかなければならない相手!
これは重要だ。
極めて重要。
「ヒロユキー!」
「……」
お義理兄さんは無口だ。
だが顔には出やすい。
今絶対こう思った。
「うわ、めんどくさいのに会った」
でもいい。
お義理兄さんとは、色々とお互いのことを知っておく必要がある。
義理とはいえ、将来の家族だ。
「ヒロユキも来てたのか。それにこんな時間にどうした?」
「……用事」
「何の用事?」
「…………国の代表騎士に呼ばれた」
ほう。
ミクラルの代表騎士に?
確か名前は――ナオミだったか。
そういえばまだ会ってない。
「どこで会うんだ?」
「……ミクラル城」
「おぉ、ちょうどいい。俺も今そこに泊まってるんだ。帰るところだったし、一緒に行っていいか?」
「……」
一瞬だけ驚いた顔。
そして、
「……構わない」
よし。
そこまで嫌われているわけではないらしいな。
安心した。
「ふんふふん〜♪」
「……」
不思議なものだ。
流石アオイさんの血筋と言うべきか。
お義理兄さんと歩いているだけで、なぜか嬉しい。
俺に兄貴がいたらこんな感じだったのだろうか。
……いや。
この人が俺の兄貴だった(予定)
__そんなこんなで話していたら(俺が一方的に)
ミクラル城へ着いた。
「リュウト様、おかえりなさいませ。そちらの方は?」
門番が声を掛けてくる。
お義理兄さんを紹介しようとした瞬間――
それを遮る、低く太い女の声。
「ソイツは私の客だよ。この時間しか空いてなくてね」
騎士がすぐ気付き、敬礼した。
現れたのは――
前の世界では見たこともないほどの筋肉。
2メートルを超える肩幅もデカい全身、筋肉。
そして女性。
ナオミ。
ミクラル王国――国の代表騎士だった。




