遅すぎた気付き
「すいません!すいません!」
老若男女、さらに獣人までもを魅了する容姿の彼女は牛の獣人の前で必死に土下座をしていた。
「でー?この店はこの俺が誰かわかってんのか?俺はな!あの《熊さん組》の一員なんだよ!」
「っ!!」
「ほら、何とか言ってみろよ?」
持っていたミルクを、ディーラー姿の彼女――アオイへ容赦なく浴びせた。
「…………」
その光景を見ながら周りの獣人達も助けるわけではなく、慣れているのか話しているだけだ。
「よりにもよって熊さん組か」
「この店も終わったな」
「それにしてもあの人間、本当に顔がいいな」
「身体もいいぜ?」
「俺も買ったばかりの人間の奴隷に飽きたし、あいつ買えるかな?」
「無理無理、アイツはここの目玉商品だ、1日のレンタルだけでも破格に高いからなぁ……それなら他に回した方がマシだ」
騒ぎを聞きつけ、カジノヒツージのオーナーである羊の獣人が駆けつけて一緒に頭を下げる。
「非常に申し訳ありません!」
人間だけでなく、獣人も土下座、それだけで相手がどれだけの地位の人間かわかった。
「この度は“この奴隷が”勝手なことをしてお客様に不快な思いをさせて本当に申し訳ありません!」
しかし、底辺の中でも格差はある。
この獣人のオーナーがそういえば、人間が悪いのだ。
「……え」
全ての責任を押し付けられアオイは心の底から声が漏れた。
「そうだよなぁ!人間って種族はこんなんばっかりだぜ、そのくせ数だけは繁殖しまくりやがってよー、それもこれもてめーみたいな淫乱な身体して男誘ってヤりまくってるからだろ?ある意味俺たち獣人より獣だぜ!」
周りからドッと笑いが巻きおこる。
中には腹を抱えて涙流しながらハイエナの獣人が笑ってる。
「すいませんすいません」
「おいおい、人間よぉ、「すいません」だけしかいえねーのか?まるで鳴き声だな」
「っ!」
牛の獣人は調子が出て来たのか、アオイの長く、綺麗な髪の毛を乱暴に掴み、無理やり立たせる。
「ほーら、てめーの汚ねぇ淫乱な身体、せめてお客様にみてもらえよ、獣人なら可愛がったものをよ!」
そう言って片方の手で思いっきりアオイの服を破いた!
「っ!!」
片乳から黒いブラジャーが露出する。
「うひょ〜」
「ひゅ〜」
「ホッホッホ、それくらいにしておくれ」
「あ?誰だお前」
各々が乳を楽しんでいる中、人間のお爺さんが声をかけてくる。
「わしはここで大当たりしてその奴隷のレンタル券を獲得した者じゃよ」
「しらねーよ、今こいつに教えてやってんだ、てめーらみたいな人間がたてつくとどうなるか」
「いいのかの?いくら熊さん組だとしてもカジノの掟そのものを覆すと、《愛染家》が黙っとらんぞ?」
「ぐ……」
牛の獣人は視線を泳がせると、周りの騒いでいた獣人達も自分には関係ないとそれぞれ持ち場に戻りギャンブルを再開していった。
「ふん、運のいい奴だ」
最後にそれだけを言い残し牛の獣人も人混みに消えていった。
「オーナー、じゃぁ、わしの手続きを」
「かしこまりました」
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______
____
「さて、と」
一通り外の風に当たった後。
もう一度、カジノの中に入る。
「ヒメちゃん」
「アカネちゃん!見た?見た?」
「ふぇ?」
入ってヒメちゃんが私を見つけると興奮気味に話しかけてくる。
「あのね!すごいんだよ!奴隷で人間だけど__」
奴隷で“人間だけど”
この国では人間より獣人の方が地位が高いという風潮が根付いてる証拠ですね。
「__美人さんが居たんだよ」
「そうなんですか」
美人……私はその言葉を体現している人を知っている。
そんじょそこらの人に美人と使っても、どうしてもその子の顔が出て来て、こう思うのだ。
“どうせ、妹ちゃんよりは美人ではない”
と。
「いや!ほんとにほんとに!すっごい美人だったよ!」
「フフッ、私も見てみたいですね、どこにいるんですか?」
「うーん、それが色々あってブラジャー出してみんなに見られた後、最終的にどこかに連れてかれちゃったみたい」
「何ですかそれは……」
まぁ、人間の奴隷。
というか、私を含め女の奴隷は身体で稼いでなんぼな所はありますからね、話を聞く限り、乳を出して気に入られて高額値段で買われたのでしょう。
「はぁ……またいつか会えるかな、あの“金髪で青い目”の彼女に……」
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………は?ま、まさかね
「ヒ、ヒメチャン」
「どうしたの?ロボットみたいになって?」
「ソノヒトノトクチョウオシエテ」
「え?特徴?えーっと、金髪で青い目で胸が大きくてお尻も良い形で__」
「見たことないような美人だよね!」
「う、うん」
「この世の終わりくらいの可愛さだよね!?」
「そう!そんな感じ!」
「えと、えと」
「どうしたの?」
「その人!妹ちゃんかも!」
「あ、あの人が!?確かに……あの容姿ならみんな好きになるし……」
「何か、確定するものってありますか?」
「え?写真とかって事?」
「はい!」
「まだあるかわかんないけど……奴隷なら商品だから受付に行けば__」
言い終わる前に私は走り出していた。
そして__
「__っ!!」
どうして気付かなかったのだろう。
いや、夜になると出てくる“景品の奴隷”
私が……
私が!
「もっと!真剣に探していれば!」
____そこから先は、あまり覚えていない。
私は自分の失敗を隠すように店で暴れ__
「どこいった!あいつ!」
「……」
犯罪者になってしまった。




