女王様からのお誘い
《グリード城》
「──以上が、ミクラル王国での一連の報告になります」
俺はサクラ女王へ向け、一通りの出来事を報告し終えた。
火山島での調査。
スラッシュゴルドラの討伐。
ミクラル王への謁見。
クリスタルドラゴンの素材の献上。
そして、新たな仲間となったあーたんとアンナさんことまで。
玉座に腰掛けるサクラ女王は静かに頷く。
「ご苦労様でした、リュウト様」
その優しい声には、心からの労いが込められていた。
隣では、アカネが緊張して背筋を伸ばして立っている。
「ミクラル王も、大変喜ばれていましたか?」
「はい。クリスタルドラゴンの素材も、とても感謝されていました」
「そうでしょうね」
グリード王国とミクラル王国。
今回の一件で両国の関係は、以前よりも確実に良好になったはずだ。
サクラ女王は少しだけ真剣な表情になる。
「そして、ブルゼ討伐」
「…………」
「先日、ギルドよりブルゼがクリスタルドラゴンに並ぶ【災害級】と正式認定されたと報告を受けました。その脅威を討伐してくださったこと、我が国の出来事ではありませんが、一人の王として、そして民を代表して深く感謝いたします」
「俺一人の力じゃありませんよ」
「それでも、リュウト様がいなければ、もっと多くの民が命を落としていたでしょう」
静かな玉座の間に、一瞬だけ沈黙が流れた。
やがてサクラ女王は微笑みながら口を開く。
「今回の功績は、これまでの実績を含めても十分過ぎるほどです、そこで、王国として正式に褒賞を授けます」
「褒賞?」
「はい。」
サクラ女王は側近から一枚の魔皮紙を受け取る。
「本日をもって、リュウト様パーティーの冒険者ランクを──」
一呼吸置く。
「ルビーランクへ昇格とします。」
アカネが驚きに目を見開いた。
「る、ルビーランク……!?」
ダイヤモンド級のさらに上。
世界でも到達者はごく僅かしか存在しない領域だ。
それを、自分のパーティー全てに適応……かなりのご褒美だ。
「これにより、未開拓地への入域許可は国籍に縛られなくなります。開拓任務に限らず、調査・探索・討伐など、正当な目的であれば自由に立ち入ることが可能です」
「……なるほど」
物ではない。
だからこそ価値がある。
今後の行動範囲が大きく広がる褒賞だった。
「ありがとうございます」
サクラ女王は安堵したように胸を撫で下ろした。
「これで、より自由に旅ができますね」
「ありがとうございます。大切に使わせていただきます」
次の目的地は決まっている。
この世界の3国の内1つ__アバレー王国。
グリード、ミクラル、テンプレ通りなら、最後の国アバレー王国で何かが起こる可能性が高い。
俺はその可能性を確かめるつもりだった。
サクラ女王は静かに席を立つと、優雅な所作で衣服の裾を整えた。
「リュウト様」
「はい」
「ご出発まで、まだ少々お時間はございますでしょうか?」
「はい。まだ時間はございます」
サクラ女王は柔らかな微笑みを浮かべる。
「でしたら、お時間を少しいただいてもよろしいでしょうか」




