#89 デジャヴ?
ユリアはルルカとペンギンの部屋で、ルルカの幼い時の話を聞いていた。
4人の様子は気にはなっていたが、覗きに行くわけにもいかず、二人でとりとめもない話をしていたのだ。
「──ね?ひどいでしょう?」
「そうね、私もそう思うわ」
内心では微笑ましいなと思いながら、ルルカに同意した。
──ルルカってやっぱりセリウスの事が大好きなのね
ルルカの話しは8割がセリウスに関する事なのだ。本人はあまり意識していないようだが、思いが空回りしているのがよく分かる。
「あんまり近くに長くいると、良さが分からなくなるのかな?」
「──そうなのかしら……」
「うん、私もね、」
と、その時、ドアをコンコンコンと、叩く音がした。
「ルルカ、ユリア」
ドアの向こうからセリウスの声がした。
「「セリウス!」」
噂をすれば影だ!二人してドアにかけより、カチャリと開けた。
そこにはセリウスが、はにかみながら立っていた。
後ろにライオネル、エリック、ゲイルもいた。
「やぁ、さっきはありがとう。二人のおかげで助かったよ」
胸に手を当て、にこりと笑って礼を言った。
「どういたしまして。お話し合いは終わったの?」
ユリアが皆を見ながら聞いた。
「うん。ほんとごめんね、心配かけて」
セリウスがペコリと頭を下げた。
「すまなかった。君たちを巻き込んでしまって」
「悪かったな」
「ごめんなさい」
皆、次々と謝罪の言葉を口にした。
「問題は解決したのかしら?」
謝罪を受け入れつつ、ルルカが確認するように聞いた。
「「「「解決した」」」」
高音から低音まで、スッキリしたような声が応えたのだった。
「ルルカも落ち着いてるみたいだし、皆で浜辺に行こうよ。ゲイル、海亀の時間じゃないけど、魚は釣れるよね?」
「ああ、もちろん」
「よし、じゃあ沢山釣って今日の夕飯にしよう!」
セリウスが目をキラキラさせて言った。
「いや、食材は冷蔵庫に山のようにある。これ以上あっても腐らせるだけだろ」
ゲイルが呆れたように言ったが、
「ふふーん、僕の家系は水の精霊の加護があるんだよ?いざとなったらカチンカチンに冷凍してあげよう」
そう言えば、皆、家系的に精霊の加護があったのだ。
ライオネルは創造系、ゲイルは医療系、セリウスは水系、ルルカは風系、ユリアは土系、エリックは火系だ。
魔法って凄い、何でもやりたい放題じゃん?と思うが、やはりここは特殊な世界、ご都合魔法なので魔法で世界征服とか出来ないみたいだった。
俺なんか、一度も使ったこと無いし、怖いから今後とも使おうとか思ってない。
……あれ?今さらだけど、ライオネルにベッド創造してもらったら良かったんじゃないか?
……いや確か魔力使うのって、気力体力かなり使うんだよな。モノが大きいと余計に大変だったはずだ。
従者が誰もいない隔離された野外で、ライオネルがそんなリスクを負うとは思えない。
やはり、あるもので何とかしないといけないだろう。
「そんなに釣れるとは限らないんじゃないか?まぁ、セリウスが行きたいなら行こう。だが、釣具は無かったぞ」
部屋をチェックしていたライオネルは、置いてある道具まで把握しているようだ。
「それなら浜辺に置いてあるはずだ。生け簀もある。手ぶらで行けるぞ」
なら、行こうかとなり、皆で浜に向かうことになった。
「ユリアちゃんは釣りってしたことある?」
浜への道を歩きながら聞いてみた。
「小さい時にお父……様が好きで、よく一緒に川に釣りに行っていたわ。放流された魚を釣るんだけど、目には見えているのにあまり釣れなかったな」
「へー、ボクも子供の頃川に連れられてたよ。確かに思ったより釣れなかった。餌だけとられたりして」
「そうそう!川虫とか気持ち悪くて……なのに自分でつけろーって」
「うん、付き合わされたのはこっちだったのに自分の釣りに夢中になって、子供はほったらかしなんだよね」
「ほんと、わざわざお休みに付き合ってあげてるのにってお母さんも呆れて…………って…………え?」
「ん?…………あれ?」
「「…………………………」」
あれ?何だよ今の会話……。すごく……なんというか……自然だったような……?
「…………どこの親も似たような感じなのね……」
ユリアが頬に手を当て、そう言った。
「……そう、だね……釣り好きって皆似るのかな……」
……なんか、凄い既視感が……モヤッとするが……まぁ、偶然だろうな。
実際子供の頃ってどこの家庭も似たり寄ったりの遊びをしてるんだろうし。
そうこうしてるうちに、浜辺に着いたのだった。




