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#90 サーフフィッシング

やりたいことその⑥?海釣り。

「みて!また釣れたわ」

ルルカが息を弾ませ喜んでいる。

糸の先には15センチほどのかわいらしい魚がついていた。


「おーやったね、ルルカ」

セリウスが楽しそうにはしゃぐルルカを、優しい眼差しで見つめながら、釣り上げた魚を外してやっている。


「凄い、ルルカ。もう3匹目ね」

ユリアが感心したようにバケツを覗きこんだ。


「ふふ、セリウスの指導がいいのよ」

そう言いつつもやはりとても嬉しそうだった。



「ルルカはもう大丈夫そうだな」

釣糸を巻きながらゲイルがその様子を眺め言った。


「そうだね。良かった」


「セリウスは昔からルルカの事はよく見ていた。このままうまくいくといいが……」

一番近くで二人を見てきたライオネルがしみじみそう言った。



「……婚約解消とか……あるの?」

竿を振り、糸を繰り出す。リールを巻きながら、ルアーをポイントに寄せていく。


乙女ゲーでよく聞く、卒ダンで「お前との婚約は破棄する!」とかいう断罪ゲーがこの世界にもあるのだろうか?


「ああ、婚約の解消はあるな。セリウスたちもお互い第一候補であるだけで、正式な婚約ではない。学園での関係性でどうなるか、っと……」

引いたのか、ぐっとリールを巻きながらライオネルが言った。


竿がかなりしなっている。大物がかかっているようだ。


「……問題ない気がするけど……」

俺のにはまだ当たりがこないな……。

ゆっくり竿を揺らしながらリールを巻いた。


「今のところは、な。だが、まだ俺たちは一学年だ。これから気持ちに変化があるかもしれないだろ?まぁ、どうなるかは本人達次第だ」

ゲイルが慣れた様子で釣竿を振り、ヒューっと糸が勢いよく繰り出される。


「……ふーん……」


ほんと、何やっても様になるよなぁ……二人とも。


「どうした?気になるのか?」


「え?だって……あんなに仲良さそうなのに……変わることあるのかなって」


「逆に変わらない事があるのか?だいたい子供の頃と今では相手に望む事が違う、っだろ!」

ゲイルがグンッと勢いよく竿をあげた。

ピンっと張った糸がブルブルと震えた。


「っし!俺もヒットだ」

ぐーっと竿が折れそうなほどしなっている。

こちらもかなりの大物とみた。


いいなぁー。やっぱ釣りはかからないと面白くないもんなー。

二人の奮闘を見つつ、自分の竿を見ていると、微かにククッとした振動を感じた。


「ん?」

一瞬何かが引いた気がしたので、反射的にぐいっと竿をあげ、ゆっくりと糸を巻いた。

やはり微かな抵抗を感じる。途中で動かなくなったが強引に巻くとまた動き出す。


「??根がかりかな?」

またクンッと糸がひかれた。やはり何かがかかっているようだった。


「どうした?」

手にでっかいカラフルな魚をぶら下げてライオネルが側に来た。


「!!大きいね。それ、何の魚?」


「──分からん。後でセリウスに聞いてみる」

そういいながら生け簀に魚を放り込んだ。


「いい勝負だな」

ゲイルがこちらも負けず劣らずでっかい赤い魚をぶら下げていた。そのまま生け簀に投げ込んだ。


「二人とも大物だね。ボクも……引いてるみたいなんだけど……」

また動かなくなった竿をあちこち動かしながらリールを巻いていく。

変な感触だった。激しく抵抗される感じはないのだが、突然巻けなくなったり逆にスルスルと巻けたりする。


「……何がかかってるんだ?」

「変な動きをする魚だな」

ゲイルとライオネルも糸の先をじっと見ている。


「あ、動いた」

と、急に抵抗が無くなり勢いよく動きだした。


「ん?」


と、突然糸の先の水面から、ピューッと水鉄砲のように空中に潮が吹き上げられた!?


「何だ?」

「クジラ!?」

「そんなわけ無いだろう」


と、スポン!ヒュルルルー!

という感じで、糸に引かれてその物体が空中に姿を現した!


うす赤色のグネグネしたその薄気味悪い物体──それは!



「「「タコ!!」」」



何と、ぐちゃぐちゃと糸に絡まった大きなタコがかかっていた!


……重い……結構大きなサイズのタコが、ブラーン、グネグネ~と身体を開いたり閉じたりしている……。



「「「……………………」」」



「ははは!凄いね、エリック!タコを釣り上げちゃったよ!!」

と、後ろからセリウスの声がした!


「タコって普通に釣れるんだ……」

「私、初めて見たわ……」

ついでユリアとルルカの声もした。


うにょーん、うにょーん、グニグニ、ぐねぐねーん…………


「ふふっ……あは、はははは!タ……タコ!!へ、変な、動き……何故にタコ!!」

セリウスが腹を抱えながら大笑いしだした。


「!!っ…………」

なんだよ!!好きで釣ったんじゃないやい!

ライオネルやゲイルと同じくビッグサイズの獲物にはちがいないんだ!


ふんっと糸を引き寄せ、堂々とタコを掲げた!

「タコだって海洋生ぶっ、はっ!!」


大ダコがブシュッと俺の顔めがけて炭を吐きやがった!!鼻に入った!!


「ひっくしゅん!」

思わずくしゃみが出た。


「ぶははははは!エリッ……くはははは、か、顔……はははは!!ひぃ──うはははははは!!し、死ぬ……」

セリウスの野郎が這いつくばって笑いだしやがったぁ!!


「セ、セリウス、わ……らい、過ぎ……っう」

「そ、そう よ エリッ……顔……、ふ、拭かない……くふうっ!」

ユリアとルルカが真っ赤な顔をしてお腹と口を押さえている!?


バッとライオネルとゲイルを振り返った!


二人ともあらぬ方に顔を背け、ぶるぶる震えていた……。



………………うん…………確かに、間抜けだよな…………。


「────………………ぷ……ふふ……くくく、ふふ、ははははは、あははははは!」


皆を見てると俺も笑いが込み上げてきた。


はぁ~~何か、気が抜けたな!

ウネウネ動くタコも愛嬌があっていいじゃないか。

うん、釣りって楽しいな~~~~~~~!



海岸に皆の笑い声が響き渡った…………


実話だったりする。

某浜で遊びで釣ってたら、タコとキス釣れた。水面からプシューッて水が吹き上がってびびった。

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