#88 で、誰と寝るの?
エリッキュンお帰り!
「………………ん…………」
──はぁ~~~~良かったぁ~~無事解決したよ~すごいぞ~エリック~。
エリックはセリウスの頭を撫でながら、意識が覚醒してくるのを感じていた。
セリウスが話し合いをしようとした辺りから、緊張のあまりか、気が遠くなった。
ライオネルの圧が凄く、悟の意識が薄れていくと同時に、なんと、“エリック”が舞い降りたのだ!
──さすが高スペックのエリックだよ。俺がモヤモヤしててうまく言えなかった事を、たどたどしいながらもちゃんと言葉にして伝える事が出来たよな?
普段エリックを意識することはほぼ無いのだが、今回は7割くらい“エリック”だった気がする。つまりは共同作業だ。
そう!こうして俺たちは、なんとか攻略対象者たちと和解したのだった!
万事解決、やたー!!
「で?エリックは誰と寝るか決めたの?」
「ん?」
ひとり小さく拳を握り、目を瞑って感慨に耽っていた俺に、ソファーに座り直したセリウスが、何故だか楽しそうに聞いてきた。
「俺だろ?」
「私だよな?」
「いや、最初から僕って言ってたよね」
矢継ぎ早にそう言われた。
「んん?」
……あれ?これって……何も解決してない?
「「「誰を選ぶ?」」」
3人の声が揃ったのだった!
「だ……誰って……!」
ライオネル、ゲイル、セリウス……
それぞれ違う魅力があり、誰もがハイスペックで甲乙つけがたい。
完璧な美と言える綺麗な顔をした3人が、じっとエリックを見つめている──
「────うっ…………」
ぎぇーーーー!何だよ、この展開ぃ!?
これじゃまるで俺がヒロインみたいじゃねーか!
いや、ヒロインはユリア!ユリアちゃんだろう!?俺は攻略対象者なの!ユリアと婚約すんの!あんたらと婚約するんじゃないんだよ!
「────え……と…………」
……どうすればいいんだよ?エリック助けて!
「その……ボクは……誰でも良いよ。……皆……好きだし……」
ポロっと口からこぼれ出た。言ってから驚いた。
──おい、エリック君?この状況で何を“好き”とか言ってんの?自分でビックリだわ。
「好き、か……殺し文句だな……」
まんざらでもない様子でライオネルが口に手を当てた。
「お前……皆って……セリウスの影響か?」
ゲイルが胡散臭げにセリウスを横目で見た。
「え?僕のせい?」
セリウスが謂れのない風評被害を受けてしまった。
ムッとしたのか、心外だとばかりにエリックの肩に手を置き、ぐいっと自分の方に抱き寄せた。
「もう、この人達めんどくさいから、二人で寝ようか、エリック」
と、ウィンクした。
「俺と寝るんだよ。だいたい初めてじゃないし、他にも色々……俺とエリックの仲だもんなぁ?」
ゲイルが意味ありげにニヤリと笑った。
「寝たといってもどうせただの添い寝だろう。君は強引だからな。私とエリックとの信頼関係の方が……」
ライオネルが対抗して何か言おうとした。
「待って!!」
たまらずエリックが両手を前に出し、言い争いにストップをかけた。
皆がピタッと争うのを止め、エリックを見た。
「決めた」
──そう、この不毛な茶番をいつまでも続けてられない!
俺はここには海亀を見に来たんだ。誰と寝るかで揉めるためでは、断じてない!
「皆で寝よう」
──そうだ!雑魚寝だ!これで解決!
「は?」「え?」「本気かい?」
皆が呆気にとられた顔をした。
「ベッドをくっつけて寝れば、皆で寝れるよ」
そうそう、何だったら頭を付き合わせて、円になったら良いと思う。
「へー新しい発想だね。いいよ、そうしよう」
セリウスが面白そうに言った。
「まぁ……分かった。それがいいなら、そうしよう」
ライオネルも承諾した。
「…………ふ……いいぜ?」
含み笑いでゲイルも納得した。
「ん」
はぁ~~やっと解決したぁ~~!
ほんと俺たち、何やってんだろな?
……そういや、ユリア達どうしてるんだろう?
ほったらかしじゃないか?
「セリウス、ユリア達を呼びに行こう」
「そうだね。あー……誰かさん達の喧嘩のせいで、余計に不安にさせちゃったかな……」
「──そうだった……ルルカ」
忘れてたとばかりに、ゲイルがユリア達の部屋に目をやった。
「ユリアがいるから大丈夫だとは思うけど……何しろ外出先で従者が一人もいない状況って初めてだからね……僕、行ってくるよ」
セリウスが立ち上がり、部屋へと行こうとした。
「皆で行こう。私たちのせいで、怖がらせてしまった」
皆で、詫びを兼ねて二人を迎えに行く事にした。
エリックってやっぱり面白い。僕も好きだよ、エリック!(セリウス)




