#78 ボクが好きなのは
言っちゃう?言っちゃうの?エリッキュン……
「好きな人…………」
好きな人、か。
好きか嫌いかで聞かれると、学年会メンバーのことは全員好きだと思う。
レポートに取り組むメンバーを一人一人見た。
ルルカは……初めの印象でバカかと思ってたけど、違ってて、それなりに賢くて優しいちゃんとした女の子だった。それに、胸デカいのがポイント高い。イイよな~触ってみたい……ってバカ!
ゴホンっと咳をした。
セリウスは、意外性があって面白いし、人との、特に女子とのつきあい方とか上手くて、ある意味尊敬している。男友達の理想っていうか……俺もあれだけ自然に女の子と話せたら、モテるんじゃないか?
次は……ライオネル……。
ライオネルには……初めから好意があった。
……良いやつだし……王子で賢くて優しくて俺を気遣ってくれて……好きにならないわけない。
キ……までしたけど……嫌じゃなくて……ハッ!?違う、そうじゃない!事故、あれは事故だから!うん、普通に好きだよ?友達としてな!
一瞬目をつむり、ゆっくり息を吸い、自分を落ち着かせ、もう一度メンバーを見た。
ゲイル、は……よく分からん。
……嫌いじゃない……でも、普通に好きかと聞かれると、素直に“うん”と言いたくない。
アイツ、行動が読めないんだよな!……すぐ迫るし……昨夜だって……いきなりキ……して……何のつもりだよ?ハッ!違う!あれは挨拶、挨拶だ!
せっかく薄れていた昨夜の感触を思いだし、思わず赤くなりそうな顔を両手でバチンッと覆った!
うう~落ち着け、俺!あんなん大した事じゃないだろ?
くそっ!やっぱ嫌いだ、あんなやつ!
深呼吸して、指の間からチラリとユリアを見つめた。
驚いているのか、目と口がまん丸になっていた。
可愛いな~!あんなにビックリして……あ、俺が原因か?
ユリアちゃんは可愛い。紫の瞳とか妖精みたいに透明感あってすごく可愛い。
見た目だけじゃなくて、気も合うし、考える事とか似てるし、一緒にいて楽しい。
やっぱ好きだって思う。人に聞かれたら、好きな人はユリアちゃんって応える。
でも、ここで言っていいのか?俺の好きな人はユリアちゃんだよって?
言う?言っちゃうのか!?
ゆっくり両手を剥がし、ゴクリと唾をのみこみ、ユリアを見つめ、静かに言った──!
「いる、ような、いないような…………?」
くうっ!結局曖昧な事しか言えんわい!俺に告白とか出来ねぇよ!っエリックのヘタレめ!
「──特別は……いないって事……?」
「──そうだね。特別って言われると……いない、かな……」
「~~~そっかぁ……」
ユリアが、う"ーんと唸り、しゃがみ込んでしまった。
「ユリアちゃんは、いるの?好きな人……」
隣に同じようにしゃがんで、聞いてみた。
……ドキドキする。“いる”と言われたら、どうしよう?
ユリアはしばらくキラキラした水面を見つめていた。
「────私は……」
「おーい、二人とも、お茶を淹れるよー!戻っておいで」
と、その時、ユリアに被るようにセリウスが大きな声で二人を呼んだ。
「「──お茶…………」」
張っていた緊張の糸がプツンと切れた気がした。
ユリアも気持ちが削がれたのか、ふうっと軽いため息をついて、ニコリと笑って立ち上がった。
「──行こっか」
そう言って、スタスタと歩きだした。
「ちょっ……」
えっ、教えてくれないのか?ドキドキして待ってたんだけど?
ポカンと一瞬呆けたが、気を取り直し、立ち上がり、ユリアを追いかけるように跡を追った。
「──ねぇ、結局ユリアちゃんには……」
「──ヒ・ミ・ツ」
ふふと笑顔でかわされた。
「むむっ……」
言わんのかーい!
むぅ……可愛いいな……。
俺、からかわれてる?
ずるくない?俺だけ言わされたぁ!いや、曖昧だったけれども。
だからといって無理やり聞くわけにもいかず、もんもんとしながら揺れるピンクの髪を見つめた……。
だよね~ヘタレだもんね~!




