#77 レポート検討
俺、ここでも必死で勉強してるよ……(悟)
ペラ、パサッ、シュッ、カリカリ……
静かなリビングに、紙を捲る音、何かを書き込む音だけが響いている。
シーンとした空間には緊張を孕んだ空気が流れていた。
今日は朝から各自のレポートの検討会をしていた。
テーブルを取り囲み、輪になって時計回りで隣の人に自分の書いたレポートを渡す。
読んだ人はそのレポートの批評と、気になった点を別紙に書き加え、また隣に渡す──
それを一巡するまで繰り返していく。
自分の手元に戻る頃には、自分が書いたレポートを上回る量の批評と指摘が入った書類が渡される事になるのだった!
それをさらに精査し、レポートを纏め上げるのだが……
──くぅ~~しんどーーーー!
何これ?!この人たち、15歳だよなー?こんなん大学生とかがやることじゃない?知らんけど。ぐぁ~~~~頭いたーい!考えんのめんどくさくなってきたぁ~~~!てかさぁ、こんなん乙女ゲーにいらんくない?
「──ふぅ…………」
ふと天井を仰ぎ、エリックが小さくため息をついた。
「エリック……大丈夫?」
ちょうど顔をあげたユリアと目があった。
「──あー……うん…………ちょっと行き詰まっちゃって……」
自分の書いたレポートのどこをどう修正すべきか……?
皆の的確な指摘をクリアしようとすると、自分の主張がぶれてしまいそうで、修正する手が止まってしまうのだった。
「そっかぁ……実は私も……」
口に手を当て、周りに聞こえないように、囁くような声でユリアが告白した。
「ユリアちゃんも?」
コソコソ話をするように声を潜め、ぐぐっとユリアに顔を寄せた。
「──そろそろ休憩したいよね?」
「ん、ボクもそうなんだけど……なんか……言いづらいっていうか……」
「……うん……なんか、ね……」
周りに目を向けると、皆、真剣な顔で集中して書いている。
そしてライオネルがメガネをしてるのを初めて見た。
目が悪かったのか?と思ったら、違う。
ただの伊達眼鏡だそうだ。
集中力を高めるためにメガネを掛けることがあるのだと言っていた。
──似合うよな……まぁイケメンは何してもイケメンだけど。今度俺もやってみようかな?
「──エリック、やっぱり休憩しない?なんだか頭がこんがらがってきちゃった。気分転換しようよ」
可愛く見上げられ、そうお願いされた。
かぁーわぁいーーいーーー!
「ん」
もちろんOKだ!
皆の邪魔をしないように、静かに立ち上がり、プールサイドにユリアを連れ出すことに成功した。
「はぁーーー疲れたぁーー」
うーんと伸びをしながらユリアが盛大なため息をはいた。
「──ハハ、ボクもだよ。うまく進まないと、余計に疲れるよね」
「そうなのよ。皆、優秀だから……知ってたけど」
「ユリアちゃんも優秀だよ」
「首席の人に言われましてもぉ~」
肩をすくめ、おどけたようにそう言うユリアはマジで可愛い!
「ボクは……結局ライオネルには勝ててないよ」
「え?同点でしょ?」
「入試はね……でも、中間も期末も二位だ」
「……ライオネルは完璧王子様だから……」
「うん、凄いよね。あれだけ忙しいのに毎回一位って。いつ勉強してるんだろう?」
マジですごいよな~~普段から超多忙なのに……ちゃんと寝てんのか?
……そういや馬車の中でも勉強してたな。ちょっとの時間でも惜しんでやってんのかね~~
「ゲイルも全然勉強してるとことか見た事ないのにあの成績だし。セリウスも何だかんだで毎回上位だよね。ルルカもこないだ頑張ってた」
「……学年会メンバーって特別なのよ」
「──うん」
部屋で黙々とレポートに取り組むメンバーをみやる。
「ねぇ、エリック……一つ、聞きたいんだけど……嫌なら……応えなくていいの……」
「──何……?」
ユリアが急にモジモジしだした。
なんだろう?少し困ったような……まさかまた猫を拾ったんじゃ……?
「あのね……エリックって……好きな人はいるのかな?」
決心したように真っ直ぐにそう聞いた。
「──────え…………?」
ドキリとした。
好きな人って……ユリアちゃん、何でそんな事聞くの?(汗)




