#63 そこそこまぁまぁ
モブたちがモブモブしてる……。
その中でもそこそこの人はいたりするんです。
ユリアとルルカはタピオカジュースを買い、アイスクリーム屋に行った。
そして、アイスクリームの5段重ねを頼んだ。
オレンジ、バニラ、マンゴー、メロン、マスカットだ。
それは果物をふんだんに使った、リゾート地でしかお目にかかれない贅沢な一品だった。
「美味しそう。彩りもキレイで、食べるのがもったいないくらいね」
ふふふと笑い合った。
「「いただきます」」
テラス席に行き、さっそくいただくことにした。
これが美味しい、こっちはバニラと合うーなどキャッキャッと二人で満喫していると、
「こんにちは」
と、後ろから声がかかった。
その声の方を見てみると、青い髪と金髪の男性の二人組が立っていた。
焼けた肌に、それなりに整った顔とスタイルをした二人だった。
ただのモブとは違い、美形の枠に入りそうだ。
雰囲気からしてお金持ちで、スペックの高い二人なのだろう。
だが、学年会メンバーを見慣れた二人にとっては全く惹かれる要素がなかった。
ので、特に何の気もなくチラッと見ただけで、またアイスを食べ始めた。
「君たち何処から来たの?おれたちこの街に住んでるんだけど、良かったら案内するよ。おれはニック、こっちはケビン」
青い髪の男がニックと名乗り、親しげに話しかけてきた。
「いえ、結構です。後で友達と廻る予定ですので……」
ユリアが丁寧にお断りした。
「じゃあそのお友達も一緒でいいよ。ね、ほんとビックリしたんだ。君たちめちゃくちゃ可愛いよね!普通じゃないっていうか……君たちみたいに素敵な女の子、初めて会ったよ」
青い髪のニックが馴れ馴れしく椅子を持ってきて正面に座った。
「そう、声かけずにいられないくらい魅力的だ。モデルさんかな?ぼくはヨットを持ってるんだけど、一緒にクルージングに行かない?ホエールウォッチングができる穴場スポットがあるんだ」
そう言って椅子を引き寄せ金髪のケビンがニックの隣に座った。
「…………ごめんなさい。私たち行きたい所があるので……」
しつこく食い下がる二人に少し辟易しながらも、アイスが溶けてしまう前に立ち去って欲しいと思いながらユリアが対応した。
「何処だい?リースにあるお店なら網羅してるよ。顔も効くから安く出来る。一緒に行こう」
ケビンのこの自信は、それに裏付く根拠があるらしいところから見て、地元の有力者の息子と判断した。
といっても、ゲイルより上ということは無いだろう。
友達がいると言ってるのに強引に事を進めていくあたり、普通の女子なら流されるかもしれない。
だが、ユリアとルルカにそんな手管が通用する訳がない。
「……私たちはお友達と来ておりますの。あなた方は地元の有力者の方達なのでしょうけれど、そろそろお引き取り願えないかしら?せっかくのアイスクリームが溶けてしまいますわ」
ルルカが貴族の微笑みで威圧を込めて二人を見つめた。
「──っ…………」
ニックとケビンは気圧されたように黙ってしまった。
「そういうことだ。二人とも諦めたまえ」
後ろから澄んだ声がした。
「そうだね。強引さも必要だけど、今回は引き下がるべきだね」
また違う、甘い声がした。
「──ライオネル、セリウス、お店はまわれたの?」
ルルカが二人を見て、笑って言った。
「ああ、目当ての本があったから、別荘に送った」
ライオネルが近くの椅子を引き寄せ、ユリアの隣に座った。
「僕はアクアショップを見てただけ。飼うと皆が色々うるさそうだしね」
セリウスも椅子を引き寄せ、ルルカの隣に優雅に座った。
突然割って入ってきたライオネルとセリウスをニックとケビンは呆然と眺め、思った。
この二人……こっちも……種類が違う!と。
向かって左からセリウス、ルルカ、ユリア、ライオネルの順に並んで座った全員の視線が、正面に座るケビンとニックに向かった。
「────くはっ………ま、眩しい………」
「……な、なんなんだ……この人たち…………」
その神々しいまでに美しいオーラを放つ4人に圧倒され、二人は掠れた声しか出せなかった。
ニックとケビンは初めて会ったその4人組をまともに見る事も出来ず、その場をそそくさと逃げ出したのだった……。
格が違うんだよ、格が。




