#62 リースという町
観光地には観光客。
モブモブの中では超目立つよ。
リースという港町の観光地で俺達は馬車から降りた。
この辺りはサーファーの聖地と呼ばれているらしい。その中でも、一番良い波がくる場所はブラックダイヤ家のプライベートビーチだそうだ。
でも、まぁ海は広い。
他にもたくさん良い波がくる所はあるだろ。
ここの名物は魚料理はもちろん、肉料理、果物をふんだんに使ったアイスやパンケーキなんかも有名らしい。
ドリーム国各地からだけでなく、外国からも観光客が訪れるようで、ハワイの高級リゾート地って感じだ。ハワイ知らんけど。
確かに人種も様々だった。
ゲイルのように肌が褐色なのはチラホラいるが、ゲイルほどイケメンはいない。
やっぱりこの国でも、モブはモブか……。
そんな中だから、俺達6人が集まって歩くと、皆が道を譲り、自然と道がひらかれる。
ただの一般人で無いオーラが半端ないのだ。
セレブリティ内でもそうなのだから、慣れちゃって……なんか寂しいよな。
はじめは得意満面だったのに……今では何も感じなくなった……通常運転だよ。
「あれ、すごく美味しそう」
アイスクリーム屋の前でルルカが立ち止まった。店の外まで人か並んでいる人気店のようだ。
「ルルカ、こっちも美味しそうよ」
隣はタピオカ屋だ。
女子が好きそうな店がズラリと並んでいる。
ケーキ屋に喫茶店、水着や帽子、バッグや靴などの雑貨店……。
「──とりあえず、一度別れるか?集合場所を決めて、各自好きな店に行くのはどうだ?」
と、ライオネルが提案した。
ライオネルは本屋に行きたいみたいだった。
さっきからソワソワしている。
「いいんじゃない?後でまたここに集まるって事で」
セリウスはアクアショップに行きたいっぽい。
ガラスケースに入っている亀や綺麗な熱帯魚が見える店に視線がいっている。
意義無し、との声が上がった。
「それじゃ各自、自己責任で行動してくれ。集合は、そうだな……だいたい1時間後にここでいいか?では解散」
ゲイルがパンっと手を叩き、その場は解散となった。
それぞれが興味のある店へと向かった。
……さて、俺は何処に行こうか?
外出ってあんまりしないしな。行くとしたらゲーセンだったし……どうしよう?
「エリック、お前は何処に行きたいんだ?」
後ろから声がかかった。
「──ゲイル……」
あれ?何処にも行かなかったのか?
「お前、あまり外国慣れしてないみたいだし、案内してやる」
「え……いいの?」
「ああ、別に俺には珍しい場所じゃない。名所は後で合流してから行くとして、今はお前の興味のある所へ連れて行ってやる」
「……ボクは機械とか好きなんだ。プラモデルとか……そういう店はある?」
「確か、裏通りにあったと思う。飛行船や船が中心だ。行くか?」
「うん、行ってみたい」
飛行船!あれか?ヒンデンブルグみたいなやつか?燃えたら困るけど。
「じゃあ行くか。こっちだ」
ゲイルの後ろについていった。
一つ筋を入る毎に、少しずつ人通りが少なくなっていく。まさに裏通りって感じだ……。
……今なら聞いてもいいかな?誰も居ないし……
ふと、立ち止まり声をかけた。
「ゲイル、ちょっといい?」
「──ああ、何だ?」
ゲイルも立ち止まり、振り返って俺を見た。
「────あの、昨日はありがとう」
「……なんだ、改まって」
「あ──その…………朝ボクに、一人で寝るのは苦手か聞いてきたろ?……なんで?」
……ドキドキしてきた……
「そのままだ。苦手なのか気になった」
「そうじゃなくて、何故ボクが苦手かもって思ったの?」
「──夜中に、大丈夫か様子を見に行った。動いてたから、起きてるのかと思って近づいたら……抱きついてきた。全然離れなくて……仕方ないから明け方まで一緒に寝てた」
──マジですか……俺が抱きついた?へぇ……そう言えば、でっかいペンギンが側に来てパタパタやってたから、思わず抱きついた夢を見た気がする……いい匂いがして幸せ~って……。
あ~あれ、ゲイルだったのか。なるほどね!
じゃ、ねえよ!俺のバカァ!!
「━━━━━━━ごめんっ!!」
「覚えてないんだろ?謝らなくていい。ほら、店にいくぞ」
ゲイルは何事も無かったかのようにスタスタと歩きだした。
「──あ、ああ……そう…………」
…………俺……何やらかしてんだ……。
うぁぁああ……これじゃ好きだと誤解されても仕方ないんじゃないか?
混乱したまま、とぼとぼとゲイルについていった……。
流されエリっくん。
自分が何をしたいのか、混乱中。
そもそも好きって何なんだよ!?




