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#61 観光に行こう

乙女ゲーでも恋愛オンリーではないんです。

多分ね!

「あ、あれは何?」

ユリアが白い綺麗な鐘のある建物を見て聞いた。


「孤児院だ。昔の教会跡を改装して使ってる」


「え?そうなんだ……建物が綺麗だから、てっきり観光地かと思っちゃった。ドリーム国にも孤児院とかあるのね」


「それはあるさ。でも食べ物なんかは困ってないぞ。孤児院で食う分に限り、ここでの漁を認めてるし、中には畑もある。自給自足だ。それに1日数時間は初等教育を受けてる」


「中に教育機関があるのか?」

驚いたようにライオネルが聞いた。


「初等科だけな。孤児院出身は仕事に困る事が多い。読み書き計算ができれば労働力として雇われ易いだろうって親父が設けた。ブラックダイヤ領だけでの話だが」


「……そうか……流石だな。孤児の労働環境問題は我が国でも時々議題に上がるんだが……偏見もあって、なかなか難しくてね……」


「あのさ~お二人さん、ここで真面目な政治の話をしないでくれる?僕ら観光に来てるんだよね?」

セリウスが小難しい話をぶったぎるように割って入った。


「……そうだったな。いや、すまない」

ライオネルが苦笑いしながら謝った。



そうだよな~そんなリアルな政治の話、この世界に関係なくない?

……それとも何かあるのか?

元を全く知らないから時々分からなくなる。


チラッとユリアを見た。

神妙な顔で孤児院を眺めていた。


……やっぱり何かあるのか?


「……学校にできないの?」

思わずポロっと口から出た。


「え?」

ライオネルがパッと俺を見た。


「あ……いや、ブラックダイヤ領で成功してる例があるわけだし、そのままファンシー国でも取り入れて、ついでに学校にしたらいいんじゃないかと。孤児の子らは寮生活させて、通いの子達も一緒にすれば孤児に対して偏見とかなくならないかなって……ごめん、素人考えです………」

あまりにも真剣な顔でライオネルに見つめられ、気後れした。


「──いや、参考にさせてもらう……」

ぼんやりとライオネルが言った。


……変なこと言ったか?

確か東京にもそういう所あったよな……。


「エリックまで……ほら、もう止め止め!楽しくやろうよ。女性陣が固まってるよ?」


そう言われて二人を見ると、不思議そうにこちらを見ていたユリアと目があった。


「──何?」

あんまり凝視されると照れるな。


「──エリックって……ううん、ちょっと驚いたの……エリックから学校経営の話が出るなんて……」


おお、もしかして尊敬されちゃった?

よし、ここは出来る子アピールしとかないと!

「ボクだって伯爵の端くれだからね。少しは考えてるよ?」


「俺も驚いたが……よく考えたらお前は主席だったな。普段の態度からは想像しにくいが」


「──情けないって言いたいの?」


「私は、エリックは頭が良く人を思いやる気持ちも強い素晴らしい友人だと思っているが?」

すかさずライオネルがそう言い、トンと肩に手を置いた。


「そうだね、そこは認めるよ。まぁ……恋愛に関しては平均点以下だけどね……」

セリウスがぼそりとディスった。


「エリックは純粋なのよ」

ユリアが即座に言った。


「奥手なだけよね?かわいい」

ルルカがアルカイックスマイルで微笑んだ。


「──別に……ボクはっ…………」

くそっ!悟の経験不足がこんなところまで影響するとはっ!

でもまだ15歳だし、いや、もうすぐ16歳か?

……まだまだ何も無くても……問題ない、よな?


……もしかして、何の経験も無いのって俺だけ?エリックがあったとしても、今の俺にはその記憶がないから、無いのと同じだ。


「…………皆は……その…………いや、何でもない」


「エリック、大丈夫だよ。いざとなったら僕が手取り足取り教えてあげるから」

ポンポンとセリウスに背中を叩かれ、小声で囁かれた。


「セリウス、それは俺の役目だ」

ゲイルがここぞとばかりに割り込んだ。


「揶揄うな。エリックがパニクる」

ライオネルがかばうように言った。


「────大丈夫だよっ……」

くぅ、皆して余裕の態度だな!

どうせ俺はチェリーだけど?だからって迷惑なんかかけてない!別に経験があるからって偉いとも思わねーよ!


プイッと窓の外を見た。


──いや、そうだった……ここは恋愛至上主義の世界だった。つまり、俺はここではヒエラルキーの一番下?


……あれ?マジでヤバくない?


……かといってユリアちゃんと事を進めるのは早計が過ぎる……。



「……そろそろ町に着くんじゃないかな?」

変な空気を察してか、ユリアが話題を変えるように言った。


せっかくだし名店に行きたいよね~

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