#51 ボード遊び
海でやってみたい事、その①。
きっと気持ちいい……。
「波が高くなってきたし、ボードやらないか?」
「ボードってサーフィンとか?」
「ああ。ボディボードもあるから好きな方を選ぶと良い」
「私はボディボードの方がいいかなぁ」
「じゃあ私も」
ユリアとルルカはボディボードを選んだ。
じゃあ俺も……
「OK!じゃあ行こう」
ゲイルがさっさと小屋へと歩きだした。
……あの、俺の意見は……?
「ここらは比較的波が穏やかだから、初心者向けだ。ライオネルとセリウスはいいが──3人はやったことあるか?」
「全然」
「初めてです」
「見たことはあるかな」
「じゃあ……マンツーマンで……」
「ゲイル、教えてくれる?」
ユリアがさっとゲイルの元に飛び出すように行った。
「じゃあ、ルルカ、君は僕が教えるよ。エリックはライオネルに教わって」
「分かった」
早速3手に別れ、それぞれが生徒と先生になってボードを教わることになった。
「どのボードがいいかな……」
ライオネルが並んだサーフボードの前で選んでいる。
俺……何も言ってないのに、サーフィンやることになってるんだけど……。
……サーフィンって……なんだ?あの板に乗って波の上を滑るやつだよな?
……そんなの出来るのか?俺に?
何でもない顔でライオネルに着いていきながら気持ちはパニック寸前だった。
……俺がサーフィンとか、やっぱ無理!あれはパリピのチャラ男がナンパする為にやるやつだろ?
「エリック、ボードの横に立って……うん、これがいいかな」
ライオネルがさくさく選んでくれた。
「まずは砂浜で練習しよう」
と言って、体重のかけ方、ボードのつかみかた、ボードに乗るタイミングなど、色々教えてくれた。
陸上でやってるとバカみたいかと思ったが、想像力を働かせやってみると、なかなか面白かった。
「ああ、もう大丈夫そうだな。さすがエリックだ、運動神経がいい。では行くか」
と言って、早速波に乗ることになった。
「ん」
……え、マジですか?ほんとにもう行くの?怖いんだけど。もうちょっと陸でやらない?気が早くない?ね、ライオネル、止めとこうよ……
そんな思いを込めながらライオネルに視線を送りつつ、トテトテついて行った。
……ドナドナだ……またドナドナが聞こえる……
「よし、入るか!」
ボードに乗って泳ぎ、いい感じの波が来るところまで行った!
──マジか!ほんとに波に乗るのか!?俺が?このオタクで帰宅部の俺が!?
ザバーンって感じで波が定期的にやってくるところまで泳いできた。
ザッバーン!ザッバーン……
うねるように波が近づいてくる。
うわぁ!怖いんだけど?
「──ライオネル……やっぱり……」
「エリック、次の波で乗るぞ!」
「!わ、分かった!」
ゆらりと波が近づいてくるのが見えた!
「今だ、エリック!」
グワ──っと近づく波にボードを寄せ、さっと飛び乗った。
グンッと進んだ!
「──すごっ──!!」
ザァ────ッと視界が開けていく!
「ハハ、上手いぞ!エリック!」
ライオネルの声が聞こえた。
すっげぇ──!!
この感覚!自分が海の一部になったみたいだ!
「ライオネル!すごいよ!ボク──波になってる!」
「ああ!いいぞ、そのまま──エリック!」
「うわっ!!」
急にグラッと揺れ、ドバーンっと海の中に突っ込んだ!
ゴボオァ──!水飲んだ!辛い!
くぁwせdrftgyふじこlp!?
波に巻き込まれてどっちが上かわからん!
ギャー!!足が引っ張られるぅ!!
ダメだ!落ち着けエリック……力を抜いて……
グイッと腕が引かれた。
バッと見ると、ライオネルの顔が間近にあった。
俺の目を見て、一方向を指さした。
そこが上だと言うように。
頷いてライオネルについて泳いだ。
「ぶはっ!!」
ああ!空気だ!新鮮な空気だ……
「エリック!すごかったな、初めてにしちゃ上出来だ」
ライオネルが弾けるような笑顔で誉めてくれた。太陽を背に、黄金色の髪が輝いている。眩しいぜ、兄貴!
「──教え方が……ごほっ!上手いから……げほっ!」
「!水を飲んだのか?よし、一度上がろう。こっちだ」
二人で陸に戻っていった。
なんと、この悟が中身なのに、初乗りは、大成功に終わったのだった。
よくやったね、エリック!
運動神経いいって誉められたよ。ライオネルはその気にさせるのがうまいなぁー。




