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#49 付き合うって?

誰と誰が?


本音は誰も言わない。

言えば終わりになるかもしれないから。


曖昧な気持ちに名前をつけるとすれば……

それは何?

見渡す限り白く輝く遠浅の海岸は、小さな生き物の宝庫だった。

サンゴ礁には見たこともない色鮮やかな小魚達が群れをなして泳いでいた。


少し広い岩場があり、そこを拠点として海の中を散策した。


そうして遊んでいる内に、メンバーの意外な面が見えてきた。


「あ、ヤドカリ発見!」

セリウスがでっかいカニをルルカに持ってきた。


「え?それってカニでしょ?ヤドカリじゃないじゃない」


「ふふふ、これ、よく見て。足が8本だろ?これは一見カニみたいだけどヤドカリの仲間なんだよ」

と、セリウスが変な豆知識を披露したのだ。


「へーそうなんだ、意外。え?セリウスはカニ博士なの?」

ユリアが驚いた顔で聞いた。


「いや、そういう訳じゃないんだけど。僕は昔からドリーム国に来てるだろ?こっちで知り合った女の子でやたら海の生物に詳しい子がいてね……色々、教えてもらったんだ」

懐かしそうに言った。


「……まぁ確かに、セリウスは女子から色々教わってたな」

ライオネルがボソリと言った。


「ああ、そうだった。大勢の女子から“色々”教わり過ぎて、さばくのも大変だったよな?」

ゲイルがニヤリと笑い、セリウスを見た。


「ふーん……」

「あら、そうなの」


そうしてセリウスは女子二人から白い目で見られる事になった。


「え?ルルカ、君まで?あの、僕は別にやましいことはしてないよ?」


「別に気にしてないわ。セリウスがお盛んなのはずっと前から知ってるもの」


「……僕は自分から声かけたりはしないんだけど」


「そうね、あなたは来る者拒まずなだけよね」


「……なんかトゲがある言い方だね」


「まぁまぁお二人さん、こんな所で喧嘩はやめよ?」

ユリアが割って入り、その不穏な空気を和らげようとしている。

ちょっと面白い。


そういや、セリウスとルルカって婚約第一候補なんだよな。なるほどなるほど、そうか、へ~。

思わずにやけてその光景を眺めてしまった。



「何が面白い?」

ゲイルが聞いてきた。


「セリウスが女子から責められるってあまり見ないからさ」


「確かに。上手くあしらう奴だから。アイツは何人もの女性と付き合ってきてるが、恨まれたり修羅場になったのを見たことは無いな」

ライオネルが3人を眺めながらそう言った。


「こっちに遊びに来てた時も複数同時に付き合ってた。それでも喧嘩になってなかった。その手腕は見習いたいところだ」

真面目な顔でゲイルがセリウスをほめてる。


……なんだそりゃ。複数同時って……ただのハーレムじゃん。って、それを見習う?

ゲイルもハーレム思考?


「……おそらくどれも本気じゃないんだろ。だから感情的にならず、喧嘩にもならない」

ライオネルが穿った意見を言った。


「……二人は複数人と付き合いたい?」

二人ともヒエラルキーの頂点にいる。

寄ってくる女子は数多いるだろう。やっぱ男としてはハーレムに憧れるもんか。


「めんどくさい。後腐れない相手なら遊ぶ事はあるだろうが……付き合うのはまた別だ」

ゲイルが何処かなげやりな調子で言った。


「私は心を通わせられる相手と関係を深めたい。だから、一人でいい」

思う相手がいるのだろうか?どことなく切なそうにライオネルが言った。


「……ふーん……」

そういうもんかね?


「お前は?」「エリックは?」

二人から同時に聞かれた。


「ボクは……好きとか付き合うとよく分からない……婚約しなきゃとは分かってるんだけど」

ユリアを好きな気がする。

でも付き合いたいかと言われると、よく分からなくなる。


「お子ちゃま赤リス。やっぱりお前は小動物だ」

ぐしゃぐしゃっと髪をかき混ぜられた!


「っだから!やめろってば!」

ほんと、頭、禿げるだろうが!


「……俺が教えてやろうか?」


と、突然ゲイルが耳元で囁いた。


「え?」

ぐぅ、イケボ!

いや、大丈夫、そろそろ耐性も出来てる。赤くならないぞ!


「揶揄ってやるな。エリックは純粋なんだ」

嗜めるようにライオネルが言った。


「はっ!王子様は過保護だな。なぁ、エリック、俺と付き合ってみるか?」

ぐっと肩を持ち、何でもないことのように言う。


「へ?」

は?俺が?ゲイルと付き合う!?意味わからん!


「手取り足取り教えてやる。好きになるってのがどういう事か。付き合うっていうのが何をするかも」

じっと見つめられた。


「うっ……!」

ぎぇー、少し細めた赤い目が妙に色っぽい!何これ!?


「ゲイル」

鋭く釘を刺すかのように、怒った強い口調でゲイルの名を呼んだ。


ライオネルがこんな口調をするなんて驚いた。



「……はいはい、分かってる。冗談だ。そろそろ戻るか?休憩にしよう」

ゲイルが肩をすくめ、すっと離れた。


「…………うかうかしてると、かっ拐われるぞ?お優しい王子様……」

小さく囁くような声で呟いたが、波の音で誰も聞こえなかった……

一夏の体験が、ぐっと大人にするのです!


どうなる?

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