#40 ペンギン
ペンギンかわいい。南国にいるのはアデリーとか?
南極にいる皇帝ペンギンはブリザードに耐えるんだよ。すごいね!
「もう部屋には行ったのか?」
「ゲイル様がお着きになってから案内させていただこうかと思っておりました。どちらのお部屋をお使いになられるか皆様で話し合われるかと……」
「──そうだな。一息ついたら部屋を案内させよう。じい、俺にも紅茶を淹れてくれ」
「はい、ただいま」
バトラーがさぁーっと風のように退出していった。
「さて、セリウス以外、ここは初めてだよな。どうだ?ここの感想は」
ソファーに座り、自信ありげに聞いてきた。
「すっごく素敵!海が深い青なのね。動物たちもいっぱいいて、見たことの無い鳥がいたわ。セリウスから聞いたんだけど、イルカが近くに来る入り江があるの?」
ユリアが興奮気味に、ゲイルに食いつくように身をのりだした。
「ああ、離れ島だがペンギンが来る所もある」
「ペンギン!?」
「まぁ、ペンギンなの!」
ルルカも食いついた。
「!!」
俺も食いついた。
ペンギンわかわいいよな~!好きなんだよ。水族館行ったら必ず見に行く。餌付けとかしてんのか?餌やってみたい!
「連れて行って欲しいか?」
ゲイルが笑いながら言った。
「もちろん!」「会いたいわ」
ユリアとルルカの息がピッタリだ。
俺ももちろん会いたいです!
黙ってゲイルを見つめ、俺も連れて行け~と念を送った。
その熱い視線に気づいたのか、
「……分かった、船を用意させておく。ライオネルが来たら皆で行こう」
と、ゲイルが宣った。
よっしゃ!めっちゃ嬉しいんだけど。
下を向き、グッと小さくガッツポーズをした。
「うわ~~楽しみぃ!ありがとう、ゲイル!」
ユリアが頬を染め、きゃいきゃいルルカと手を合わせて喜んでいる。
カワイイな~俺も交ぜて欲しい。
女子っていいよな。こうやって素直に感情表してもカワイイもんな。
ふと顔を上げると、ゲイルとセリウスも、微笑みながらその光景を眺めていた。
……やっぱり皆もカワイイって思ってるんだ。分かる、分かるよ……恋愛とかはよく分からんけど、ユリアが嬉しそうにしてるのを見るのは気分が良くなる。
うーん……これって……好き?なのかな……。
「そうだ、ゲイル、お土産を持ってきたんだけど、受け取ってもらえる?」
セリウスが思い出したように言った。
ここにしばらく滞在する為の日用品なんかの必要な物は別荘に、お世話になるのだから金品などの必要経費はブラックダイヤ公爵の元に、既に送られてるはずだった。
でも、やっぱり訪問には手土産が欠かせない。
「あ、そうだったわ」
「そうよね。失礼しました。先にお渡しするべきだったのに……」
ユリアとルルカも今思い出したようだ。
「──ボクも……」
すっかり忘れてた。
ゲイルの別荘に招待された事を親に話したら、父も兄も大喜びで、絶対手土産を持っていけといくつかの中から選ばされた。
はじめは、こんな選択肢あるんだと思ったけど、ゲイルに似合いそうだし、レッドクローバー家の特産品だから、ちょうどいいと思って選んだ……けど、ほんとに良かったのか?俺……。
「滞在のお礼とこれからもよろしくの意味を込めて、僕からはこれ。昔よくやったよね。今夜やろうよ」
と、テーブルの上に箱を乗せた。鍵をあけ、開くと中には綺麗に装飾されたチェスの駒があった。それはポータブルチェスセットだった。
「いいぜ。そういえば決着のついてないゲームがあった気がする」
「ふっふ、返り討ちにしてあげるよ」
セリウスが参謀みたいな顔でニッと笑った。
「私からはこれ。イエロームーン家特産品の皮のバックよ。使ってもらえると嬉しいわ」
「これは……ありがとう、使わせてもらう」
「私はピンク・フィールド製のカシミヤ生地を持ってきたわ。コートに仕立ててもらえればいいかなって。ルルカのバックと合わせても素敵だと思うの」
ユリアはゲイルが着てるところ想像しているのか、うっとりとそう言った。
「ピンクフィールド製はこちらでも人気がある。それにこれ……暖かそうだな……ありがとうユリア」
じっとユリアを見つめ、意味深に礼を言った。
「ゲイル……どういたしまして!」
ユリアが嬉しそうに笑った。
今のやり取りに違和感を覚えたものの、次々と渡されるいかにも高級そうな数々のセンスのいいお土産に気後れしてしまう!
皆、楽しそうに話してるけど……。
渡そうと思っていた小さな箱を隠すように背中に回した。
え?これ、やっぱおかしくない?俺が贈るのって……よくよく考えたら変だよな?
こういうのはユリアとかルルカが贈るやつじゃないか!?
「──………………」
どうしよう……なんか……。
……このまま持って帰ってもいいかな?
エリックんと悟ルンが合わさったらどんなプレゼントになるの?




