表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/153

#19この世界

ちょっとセンチな悟ルン。



「おー……」


いや、知ってた。

この建物に入った時から予想はついてた。


「……やっぱりマンションじゃん」

ポソリと呟いた。


中は俺の部屋とたいして変わらない作りだった。

もちろん窓や壁紙とか照明とか作りは違うけど、現世と同じ感じのベッドがあって、本棚があって、クローゼットがあって、机と椅子がある。部屋なんてこんなもんだろう。


「この分だとシャワーとかあったりして」

早速風呂場を見に行った。


「普通にシャワーついてるし……トイレもウォシュレットだし……」

普通に浴槽とシャワーがあって、トイレが別だった。


ほんとこういうとこが、あれだよなー。

まぁ?リアルにベルサイユ宮殿にこだわったら、トイレは庭になるしな。垂れ流しの糞尿で臭くて庭なんか歩けやしない。そんなリアルが乙女ゲーに必要なわけないわな~。


ま、生活に支障がないのは良いことだ。

ブレザーを脱ぎ、椅子にかけた。

そのままベッドに転がり、目を瞑った。


うん、スプリングもばっちり。大きさは若干小さいが、レッドクローバー家のものとひけをとらない。

そりゃそうか。王族や公爵家や貴族の子女たちが来るんだもんな。だてに高い学費払ってる訳じゃないな。いくら払ってるかは知らんけど。


「ふー……なんか、半日で疲れたなぁ……」

転がりながらここまでの出来事を整理してみた。


まず、乙女ゲーの愚痴を言ってたら謎の声にそのゲームの中にとばされた。


……マジ理不尽。


で、俺がこのゲームについて知ってることは、ほぼ無い。

ユリア(プレイヤー)が四人の男の中からイベントをこなしながら一人を選び、婚約することでこのゲームはエンディングになる。その四人がエリック(俺)と、今日会ったライオネル、セリウス、ゲイル、だという事。

ここから出るには俺が選ばれてユリアちゃんと婚約しなければならない事。

分かっているのはこれだけなのだ。


「軽く考えてたけど、どうすればいいんかね」

ふーっとため息をはいた。


……だいたい攻略される側ってのがズルいよな。受け身だからどう動けば正解なのかわかんねー。どうもこっちからは積極的には動けない感じだもんな。


この世界はユリアの恋愛が中心で回ってる。ユリアが望めばすぐにでもエリックに出会えると思うのだ。だけど、こちらからは会おうとしてもなかなか会えない。

現にライオネルとは会ってるのに、俺とは偶然ぶつかっただけで、それ以降まともに会えてもいない。


……向こうは、ど・れ・に・し・よ・う・か・なってなもんだろうけど……


うわ~ん、メンドクサイ!!

もう、あの謎の声に「俺が間違ってましたぁ!乙女ゲーサイコーっす!!」って言うから、戻してもらえないだろうか?

なんなら跪いて靴を舐めてもいい。


「はぁ~~~~~~あぁ~~~」


大きなため息をはき、ゴロゴロベッドに転がっていると、コンコンコンと誰かがドアを叩く音がした。


「へ?」

……まだ集合時間には30分以上あるはずだけど……?

そう思いながらもドアを開けに行った。


「やぁエリック、少しいいか?」


ライオネルが立っていた。

半日しか経ってなかった!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ