ラブコメとは地獄の企画会議のことである
昼食を共にした山田と羽波に進展はあるのか!!
世の中そんなに甘くない!!
いいぞ畠中!!魔王を仕留めるんだ!!
今回、ラブコメとは地獄の企画会議のことである
「先輩、一緒に部室行きませんか?」
そう声をかけてきたのは俺の後輩……ではなく同級生の加藤龍之介だった。
……うーん。紛らわしい!
「うん、行こうか。」
そう答えると、金髪メッシュの彼の頭がふわふわと揺れ嬉しそうに笑った。
「あっ、畠中さん!畠中さんも一緒に部室行きませんか?」
加藤がそう声をかけた。
「俺はこれ終わってから行くから先行ってて。」
そうぶっきらぼうに答える彼の目線はゲーム機に釘付けだった。
正直畠中の顔を見ると、猫を見てとろけてるのを想像してしまう。
今日は授業中、笑いをこらえるのに必死だった。
「ほんとにゲーム好きっすねぇ。畠中さん。」
こいつは猫の方が好きらしいぞ。
「そうだね、先行こうか。今日は演目の白雪姫の配役とか決めないとなんだっけ。」
「そうですね。先輩、白雪姫するんですよね。楽しみだなー。」
おい、顔がニヤついてるぞ加藤。
「まぁ、そうだね。でも俺も女装は避けたいなぁ……。」
どうにかしてあの羽波さんを説得してくれないだろうか。
「先輩、白雪姫似合いそうですけどね。」
「お前を白雪姫にしてやろうか!」
そう言って、加藤の頭をうりうりすると
「僕は裏方がいいです!!」
加藤がそう叫び、二人で笑った。
そんなことを話しているうちに部室に着き、扉を開けてくれた加藤に礼を言い席に座った。
「山田くん、これ。」
そう言って、羽波さんはティーカップに入れたお茶を俺の前へ差し出す。
気のせいか羽波さんの目がいつもより合わない。
「何かしら?そんなにまじまじ見て。私に見惚れちゃった?」
どうやら杞憂だったみたいだ。
「ごめん、何もないよ。
お茶、ありがとう。」
礼を言い、お茶を啜った。
「今日は少し癖のある味だね。」
口にしたことのない味に驚き、そう言うと
「それはキームンよ。飲みにくかったらミルクを入れたら飲みやすいわよ。」
羽波さんはそう言って、窓際の小さな冷蔵庫からミルクピッチャーを取り出し、俺の前に置いてくれた。
礼を言い、コポコポとミルクを注いだ。
ニヤニヤしながらこっちを見てくる視線に気づき、この学園の王子様--御剣に何と声をかけようか迷っていると、
「おい!俺が猫役ってどういうことだよ!」
何か既視感のある勢いで部室に入ってきた畠中と目が合う。
気まずいので目線を羽波さんに移動させた。すると羽波さんはにっこりと笑い、こう言った。
「あら、何かおかしかったかしら?畠中くんは猫が大好きだって聞いたんだけれど?」
この魔王はスマホの画面を畠中に向けそう言い放った。
みるみるうちに畠中の顔は赤くなり、すぐにいつもの無表情へと戻った。
「いや、おかしいだろう。たしかに俺は猫が好きだ。でもそもそも白雪姫に猫は出てこないだろうが。」
いい所を突くな畠中よ……。
「いないなら、私達で作ればいいじゃない。そもそも白雪姫なんて、妖精と魔女と王子くらいしか出てこないのだから、妖精を猫にしたら、独自性があっていいじゃない。」
いや、だいぶ雑な白雪姫だ。
俺は口論する二人を、顔を右に左に動かしながら追った。
「そうだ、畠中くん、独りだから嫌なんでしょう?加藤くんも手が空いてるし、一緒にしてくれるってさ。ね、もういいじゃない?」
魔王は畠中を駄々っ子に仕立てあげる魔法を使った。
「え?僕もやるんですか?猫役?」
加藤がとぼけた声を出すと
突然、御剣の大きな笑い声が部室に響く。
「ふふっ、君たち落ち着いて。ここは公平にジャンケンで決着をつけないかい?京子ちゃんが勝てば龍之介くんと涼くんは猫役、涼くんが勝てば他の役……そうだな。妖精、でどうだい?」
負けたら猫役、勝っても妖精。
思春期の男子に、なんてことをさせるんだ。
「いいわよ、神に愛されている私に喧嘩を売ったこと。後悔させてあげる。」
魔王の次は天使ですか……。
まじすか羽波さん……。




