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リコール撤回を要求します。  作者: 回めぐる
来宮誠たちの動乱の日々
11/23

来宮誠の演技の再来

 白昼堂々中庭で、生徒たちの注目を一身に浴びながらも、それでも罵り合いを止めない光岡と大原。

 喧嘩っ早い上に馬鹿力と定評のある大原が、光岡に掴みかかろうと手を伸ばしたところで、俺は躊躇いなくその間に入った。


「はいストーップ。お前ら一旦落ち着け」

「邪魔すんなよ!オレは今こいつと話してるんだ!」

「ちょ、なんで来宮がここに……?」

 

 距離感の計り間違えとしか思えない大声で俺に怒鳴る大原と、戸惑いを隠せていない光岡。

 こういうのガラじゃないなとは思うが、そんなことを言っている場合でもない。

 佐瀬紫織親衛隊の隊長である光岡も、新しく副会長に就任した大原も、同様に学園では目立つ存在だ。つまり、そんな彼らがこんな目立つところで諍いを起こせば、生徒たちの精神面が不安定に繋がってしまう。そうすれば風紀委員会、ひいては生徒会にまで負担が――

 と、そこまで考えたところではっとする。今まではその理論から、渋谷の負担を少しでも軽減しようと努力していた。だが、今の生徒会長は渋谷ではない。渋谷は生徒会長に戻る気はないと宣言した。

 それなのに俺はまだ、こうして揉め事の解決を図っている。

 …….たぶん、期待してんだよな、俺は。渋谷は必ず戻ってくるって、戻ってこないはずがないって。

 こういう期待が渋谷の重荷になっているかもしれないというのに、それでも止められない。


「おい!誰だよお前!?」

「痛って!?痛てえなお前っ、離せこんにゃろっ」


 大原はその細腕のどこから湧いてくるんだという怪力で、俺の二の腕を掴んできた。慌ててそれを振り解きにかかる。

 噂には聞いていたがまさかここまでの馬鹿力とは。今の、絶対痣になるやつだろ。

 顔を顰めて腕の感覚を確かめていると、大原は突然、無遠慮に覗き込んでくる。


「ん、んだよ?」


 マリモのようなカツラと瓶底メガネで隠れているせいでその目の色は見えないが、大原が俺を凝視していることはおよそ間違いない。

 不躾にこちらをじっと直視し続けられ、居心地の悪さを感じているところで、大原は突然がしっと俺の両肩を掴んだ。


「お前…………可愛いな!」

「ためてためて言うことがそれかよ……つか痛てえって言ってんだろ!ことあるごとに掴んでくんの止めろ!」


 肩に食い込んでくる指に顔を顰めていると、光岡が大原を引き剥がしてくれた。

 すると大原はまた喚きだしたのだが、光岡はそれを華麗にスルーして、これ見よがしに溜息をついた。


「何しにきたの。面倒ごとに自分から首突っ込むなんて馬鹿じゃないの」

「仕方ねえだろ、いつの間にかそういう性分になっちまったんだよ」


 渋谷に出会い、彼の親衛隊隊長になってから、どうやら俺は随分な世話焼きになってしまったらしい。


「つうか、そっちこそなんでこんな揉めてんだよ。お前ってこんな悪目立ちするような真似する奴じゃなかっただろ」


 そう言い返せば、光岡はわかりやすく言葉を詰まらせた。


「仕方ないじゃん……こいつが親衛隊がいるから佐瀬様が迷惑してるとかほざくから!腹の虫が収まらなくなっちゃったの!」


 光岡は可愛い顔が台無しの般若の形相で大原を睨む。もちろん、大原も黙ってはいない。


「事実だろ!?お前らが紫織の友達をいじめて回ってんじゃん!」

「僕らが制裁するのは友達じゃない!友達ヅラして佐瀬様の周りをうろつくストーカーだけ!あんたみたいな奴のことだよ、このビッチ!」

「んなっ……!なんでそんなこと言うんだよ!」


 また始まった。つうか光岡、お前ビッチって口癖なのか。俺もビッチ隊長って言われた覚えがあるんだけど。

 どう頑張ってもこの騒ぎを収束することは不可能に近い。特にこいつ、大原白兎。こいつが騒ぎ続ける限り、光岡も嚙みつき続ける。

 ならば仕方がない。このワガママな愛されたがりを満足させるしかないだろう。

 俺はこほんっと咳払いひとつしてから――にっこりと微笑んだ。


「白兎くん、初めまして」


 必殺、猫被りチワワ隊長再び。

 大原は少しぽかんとして黙ったが、次の瞬間には「あーっ!!」とまた煩く叫び始めた。


「なんだよお前!お前はオレの名前知ってるくせにオレはお前の名前知らないなんて不公平だろ!お前の名前教えろよ!」

「僕?僕の名前はね、来宮だよ」

「下の名前の方だ!」

「誠っていうの」

「誠か!オレは大原白兎だ!白兎って呼んでくれよな!」

「うん、知ってる」


 光岡の「何今更猫かぶってんのこいつ」という視線がチクチクと身体中に刺さるのを感じながら、俺は大原の手をぎゅっと握った。無論、大原と違って常識的な握力で、だ。

 目を細めて薄く笑いながら、大原の耳元で囁くように語りかける。


「僕のこと可愛いって言ってくれてありがとう。でもね、白兎くんの方がもっと可愛いと思うな」

「かっ……可愛い!?」


 目を白黒させる大原にこくりと頷く。その頰はやや紅潮気味だ。

 楽勝すぎるぜ、大原白兎。ちょっとちやほやすればすぐにいい気になる。担ぎやすい神輿であることこの上ない。


「か、可愛いって言うな!オレは男だ!」

「知ってるよ。男だけど白兎くんは可愛い。ねえ、光岡くんなんて放っておいて、僕と一緒に行こうよ。誰もいないところに、ね……?」


 ね……?って何だよ。何処行くつもりだ俺は。

 だが、一度口から出任せに言ってしまえば、もう取り返しがつかない。

 あーもう、ヤケクソだ!どうにでもなれ!


「ねえ白兎くん、いいでしょ?ほら、ここじゃみんなが見てる。早く、ほら……」


 大原の腰に手を回し、中庭から連れ出そうと試みる。大原は、口では「止めろよ誠!」なんて言っているが、身体は全く抵抗していない。満更でもないな、こいつ。光岡の言う通り本物のビッチだ。

 だが、操りやすいのは都合がいい。こいつがこんな目立つところで喚いていれば、そのうちこいつにゾッコン(死語だ)の佐瀬とかが出てきてますますの混乱を招く。さっさと連れ出して適当に撒いてしまおう。

 そう決心したその時、


「来宮隊長」


 思いもよらない人の声が、俺を引き止めた。


話がぐだって来たような…(汗)

わかりにくくてすみません。

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