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黒い箱の少女はあなたを待つ  作者: 博多っ子
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第十七話《遊園地に行ってみた!観覧車編》

 昼食を食べ終わり再び遊園地を満喫する。箱娘が強引に白雪を引っ張ってジェットコースターを計五回も乗りまくった。その度に白雪の顔が真っ青になって俺に助けを求めてくる。しかし箱娘の暴走は止まらず、俺は苦笑いでただ見ているしかなかった。ほかにも違う絶叫マシーンをいっぱい乗って満足な箱娘。横には地面に横たわっている白雪の姿があった。


「いやー、乗った。乗った♪」

「ひゃーははははは!!乗った!乗ったデスワー」


 白雪がついに壊れたか!


「はーはーはー、ひゃーははははは!!ひゃーははははは!!うぐ、吐きますよデスワー!!私は吐きますよおおおおおデスワアアアアア」


 やばい!完全にぶっ壊れている。


 地面に倒れながら一人で爆笑する白雪。

 その姿を見ていた箱娘は凄い顔をしながら退いていた。


「し、白雪……恐い」


 いや、お前のせいだから。

 しかも、周りの人々の視線が痛いんだけど。


『あら、何この娘。ネジがぶっ飛んでいるのかしら』

『薬か!薬をやっているのか!』

『ふ、笑止!あれが萌えなのだ!』


 白雪の横を通りすぎる人々がヒソヒソと喋っている。最後の言葉は意味が分からないけどな。


「おーい、白雪ちゃん。吐くんだったらトイレに行くか?」

「ぜー、ぜー、ぜー、だ、大丈夫ですよデスワー。すぐに回復を………オロロロロロロ、《なんか出ました》」


 なんかいっぱい口から出たあああああ!!


 俺はダッシュで白雪をトイレに連れていった。トイレで間に合わなかった《口から出たもの》は清掃のスタッフの人に綺麗にしてもらいました。

 しかし、白色のワンピースに白髪の髪の毛、透き通るような白い肌を持っている少女が口からアレをやってしまうとは。か、可哀想に……


「大丈夫か?白雪ちゃん」

「ふー、少しはよくなりましたデスワー」

「ごめんね、白雪。私のせいで白雪がオロロロロ星人になってしまった」


 箱娘は白雪の背中をサスサスと撫でる。


「箱娘、私は本当に大丈夫ですからデスワー」

「え、本当に!じゃあ最後にアレに乗りたい」


 箱娘が指をさした場所。それは観覧車です。


「あの丸い乗り物ですか?デスワー」

「うん。あれに乗って上から地上を見てみたいな」


 まあ、観覧車だったら白雪も大丈夫だろう。


 フラフラしている白雪を支えながら俺はゆっくりと歩いていく。


「中原さん。すみませんデスワー」

「大丈夫だ。あれに乗って無事に帰るぞ」

「中原さん。私、頑張る!デスワー」

「その意気だ白雪ちゃん」


 俺と白雪は友情という何かを掴みとった。


「む――、二人が眩しいよ。私も励まして中原!」

「お前は大丈夫だ。バカだから」

「ガ―――ン!」


 自分でガ―――ンって言いやがった。


「どうせ、私はバカですよ」


 え?いじけてるの。ちょっと可愛いじゃねーか。


「お!白雪ちゃん。色々言ってる間に着いたぞ」

「高いですねデスワー」

「わあー、早く乗りたい」


 フリーパス券は使えるらしい。しかし、白雪の顔色が悪いので一回だけだな。


「さあ、中原。地球は本当に丸いのか!?検証しよう」

「ああ、そうだな」

「そこは突っ込んでよ!」

「いや、めんどくさいから」

「む―――、なんでやねん!」

「うるさいねん!」

「あう!突っ込まれた」


 俺と箱娘のどうでもいい会話を聞いていた係員が横で爆笑していた。


 俺は少し照れながらゴンドラに乗り込む。


「思ったより小さい部屋だね」

「ゆっくり上に行ってますデスワー」

「俺はなんか疲れた」


 そして、まったりとした時間が過ぎていく。


「おー、海が見えるぞ!」

「綺麗ですねデスワー」

「島から見る海も絶景だな」


 目をキラキラさせて海を見つめる箱娘。その横ではその姿を見つめる白雪がいた。


 そして、ゴンドラが頂上に着いたその時、白雪は俺の目を見て口を開いた。


「今日は本当にありがとうございましたデスワー。こんなにも楽しい時間をつくっていただいて感謝してますデスワー。また、みんなで遊園地に行って楽しい思い出をつくりたいデスワー」

「いきなりどうしたんだよ白雪ちゃん?」

「ふふふ、ただそう言いたかっただけですよデスワー」


 その白雪の言葉に箱娘は何かを感じたのだろうか?少し寂しそうな顔をして白雪に語りかける。


「白雪、何かあったの?」


 箱娘の不安な言葉に白雪はなぜか笑った。


「何でもないデスワー。あ、ほら海鳥がいっぱいいますよデスワー!」


 白雪は満面の笑みで俺と箱娘を見つめていた。


 頂上を過ぎ、ゴンドラはゆっくりとスタート地点へ近づいていく。


「海、綺麗だったね!」

「はい!デスワー」


 ゴンドラから降りた俺達は最後に写真を撮ってもらいました。まあ、有料だけどしょうがないよな。


 後ろの観覧車を背景に笑顔で写る俺達。


 箱娘と白雪は手を繋ぎ、俺はそんな二人を後ろから両手でギューッとしています。まるで本当の家族のように。


 ―――


 ――


 ―


 それから一週間後……あの悲しい悲劇は起きてしまった。








 

―――こんなにも楽しく笑ったのはいつぶりだろう。

―――こんなにも楽しく話したのはいつぶりだろう。

―――こんなにも……『幸せ』と思えたのはいつぶりだろう。


◆いっぱい笑っている箱娘が好きです。

◆冗談で怒っている箱娘が好きです。

◆中原さんとケンカして泣いている箱娘が好きです。


……でも、たまに……涙が出てしまう私がいます。


―――それは私の嬉しい涙です。

―――それは私の楽しい涙です。

―――だって、こんなにも箱娘が笑っているのですから。


◆また、一緒に海鮮丼を食べたいです。

◆また、一緒にドライブをしたいです。

◆また、一緒に雨道を歩きたいです。

◆また、一緒に遊園地に行きたいです。


―――ああ、私は……本当に幸せ。



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