第十六話《遊園地に行ってみた!お食事編》
お化け屋敷が終わり、箱娘と白雪はお腹が空いたらしく、飲食店で飾ってある食品サンプルをガラス越しに凝視していた。
「腹が減っては戦は出来ぬ」
「さすがにお腹が減りましたデスワー」
箱娘は口からヨダレを流しながら、白雪はお腹をさすりながら俺に訴えてくる。
「え―――、マジで食べるの?遊園地の中って結構料金が高いんだよな」
俺は財布のお金を見ながら抵抗するが、箱娘と白雪はスルーしてお店の中へ入ってしまった。
「まさかのダブル無視!」
ため息を吐きながら、あきらめて二人に続く俺。
箱娘達が入ったのはバイキング形式のレストラン。一人、二千で食べ放題だから無難な選択だろう。食欲が最強の箱娘がいる俺にとっては少し安心だ。
お店の中は昼時とあって人混みがすごい。その熱気に刺激を受けた箱娘はすぐにテーブルに座り、メニュー表を見る。
「中原!私はこれと、これと、これ食べたい!」
こいつ、単品メニューを食べる気か!
「俺に首をくくらせる気か!バイキングで我慢しろ!」
「バイキングって何ですの?デスワー」
白雪はバイキングを知らないらしい。
「バイキング!それはどんな食べ物なんだ?」
こいつもやはり知らないか。
「えーと、時間制限内ならいくら食べても大丈夫なんだよ。箱娘にはピッタリだろ!ほら、あの辺に色んな食べ物が置いてあるだろ。皿にとって好きなだけ食べろよ!」
俺はお店の人を呼び、三人ともバイキングにしてもらいました。
「もういいのか!美味を食べに行ってもいいのか!」
「お腹空きましたデスワー」
「よし!いっぱい食ってこい!」
そう俺が言った瞬間、箱娘は《バビューン!》という効果音とともに走り去った。その姿を見ていた俺と白雪は唖然と見ている事しか出来なかった。
「あいつの頭の中ってほとんど食い物の事しか考えてないんじゃないか?」
「恥ずかしい姉ですいませんデスワー」
箱娘は皿を取り、棚の上に並んでいる食べ物に目移りしていた。
「なんだ、これは?とっても美味な匂いがする!」
俺と白雪も箱娘の横に並んで皿に料理を盛りはじめる。
「料理の種類が多くて目移りしちゃいますデスワー」
「少しずつ量をとればいいんじゃない?そうしたら好みの料理が見つかるかもよ」
「中原さん、頭がいい!デスワー。さすが!デスワー」
なんか誉められちゃった。
「わーたーしーはー、腹ぺこー♪美味な料理は全てカモーン♪それも、これも、あれも、わーたーしーはー、いただきまーす!!」
箱娘は変な歌を口ずさみながら料理を大量にとっていく。
右手に一皿、左手に一皿、頭の上に一皿。とても器用に動いている。
「早く戻って、美味を堪能せねば!」
料理をとり終わりルンルン気分で席に戻る箱娘。俺と白雪も適当に皿に盛り付け、席に戻る。
「いただきまーす」
「美味をいただく!」
「いただきまーすデスワー」
箱娘の皿には鳥の唐揚げ、牛肉のステーキ、豚の角煮、でかいミートボール、等々。
「お前、肉ばっかりだな」
「ムグムグ……肉、ラブなんで」
白雪の皿にはミニトマト、ポテトサラダ、野菜炒め、野菜の煮物、等々。
「白雪ちゃんは野菜中心なんだな。だから、肌がそんなに綺麗なのか?」
「もーう、中原さんったらデスワー。別にお肉が嫌いなわけではないですよデスワー」
俺の言葉に照れながら、白雪はミニトマトを口の中に入れる。
「このお肉、トローリしてる♪美味すぎるー♪」
箱娘は豚の角煮が気に入ったのか幸せそうな顔をしている。
「中原、あまり料理とってないね」
「ふ、それを言うな。体重を気にしてるんだよ」
箱娘にプヨプヨお腹とか言われているからな。少し控えねば!
「だめだ!中原はもっとプヨプヨお腹にならないと!」
どんだけプヨプヨ好きなんだ!?
「プヨプヨってなんか、響きがいいですよねデスワー」
プヨプヨの響きって何!?
「俺はいいんだよ。別にお腹はそんなに減ってないから。箱娘もあまり食べ過ぎるなよ。後でまた乗り物とか乗った時に気持ち悪くなるぞ!……って箱娘いねーし!」
「箱娘なら、『肉を捕獲しに行ってきます!』とか言いながら、行っちゃいましたよデスワー」
「ああ、そうっすか」
俺はメロンソーダーを飲みながら遠くで箱娘がはしゃいでいる姿を見ていた。
「それは何と言う飲み物なんですの?デスワー」
「うん?これはメロンソーダ。炭酸飲料って言って、まあ、口に含むとシュワシュワする飲み物かな」
「シュワシュワですか!デスワー。少し飲ませてくださいデスワー」
「え?あっちにあるから自分で持ってくれば?」
「えー、だって私の目の前にあるんですからデスワー」
「じゃあ一口な」
「はーい!デスワー」
白雪はストローを使いチューチューと飲みはじめた。
「シュワシュワ♪デスワー」
あれ?ちょっと待てよ?これで俺がメロンソーダを飲んだら世間で言うアレじゃない?
「はい、中原さん。ありがとうございましたデスワー」
満足そうに微笑みながら白雪がメロンソーダを俺に返す。
「いや、白雪ちゃん。やっぱり全部あげるよ。俺は飲みたくなったらまた持ってくるから」
「うん?そうですかデスワー。では遠慮なくもらいますデスワー」
ふ――、危なかった。このままいってたら『間接キス』的な感じになってたぜ。そこはやっぱり……うん、駄目でしょ。
「中原、顔が赤いぞ」
「げ!いたのか!」
いきなり後ろにいた箱娘に声をかけられて少しビックリしてしまった。
「ジ――――――――――」
「な、なんだよ」
「ジ――――――――――」
「ジーって声に出すなよ!気持ち悪いな」
「なんか、白雪に危機が迫っているような気がした」
「ギク!」
「今、ギクって言った」
「何でもねーよ。早く座れ」
箱娘は俺を文字通りジ――っと見ながらゆっくりと席に着いた。
「む―――、中原は肉肉だあああああ!!」
「肉肉?意味が分からん」
「私も自分で言ってて意味が分からない」
「お前……バカだろ」
「真剣な顔で言われたあああああ!!」
そんな会話を横で聞いていた白雪は口元に笑みを浮かべながら箱娘の頭をナデナデして慰めていた。
「しょうがない姉ですねデスワー。バカだからしょうがないでしょデスワー」
白雪ちゃん。それは慰めていないよ。
「妹にもバカって言われたあああああ!!こうなったら肉を食いまくってやるううううう」
また、肉ばっかり。
「あらあらデスワー。可愛いい箱娘デスワー」
「白雪も早く食べないと!時間制限だからいっぱい食べないと!」
「はーいデスワー♪」
ははは!こいつらといるとなんか、一日が楽しいな。
ああ、そうか。箱娘と白雪がいるから俺はこんなにも笑っているのか。
白雪
「お腹いっぱいで苦しいデスワー」
箱娘
「ふ――。満腹!」
中原
「それはよかった」
箱娘
「さてと、お腹もいっぱいになったので……」
白雪
「何します?デスワー」
中原
「適当にブラブラしますか?」
箱娘
「ラブラブ!!」
中原
「いや、ブラブラだから」
箱娘
「いやぁー、もう中原ったら!ラブラブとかはなしだよ」
中原
「一発殴るか」
白雪
「はい、傘。デスワー」
箱娘
「冗談です。すいません」




