第十四話《遊園地に行ってみた!乗り物編》
七月も後半になり、今日は遊園地に来ています。
この暑さにも関わらず人がいっぱいだな。
箱娘が商店街のくじ引きで当てたので本人はめちゃくちゃテンションが高いです。あんな田舎の商店街でまさか三等の遊園地が当たるとは思いもしなかったな。
車をレンタルして遊園地まで来たんだが、なかなか遠かった。なんと、その場所は島にあって有名なアトラクションがいっぱいあるらしい。島までは車で行けるように橋がかかっている。
そして、今は遊園地の入り口で箱娘と白雪が目をキラキラさせながら様々な乗り物を観察していた。
「あ、あれが噂に聞くジェットコースターなのか!」
「あんなのに乗るんでのデスワー。かなり恐ろしいデスワー」
相変わらず黒いワンピースを着ている箱娘と、白いワンピースを着ている白雪。白雪はいつもの白い傘を持っており、最近俺が買ってあげた白いポーチも付けている。まあ、この背景とかなりマッチしてるな。
「よし!せっかくここまで来たんだから俺は乗りまくるぞ!ほら箱娘、フリーパス券。白雪ちゃんも無くさないようにね」
「フリーパスって何?」
「フリーバスですか?デスワー」
「いや、白雪ちゃん。フリーバスじゃなくてフリーパスね。一部のアトラクション以外だったらこれさえあれば無限に乗ったり遊べたりするんだぜ」
白雪はその言葉を聞いた瞬間、 フリーパス券をゆっくりとポーチにしまった。
「これさえあれば無敵デスワー」
無敵の意味が分からないが喜んで何よりだ。
「さっそく乗ろうよ!私はやっぱりあれがいい!」
箱娘がキャ!キャ!言いながら指をさしたのはジェットコースター。さっそく近くに行ってみるがなかなかの迫力だ。落下するところなんかほぼ直角なんだけど!
「やっぱり私は遠慮しますデスワー」
「えええ!白雪も一緒に乗らないとダメー!」
「あんなのに乗った瞬間、絶対に何か体中から体液が溢れ出てきますデスワー」
何が出るんだ!恐いぞ白雪ちゃん!
「じゃあ俺らは乗ってくるから白雪ちゃんはここで待っててよ」
「嫌だ!白雪も一緒がいい。乗ろうよー!乗るまで私は動かないぞ」
「はあー、分かりましたデスワー。でも一回だけですよデスワー。命の覚悟は出来ましたデスワー」
「白雪ちゃん。無理しなくても……」
「箱娘のワガママを一回だけ聞いてあげますデスワー」
そう言ってはいるが白雪の足がガクガク震えている。
こういうジェットコースター類は身長制限があるのだが、箱娘と白雪はギリギリセーフで無事通過しました。心なしか白雪の顔が真っ青になっているような気がする。
「お!次だね!私の心はワクワクしているぞ」
「はあー、次ですねデスワー。私の心はバクバクしていますデスワー」
二人のテンションの違いが凄すぎる!
「俺の心はルンルンしているぜ!」
「……」
「……」
二人とも無視ですか!俺だけ無視しですか!
お!やっと順番がきたな!
さて、久しぶりに楽しもうではないか。
25歳にしてワクワクが止まらないぜ。
箱娘と白雪は一番前に座り、俺はその後ろに座り込んだ。良かったじゃん!一番の絶叫場所で。
「な、な、な、なんで一番前なの!デスワー!」
「うひょー!景色が丸見え!下も丸見え!最高のポジションだね」
《ブ――――――――――――》
あ、ブザーが鳴った。いよいよ発進だな!
「う、う、う、う、う、動きましたわデスワー」
「わくわく!わくわく!わくわく!」
「おい、白雪ちゃん。無になれば大丈夫だ!」
「無ってなんですの!デスワー。ってぎゃああああああ!!」
お―――!いきなり速いな。風が気持ちいいぞ!
「おおおおおおお!速い速い速い!わあああああ!気持ちいぃぃぃぃぃ!」
箱娘は楽しそうだな。俺も楽しいぞおおおお!
「ぎゃああああああああ!た、たすけてえええ!!し、死ぬデスワアアアアアア!!」
あ、やばい。白雪ちゃんが壊れてる。
「白雪ちゃん!冷静に!」
「ら、落下してます!デスワー。中原さああああん!助けてええええデスワー!」
直角にジェットコースターが落ちていく。これは最高に爽快だな!
「白雪!私は風だああああ!風なのだああああ!」
「そんな事!知らないデスワアアアアアア!」
お!今度は一回転して回るゾーンに突入だな!
「おー!パンツが丸見えになってしまう!逆さま最高!」
「どこが最高なの!デスワアアアアアア!気持ち悪いデスワアアアアアア」
一回転が終わりようやく速度が落ちてゴールした。止まったジェットコースターには興奮している箱娘と、ある意味死んでいる白雪がそこにはいた。白雪があまりにもネガティブになっているので近くのベンチで一回休憩をする事にした。
「ジェットコースターって人類最強の発明だね!」
「ジェットコースターって人類最低の発明デスワー」
白雪はベンチに座り込み呆然と空を見上げている。
「ははは!白雪ちゃん。まあ、貴重な体験と思って割りきろうぜ」
「中原さん……」
「どうした?」
「無とはどうすればいいのですか?デスワー」
「それは……何も考えない事かな……あははは……はは……すみません。俺もよく分かりません」
ごめん。白雪ちゃん。適当に言っただけなんだよ。
「箱娘。私はもう少しゆっくりとした乗り物がいいですデスワー」
「えええ!ゆっくりとか面白くないじゃん。もっとハイテンションなのがいいな!」
白雪は箱娘の目の前まで行きギロリ!と睨みつける。
「さっきは箱娘のワガママを聞いたのですから今度は私が乗りたいものを選びますデスワー。何か文句がありますか?デスワー」
「は、はい白雪様!」
箱娘が押し負けたぞ!
「中原さん。今度はあれがいいですデスワー」
白雪が指をさした方向はカップに人が乗ってグルグルと回っている乗り物。
「お!コーヒーカップ。あれなら白雪ちゃんも大丈夫そうだな」
コーヒーカップをジーッと見つめている箱娘は何か文句を言いたそうな顔をしている。
「どうした?箱娘。何か不満か?」
「中原!あんなのハイテンションじゃない!」
いや、知らねーし。何でハイテンションにこだわっているんだコイツは。
「中原さん、行きましょうデスワー。箱娘はどうしますの?デスワー」
「行きますよ。ええ!行かせてもらいます」
顔が不満そうな箱娘だったがコーヒーカップに乗った瞬間、すぐに元気になりやがった。
ハンドルを回して回転するコーヒーカップになぜかテンションマックスである。
「おおお!意外に面白いな。まーわーれー!まーわーれー!もーと、まーわーれー!」
うんうん。なんだかんだ言いながら楽しく遊んでいるじゃないか。
「私も回したいデスワー!」
「ダメだ!これは私の指定場所だぞ」
「はあー、分かりましたデスワー」
白雪ちゃん、優しいな。なんか、箱娘が妹で白雪ちゃんが姉に見えてきたな。
「まーわーれー!まーわーれー!まーわーれー!」
あれ?少し回転が早くなってきてるぞ!
「まーわーれー!まーわーれー!まーわーれー!」
速い!速い!速い!速い!
「おい!箱娘。ハンドルを回しすぎだ!」
「なんか目がグルグルしてますデスワー」
「まーわーれー!まーわーれー!まーわーれー!そして私は風になるのだあああああ!!」
箱娘がハンドルを勢いよく回しているのでコーヒーカップは凄い速度で回転しております。
「ストップ!ストップ!箱娘ストップ!」
「うげ、ぎもぢわるいデスワー」
「む――――、せっかく楽しんでいるのに」
箱娘がハンドルを離したことによりコーヒーカップはようやくストップしました。
「吐きそう……デスワー。世界が回っています……デスワー」
白雪はフラフラと立ち上がってからまた、ベンチへ座り込んだ。
「もう、あんなに面白かったのに!白雪は遊園地を楽しみたいと思わないの?」
「ふふふ、一体どの口がそんな事を言っているんですかデスワー」
白雪は箱娘の頭を掴みあげてメキメキと音をたてた。
「痛い痛い痛い痛い痛い!ストップ!ストップ!ごめんなさい。調子にのってました!」
「あら、全然聞こえませんデスワー。もっと心を込めて謝罪してくださいデスワー」
「ひ――――!中原、助けて!」
箱娘、俺は何も出来ないぞ。だって白雪ちゃん、恐すぎ!俺も気を付けよう。
そして、十分後。
「中原!今度はあれがいい!」
「箱娘が選ぶなら私は何でもいいですよデスワー」
仲直り早いな!
えーと、次は……お化け屋敷か!
「ふふふ、なんか楽しそうな匂いがする」
「入り口の絵が不気味デスワー」
まあ、お化け屋敷だからな。まずこの二人ってお化け屋敷を知っているのか?
「ねえねえ白雪。今度はどういう乗り物かな?」
「もうグルグル回転する乗り物は勘弁デスワー」
あ、絶対に知らないなこの二人。入って大丈夫なのか?うーん、よし!教えないようにしよう。なぜなら面白そうだから。
「いざ、出発!」
「すぐ目の前にありますけどねデスワー」
「箱娘、白雪ちゃん。幽霊とか好き?」
「嫌いだよ!」
「ゴキブリより嫌いデスワー」
本当に大丈夫だろうか。ま、楽しくなりそうだ!
箱娘
「ジェットコースターって面白いよねー。こう、なんか、全てがバビューンみたいな」
白雪
「日本語がよく分かりませんわデスワー。バビューンって一体何ですの?デスワー」
箱娘
「ち、ち、ち、白雪はダメだなー。バビューンっていったら、何かこう、最高なんだよ!」
白雪
「誰か通訳を呼んできてくださいデスワー」
箱娘
「ふ、あの後、少し吐いたくせに」
白雪
「何か言いました?デスワー。本気でボコボコにしますよデスワー」
箱娘
「……すみません……」




