第十一話《ドライブと食を満喫しよう!》
「風だ!!風を感じるぞ!!」
「海風が心地よいデスワー」
箱娘と白雪は車の窓を開けて外の海を眺めている。白雪の手には白い傘。どこへ行くにも持ち歩いているそうだ。
俺?俺は車を運転しているよ。
ま、自分の車ではなくてレンタルで借りてるだけなんだけど。
金が少ないから安い軽自動車ですよ。
車名は『ミ〇イー〇』です。
ちなみに色は黒色です。
「中原!海風って気持ちいいな。私の心が爆発しそうだ!」
爆発!
「ああ、太陽が眩しいデスワー。私の心が誘爆しそうですデスワー」
誘爆!
似ている。さすが姉妹だ。もう言葉の意味が理解出来ないんだけど。
「中原!腹が減った!」
「確かにお腹が減りましたデスワー」
箱娘は白雪のお腹をさすり、白雪は箱娘のお腹をさすり、空腹モードをアピールする。
「さっき、コンビニで唐揚げ食べたじゃん!また食うのか!」
その言葉を聞いた箱娘は自分の黒色のワンピースを破りムシャムシャと食べだした。
「むー、しょうがない。これで我慢しよう」
「私も服で我慢しますデスワー」
「そうそう、我慢しなさい。……ん?服を食べる?……っておい!何やってるの!!何、衣類食ってんの!それ食べれるの!」
ムシャムシャとワンピースを食べる箱娘と白雪。
すげー、美味そうに食べてるし。
「ムシャムシャ。そっか!中原は知らないんだっけ。このワンピースは非常食になるんだよ」
「ムシャムシャ。まあ、感覚的に乾パンみたいな感じデスワー」
乾パン感覚なの!
「大丈夫だよ。食べてもすぐ戻るから。永遠に食べれられるよ。あ、でも中原が食べても服の味しかしないからね」
いや、食べねーよ。明らかに不味そうだもん。
びっくりしてアクセルを踏みすぎちゃったよ。
「分かった。よーく分かったから服を食べるな。惨めすぎるからやめてくれ!近くに飲食店があったら行きますから」
「さすがは中原。話が分かる男は嫌いじゃないぞ」
「私は海鮮丼と言う食べ物がいいデスワー。せっかく海の近くに来たんですからデスワー」
箱娘は海鮮丼と言う言葉が分からないのか上を見上げて考えている。
「海鮮丼?海が新鮮なのか?海が丼なのか?」
あ、ダメだ。全然分かってない。
「なるほど!海が新鮮で丼を食べるんだな!」
やっぱり分かってねええええ!!
「箱娘、あなたはバカなの?デスワー。全然違いますわデスワー。海鮮丼と言う食べ物は……」
お、白雪ちゃん。言ってやれ!説明してやれ!
「海鮮丼とは…………何ですか?デスワー」
白雪ちゃあああああん!!
「ねえねえ、私も海鮮丼が食べたい!」
「デスワー!!」
二人とも目がキラキラしてるな!海鮮丼がどんな食べ物かも知らないのに。
「あー、もう承知しましたよ。お姫様達」
「そんな……お姫様なんて。照れちゃうな」
「デスワー」
箱娘の顔は赤くなり、白雪の顔も赤くなる。
うん。やっぱり姉妹だ!
―――
――
―
「やっと着いた。海の近くを走っているのになかなか見つからないものだなー。ま、着いたから良しとしよう」
さて、駐車場に車を停めていざ!昼食タイム!
店の名前は《海鮮丼》
すげー、分かりやすい店名だな。
外観はプレハブで潮風に晒されてるせいか少し錆びている。
「海鮮丼!!いざ!!尋常に!!」
箱娘はテンションマックスで店の扉を開ける。
『いらっしゃーい!空いてる席に座って下さい』
カウンターにいる店員が箱娘に声をかけるが本人の耳には届いてないだろう。
「おい箱娘。座敷が空いてるから早く座れ!あ、白雪ちゃんは箱娘の横に座ってね」
「えー、箱娘の横なのデスワー。私は中原さんの横が理想的なんですけどデスワー」
理想的の意味を間違ってませんか?
「じゃあ俺の横に座るか?」
「デスワー♪」
「あー!私も!」
「お前はそっちだ!」
「むー。中原はケチケチだ!」
ケチケチ?
文句を言いながらも座敷に全員座り、メニュー表を開く。
「中原!」
「何だよ箱娘」
「字が読めない!」
「ぷ!」
「あー、今バカにしたな!」
まさか字が読めないとはな。
それは知らなかった。
「ほら、メニュー表に見本の写真があるだろ。それで想像しろ」
「はーい」
「私はもう決まりましたデスワー」
お!早いな!
「これデスワー」
白雪が指差す場所に書いてあったメニューは………
《サバの味噌煮定食》
白雪ちゃん、やっぱり海鮮丼を知らないんだ。
「私はこれええええええええ!!」
お前はいちいち声がでかいぞ!えーと、箱娘が指差したのは……
《カツ丼》
もう海鮮関係ないじゃん!
だいたいサバの味噌煮は良しとしてなんで店名が《海鮮丼》なのにカツ丼が売ってるんだ?変な店だな!
「はあー。えーと俺は、普通の海鮮丼でいいや」
俺は店員を呼んで注文をする。
「おい箱娘。本当にこれでいいの?」
「もちろん♪」
「白雪ちゃんは?」
「大丈夫デスワー」
「じゃあ、これでお願いします」
『はい!注文承りました』
店員が去った後、箱娘は窓から見える海をボーッと眺めていた。
「ねえ、白雪。私は今、普通の女の子に見えるよね」
「いきなり何を言ってますのデスワー。私には生意気な姉にしか見えませんわデスワー」
「む!失礼な!」
「生意気な姉だけど……大切な姉デスワー」
箱娘は白雪のその言葉を聞き少し微笑んだ。
しかし本当に仲がいいんだな。少し羨ましいよ。
『失礼します。海鮮丼とサバの味噌煮定食です』
お!早いな。
「美味しそうデスワー」
「お!マグロ、ウニ、ホタテ、イクラ、最高に美味そうだ!」
悪いが箱娘。俺と白雪は先にいただくぞ!
「む!。私の美味な食べ物はまだなの?」
店の周りを見渡す箱娘だが、まだ運ばれて来てはいない。
「サバってこんなに美味しいんですの!デスワー。中原さん!私はサバの虜になりそうですデスワー」
「こっちも新鮮で美味しいぞ!ほら、白雪ちゃん。少しやるよ」
「ありがとうデスワー。モグモグ……は!こっちも最強デスワー」
箱娘はヨダレを垂らしながらその光景を見つめている。
「まだあああああ!!まだ来ないの!空腹が絶頂に達しちゃうよ!」
「しょうがないデスワー。私のサバを少し食べますか?デスワー」
「ありがとう!」
白雪は箸を使い箱娘の口へ持っていく。
「ほら、口を開けなさいデスワー」
「あーん、モグモグ……む!美味すぎるー!!」
箱娘は何回も噛みながら味わっている。
「お!箱娘。店員がこっちに来たぞ」
『お待たせしました。カツ丼です』
その器の中を見た箱娘の目がかなりギラギラしていた。
「これは美味の塊だね。絶対に美味しいぞ」
カリッと揚がったトンカツに半熟の卵がかかっており、そのトンカツに染み込んでいるツユが食欲をそそる。俺も食べたくなってきたよ。
「いただくぞ!カツ丼よ!」
箱娘が美味しく食べている姿を白雪はジーと見つめていた。
「サクサク美味!トロトロ美味!」
美味しそうに食べるな。なんかこっちも幸せな気分になっちゃうな。
「モグモグ……白雪も一緒に食べてこの味を共有しよう!」
「はい♪デスワー」
うんうん。平和だねー。
「箱娘。俺にも少しちょうだい♪」
「む!仕方ないな。ほら、中原、あーん」
「いや、恥ずかしいからやめてくれ!」
うん。やっぱり平和でいいな。
―――
――
―
帰りの車の中では箱娘と白雪はお互いの手を握り、熟睡していた。
その寝顔は可愛くて、とても幸せそうだった。
「さて、帰りますか」
俺はアクセルを踏み、窓から見える海を見渡した。
箱娘
「中原!お腹減った!」
中原
「お前はそればっかりだな」
箱娘
「エッヘン!美味な食べ物を全て食べ尽くすのだ」
白雪
「中原さん、変な姉ですいませんデスワー。こら!箱娘。食費が凄い事になりますよデスワー」
中原
「白雪ちゃん。何ていい子なんだ!」
箱娘
「む―――!!私が悪者みたいになってるよ!!」
中原、白雪
「え?そうだろ」
「デスワー」
箱娘
「ガ―――――――ン!!」




