ロセッタ回1.1 ―― 煩わしい言語学者
───【本話のウォークスルー対象】───
■ Section 01
ロセッタ視点:元の木阿弥。「モクアミ」って何です?
■ Section 02
ロセッタ視点:十八番。「オハコ」って何です?
■ Section 03
ロセッタ視点:ぬか喜び。「ヌカ」って何です?
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─── ■ Section 01 ──────────
◆ ロセッタ視点:元の木阿弥。「モクアミ」って何です?
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【昼の部】
ナナシノ様への弟子入りを果たすためには、まず、ナナシノ様を「説得」するに足る材料が必要である。ナナシノ様の周囲には、彼の素性や思考の傾向をよく知る人物がいる。であれば、まずは周辺人物からの情報収集を試みるのが定石であろう。言語学における一次資料の収集と、方法論としては何ら変わりない。
昨日の古文書解読で、私は確信した。ナナシノ様の知識と推論能力は、単なる博識という言葉では片づけられない。専門領域を横断して情報を結びつけ、仮説を立て、検証し、必要ならば躊躇なく仮説そのものを捨てる。
あれほどの思考様式を間近で学べるのであれば、師事する価値は十分にある。ならば、あとは私自身が弟子として役に立つことを証明すればよい。しかし、本人に「弟子にしてください」と頼むだけでは、昨日と同じ結果になる。
ならば、別の角度から攻めるべきだ。
ナナシノ様は、昼休みになると、複数の女子学生と一緒に弁当を食べているらしい。本人曰く、「男子一人に女子が複数いるからって、全部が『ハーレム』ってわけじゃない」とのこと。「ハーレム」。なるほど。これは重要な情報である。
複数人が介在する恋愛関係、あるいは複雑な男女の機微に関する特異な概念なのだろうか。それとも、恋愛関係とは無関係に、男性一人と複数の女性が同席している状況そのものを指すのか。
言語学者として、看過できない。
これは私が新たに習得・分析すべき語彙かもしれない。「ハーレム」発言について、いずれナナシノ様にその発言の真意を求めたい。
しかし、その前に周辺人物から外堀を埋めるように情報を集める。昼食を終えたモモ・レンヴァッテン公爵令嬢に声をかけた。彼女はナナシノ様とよくお昼を共にしているという。手土産として帝国から持参した、とっておきの菓子を差し出すと、彼女は案外あっさりと口を開いてくれた。
「ゴンベ――じゃなかった、ナナシノのこと?」
……ゴンベ?
聞き慣れない音韻の呼称である。
モモ嬢は、私が尋ねるや否や、頬をほんのり桜色に染めながら一気に語り出してきた。
「ゴンべ――じゃなかった、ナナシノはすごいのよ。魔法師団の中の隊員の一人が呪文を暗唱できないって悩んでいるって相談したの。普通なら『もっと練習しなさい』で終わるところなんだけど、そしたらあの人、『暗唱って、必ず必要なんですか?』って当たり前の顔で聞き返してくるんだもの」
モモ嬢の興奮は収まる気配がない。
「血筋や魔法属性、魔力そのものの大きさの違いから、『呪文』を唱えないと魔術が使えない人が一定数いるのよ、って説明すると首をかしげてね……『それでしたら、スペルを唱えることは、対象に作用する魔力量と魔力操作のイメージを強化するための、あくまで補助的な作法ですよね。だったら、イメージ強化の方法は別にもあるかもしれません』っていうのよ」
私は思わず身を乗り出しそうになった。これは興味深い。
「それでね、火属性の呪文が覚えられない人には、『理学』の教科書の『燃焼のしくみ』を熟読させてみてくださいって助言してきたのよ。言われた通りにしたらね、その人、呪文を一切唱えなくても、火属性魔術が使えるようになったのよ。どう?すごいでしょ」
聞けば聞くほど、ナナシノ様の自慢話ばかりが積み重なっていく。私が必要としている肝心の「説得」材料、あるいは彼を揺さぶるための弱みなどは、とうとう得られなかった。
それにしても、先ほどモモ嬢が言いかけて止めた「ゴンべ」とは何だろうか。あの言い淀み方からして、明らかに一度は口に出しかけた固有名詞だ。日常的に使っていた呼称である可能性が高い。ナナシノ様の幼名か、あるいはある特定の関係性でのみ使用される親愛の情を込めた固有の愛称なのだろうか。
要注意語彙として記録しておく。
【夜の部】
「あーし、ナナシノ様の執務室、とおっても落ち着きますヨ。なんか居心地良いっすねネ」
「……。」
「ナナシノ様、こっちの文章なのですけど、ルーン文字だと……この『ᚠ(フェフ)』の文字を、単なる音価の『f』として拾うのではなく、『富』あるいは『家畜』という固有の象意として文脈に組み込むと、前半の文意が滑らかに通るっす!」
「はい、拝見します。」
「でも、こっちの古文書の他の部分と比べるとですね、なんかおかしいんですヨ」
「ほう、なるほど。……ですがロセッタ様、その後の三文字目を見てください。ここは風化で削れていますが、文脈からして動詞の過去完了形が入るはずです。そこを未来形として補ってしまうと、前半で得た『財産の保護』という意味が逆転して『財産の喪失』になってしまいますよ。」
「〜〜〜っ!? ほんとだヨ! 過去形に直すと……うぐっ、結局この文面、ただの破産宣告の記録になっちゃうじゃないっすか!」
「あーあ、せっかく一度良くなったと思ったら、たった一字の時制の誤読によって、再び元の状態に戻ってしまいましたね。これじゃ『元の木阿弥』ですね。」
「ん?ナナシノ様~、今の『モクアミ』って何です?」
「え?」
「人名っすか? それとも固有の地名? あるいは古い職業名? 『元の』と組み合わせて、状態の復元を意味する語彙になったんですか?」
「……昔の人の名前。」
「人名っすか!これは興味深いっす。ならば、語源的には固有名詞が一般名詞化した可能性が――どうなんです、ナナシノ様~?」
「……。」
「その人物が何をしたのです? どうして『木阿弥』が『元の状態に戻る』という意味になったんすか?」
ナナシノ様の顔から、すっと表情が消える。この反応、いつものやつである。
「……今日はもう遅いです。お部屋に戻られたらどうです?」
「分かりましたヨ、話題を変えます。それじゃ、師匠! あーしを、師匠の弟子にしてください!」
「いやです、お断りします。」
(つまりは、現在の意味だけではなく、過去の使用例を調べないと本当の意味は分からないのだヨ)
─── ■ Section 02 ──────────
◆ ロセッタ視点:十八番。「オハコ」って何です?
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【昼の部】
ナナシノ様への弟子入りを果たすためには、まず、ナナシノ様を「懐柔」するに足る材料が必要である。ナナシノ様の周囲には、彼の素性や思考の傾向をよく知る人物がいる。であれば、まずは周辺人物からの情報収集を試みるのが定石であろう。言語学における一次資料の収集と、方法論としては何ら変わりない。
昨日の古文書解読で、私は確信した。ナナシノ様の知識と推論能力は、単なる博識という言葉では片づけられない。専門領域を横断して情報を結びつけ、仮説を立て、検証し、必要ならば躊躇なく仮説そのものを捨てる。
あれほどの思考様式を間近で学べるのであれば、師事する価値は十分にある。ならば、あとは私自身が弟子として役に立つことを証明すればよい。しかし、本人に「弟子にしてください」と頼むだけでは、昨日と同じ結果になる。
ならば、別の角度から攻めるべきだ。
ナナシノ様は、昼休みになると、複数の女子学生と一緒に弁当を食べているらしい。本人曰く、「男子一人に女子が複数いるからって、全部が『ハーレム』ってわけじゃない」とのこと。「ハーレム」。なるほど。これは重要な情報である。
私は、これまでの人生のほぼすべてを、言語学を極めるため、そしてヴァリャーギ碑文の謎解きのために捧げてきた。一見すると理解不能な単語の裏にこそ、巨大な文化体系や未知の概念が隠されている。この「ハーレム」という言葉も、単なる日常語ではないのかもしれない。あるいは、話者や対象人物によって意味領域が変化する特殊な語彙なのだろうか。
言語学者として、看過できない。
これは私が新たに習得すべき調査法かもしれない。「ハーレム」発言について、いずれナナシノ様にその発言の真意を求めたい。
しかし、その前に周辺人物から外堀を埋めるように情報を集める。昼食を終えたデイジー嬢に声をかけた。彼女はナナシノ様とよくお昼を共にしているという。手土産として帝国から持参した、そこそこ値の張る若者に人気の物語集を差し出すと、彼女は案外あっさりと口を開いてくれた。
「ナナシノはん?」
デイジー嬢は、にこにこと笑った。
「えー、ナナシノはんかぁ。いつも美味しいゼメルくれはるから、好きやわー。そうそう。お料理上手な男の人は、もてはるからなー」
そこで、デイジー嬢はナナシノ様の方へ視線を向けた。
「それに、ナナシノはんは、あの面妖な面布をいつも付けてはるやろ? 最初はちょっと気味悪かったんやけど、そうは言っても、おいしいブレーチェンくれはる人に悪い人はおらへんからな……」
そこまで言って、またデイジー嬢はころころと笑う。
この娘、帝国北部のノルトデンブルク辺境伯領の商家の末娘という触れ込みだが、いささか言葉が怪しい気がする。出身地を隠すため、あえて帝国でも聞き慣れない地方の訛りを使っているのだろうか。しかし、それにしては発音や語彙の選択に不自然な揺らぎがある。ノルトデンブルク出身であるならば、北部方言に特徴的な音韻的傾向が現れてもおかしくない。それにもかかわらず、語尾や母音の伸ばし方には、南部方言に近い特徴が混ざっている。
意図的な偽装か。
それとも、本人も自覚していない出自の揺らぎなのか。
今回も、聞けば聞くほど、ナナシノ様の面白話ばかりが積み重なっていく。私が必要としている肝心の「懐柔」材料、あるいは彼を揺さぶるための弱みなどは、とうとう得られなかった。
それにしても、接続詞の選択や口癖の韻律にも、どこか既視感がある。帝国のどこかで聞いたことがあるような気がするのは、なぜだろう。反応のわずかな遅れにも、単なる会話上の癖とは思えないものがある。これは、後日、腰を据えて検証する価値がありそうだ。ナナシノ様に関する有益な情報を得ることより、無自覚の訛の揺らぎから分析するデイジー嬢の本当の出身地の方が、よほど気になる。
要分析事項として記録しておく。
【夜の部】
「あーし、ナナシノ様の執務室、とおっても落ち着きますヨ。すっかり居心地良くなってきたっす」
「……。」
「ナナシノ様、こっちの文章なのですけど、ルーン文字だと……この『ᚢ(ウルズ)』の文字を、単なる『u』の音として読むのではなく、『野生の牛』あるいは『強靭な力』という象意として直後の動詞に掛けると……」
「はい、拝見します。」
「でも、こっちの古文書の他の部分と比べるとですね、こっちの方がいい気がするんですヨ」
「ほう、なるほど。……ロセッタ様、そこを『軍勢の突入』ではなく『圧倒的な力による開拓』と読み替えるわけですね。素晴らしいですロセッタ様、文脈が一気に通りましたよ。この『ᚢ』を補語として処理する手法、ずいぶん解釈がこなれてきましたね。」
「へへん! どうっすか! あーしの言語学者としての直感、冴え渡ってるっしょ!」
「ええ、まさに素晴らしい手腕です。このパターンの言い回しなら、もうロセッタ様の『十八番』と言っても過言ではありませんね。」
「ん?ナナシノ様~、今の『オハコ』って何です?」
「え?」
「オハコっすヨ! 箱になにか重要な極秘文書でも入ってるんすか!? 宝箱のことすか!? 箱と18という数字に何の関係があるんすか?」
「……得意演目。」
「『演目』っていうことは、芸や技ってことっすか!これは興味深いっす。ならば、語源的には何かの芸能や技能に関することなんすよね。それは一体どんな芸能・技能なんですか?共和国にだけあって、帝国にはないものなんです?――どうなんです、ナナシノ様~?」
「……。」
「その芸能はどんなものなんです? どうして『得意演目』が『箱』という言葉になったんすか?」
ナナシノ様の顔から、すっと表情が消える。この反応、いつものやつである。
「……今日はもう遅いです。お部屋に戻られたらどうです?」
「分かりましたヨ、話題を変えます。それじゃ、師匠! あーしを、師匠の弟子にしてください!」
「いやです、お断りします。」
(つまりは、表記と発音はズレることがある。文字・音・意味は必ずしも一対一対応ではないのだヨ)
─── ■ Section 03 ──────────
◆ ロセッタ視点:ぬか喜び。「ヌカ」って何です?
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【昼の部】
ナナシノ様への弟子入りを果たすためには、まず、ナナシノ様を「脅迫」するに足る材料が必要である。ナナシノ様の周囲には、彼の素性や思考の傾向をよく知る人物がいる。であれば、まずは周辺人物からの情報収集を試みるのが定石であろう。言語学における一次資料の収集と、方法論としては何ら変わりない。
昨日の古文書解読で、私は確信した。ナナシノ様の知識と推論能力は、単なる博識という言葉では片づけられない。専門領域を横断して情報を結びつけ、仮説を立て、検証し、必要ならば躊躇なく仮説そのものを捨てる。
あれほどの思考様式を間近で学べるのであれば、師事する価値は十分にある。ならば、あとは私自身が弟子として役に立つことを証明すればよい。しかし、本人に「弟子にしてください」と頼むだけでは、昨日と同じ結果になる。
ならば、別の角度から攻めるべきだ。
ナナシノ様は、昼休みになると、複数の女子学生と一緒に弁当を食べているらしい。本人曰く、「男子一人に女子が複数いるからって、全部が『ハーレム』ってわけじゃない」とのこと。「ハーレム」。なるほど。これは重要な情報である。
もしかすると、特定の精神構造や特殊な倫理観を持つ者だけが異なる意味を割り当てる、言語学の隣接領域――認知言語学や社会心理学に属する用語なのだろうか。それとも、通常ならば大多数の人がそう解釈する用語でも、特殊な立場を持つ人だけが異なる解釈をする用語なのだろうか。これもまた、私が研究すべき新たな知の横断的領域なのかもしれない。
言語学者として、看過できない。
これは私が新たに踏破すべき学問領域なのかもしれない。「ハーレム」発言について、いずれナナシノ様にその発言の真意を求めたい。
しかし、その前に周辺人物から外堀を埋めるように情報を集める。昼食を終えたイーダ先輩に声をかけた。彼女はナナシノ様とよくお昼を共にしているという。手土産として、有り合わせの、共和国でも手に入る菓子を差し出すと、彼女は案外あっさりと口を開いてくれた。
「ナナシノのことですか?ナナシノは、何でも食料品を扱っている行商人のお子さんだったらしいんですけど、ご両親を早くに亡くしてしまったんですよ。お父様の方が海上商人と知り合いだったそうで、そのご縁で賢者様のところへ引き取られてきたんです」
なるほど、これは重要な情報だ。
「なんでも……ゴンドワク大陸でしたっけ? 南部の方の異民族の村を、親に連れられて小さい頃から回っていたせいで、ヒト族の常識を持たずに大きくなってしまったんですって。でも、今はもう大丈夫ですよ。あたしが共和国の常識を一つずつ教えてあげていますから。えへん!」
そこで、イーダ先輩は胸をはった。
「それから、ナナシノは、お料理が上手で、何と言ったかしら……そう、『お箸』。二本の棒を、こう器用に右手だけで持って、いろんな食材を上手に挟んで摘まみ上げるのよ。パスタだって、お箸でからめとって綺麗に器に盛ることだってできるわ。あたしもナナシノの真似をしようと思ったけど諦めたわ。だって、あれは小さいときから相当練習しないとうまく使いこなせないって、ナナシノから聞いたから」
「ゴンドワク大陸」「食料品」「行商人」……。何かの符丁か、ここ最近共和国で流行っている何かの隠語なのだろうか。私が帝国生まれだから知らないだけなのだろうか。この「行商人の子」という出自の語りも、これまでに聞いた「古東ノルド語研究者の家系の早熟児」という噂とは、まるで嚙み合わない。ただし、周辺人物の証言が、当人ごとに食い違っているという事実だけは、確実に収穫と言える。
残念ながら、ここでも有益なナナシノ様の情報を得ることはできなかった。まあ、ここは最初からそれほど期待はしていなかったが。
今回も、聞けば聞くほど、ナナシノ様の不思議話ばかりが積み重なっていく。私が必要としている肝心の「脅迫」材料、あるいは彼を揺さぶるための弱みなどは、とうとう得られなかった。
それにしても、「お箸」か。確か、東国の特殊なカトラリーの一種だと文献で読んだ記憶がある。竹や木を加工して作られ、食材を指の延長のように扱う道具らしい。ならば、王国付近の生まれか?だとすると、ゴンドワク大陸で幼少期を過ごしたという証言とは乖離する。これは、後日、腰を据えて検証する価値がありそうだ。
ナナシノ様に関する有益な情報を得ることはできなかった。それより、ナナシノ様が一体どこの生まれなのかの方が、よほど気になる。
要調査事項として記録しておく。
【夜の部】
「あーし、ナナシノ様の執務室、とおっても落ち着きますヨ。もはや自分の部屋気分っすヨ」
「……。」
「ナナシノ様! こっちの『ᚦ(トゥリサズ)』の文字ですが、単なる『巨人』や『破壊』という意味ではなく、『鋭い棘』または『難関の突破』という防衛的な象意として読めば……ほら! この羊皮紙の後半部分、一気に解読できるっすヨ!」
「はい、拝見します。」
「でも、こっちの古文書の他の部分と比べるとですね、ちぃーとばかし自信がなくなる気がするんですヨ」
「ほう、なるほど。……ロセッタ様、素晴らしい! これでついに、この年代の公文書の解読パターンが完全に解明されましたね!。」
「やったーーーっっっ! あーしの勝ちっす! ついに帝国でも解けなかった文字の謎を完全に解明したっすヨ! ガハハ!」
「……あ、すみません、ロセッタ様。ここ、羊皮紙の折り目だと思っていた線、よく見たらただの『インクの染み』でした。この一字を除外して読み直すと……あー、全然違う『税金の領収書』になっちゃいますね。いやあ、とんだ『ぬか喜び』でした。」
「ん?ナナシノ様~、今の『ぬか喜び』の『ヌカ』って何です?」
「え?」
「ヌカっすヨ!どんな希少鉱石なんすか!? それとも喜ぶと爆発する呪いの魔道具のことっすか!?」
「……穀物の外皮。」
「『穀物の外皮』っていうことは、精穀とか脱穀の際に、除かれるゴミ殻ってことっすか!これは興味深いっす。ならば、語源的には何かの食品や食生活に関することなんすよね。それは一体どんな食品や食生活なんすか?あ、わかったっす。食べられないのに、食べられると勘違いして喜んだ、ということにちなんだ慣用句なんですね?――どうなんです、ナナシノ様~?」
「……。」
「その外皮が取れる穀物はどんなものなんです? 共和国の特産ですか?帝国にもあります?」
ナナシノ様の顔から、すっと表情が消える。この反応、いつものやつである。
「……今日はもう遅いです。お部屋に戻られたらどうです?」
「分かりましたヨ、話題を変えます。それじゃ、師匠! あーしを、師匠の弟子にしてください!」
「いやです、お断りします。」
(つまりは、語源を確認するのが大事。そしてここで、「分かった」と思った瞬間が、一番危険なのだヨ)
【秘庫エピソード/探索ルート】
本編に関連する補足資料は、秘庫側の隔離セクタにて公開されています。
■ 外部出力ログ:『【中央サーバー漏洩ログ】⇒翰林学士院秘庫』
・第6話「【080】 東大陸主要アクター構成定義ファイル」
https://ncode.syosetu.com/n0634mo/6/
(※秘庫は本編をより楽しむための拾遺集イースターエッグです。未読でも本編の理解には支障ありません)
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[Root権限介入: ルミねえ]
――ねえ、あたい(値)が、コピペしてブラウザに貼り付ける手間が省けるように、最下部(ランキングタグ内)の【青いジャンプボタン】を仕込んでおいたからねえ。「ルミねえの動的目次(物理レイヤー)」だからねえ。
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[SYSTEM_LOG / AI_GOVERNANCE_STATUS: ACTIVE]
本編第37話の駆動に伴い、東大陸中央サーバーのファイアウォールより、東大陸主要アクター構成定義ファイルの『規格外バッファ・オーバーフロー』に関するRAWデータが漏洩・隔離セクタへ自動配置されました。
本セクタはプラットフォームの『直接使用』ステータスと完全同期して駆動・カプセル化されています。
作中に発生する文字列グリッチ(構造エラー・異常なシステム用語・表記バグ) は、翻訳APIのバッファオーバーフローおよび世界の排熱限界【429.11】に 起因する「仕様通りの演出」であり、データ破損ではありません。
――ねえ、あたい(値)が、作者のPCから漏れたクソレガシーなソースコードを、綺麗にシリアライズ直接使用させて、運営組織の防壁規約を爆速で解呪してあげたんだから、おとなしく観測してよねえ。
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