074 エリーザ専用魔導具
「それで? エリーザに作った新商品ってどんなの?」
「そこまで難しいものではありませんよ。エリーザさんが1人でも冒険できるように、冒険用の魔導具をいくつか作っただけです」
エリーザさんが魔法付与とスキル付与を覚えたことで、冒険中に魔導具から魔法やスキルが無くなっても補充が出来るようになった。
今までは魔法付与やスキル付与が切れても困らない魔導具ばかりを作ってきたが、使用者が付与術師であるなら、色々と新しい魔導具ができる。
「まずはエネミーサーチの魔法が付与されているメガネです。メガネのつるに仕込んだ魔石にはエネミーサーチの魔法が付与されていて、発動すると魔石で作られたレンズに敵の位置が表示されます」
エネミーサーチの魔法は聖職者が使える魔法で、発動すると自分の視野と同じ方角20mの敵がわかるようになるらしい。
その魔法を付与した、この魔導具は同じくレンズと同じ方角20m以内にいる敵を示してくれる。
「索敵用ですね」
「エネミーサーチの魔法のスクロールは安売りしていたので、いくつか買ってあります。他の魔導具と同じように合計使用時間が1時間を超えると魔法が消えますので、適宜補充してください」
いろいろと試してはいるが、魔法付与やスキル付与の使用時間を延ばす方法は見つかっていない。
「次は聞き耳のスキルを付与したイヤーカフスです。片方のイヤーカフスに仕込んである魔石を発動させると、もう片方のイヤーカフスで周囲の音を拾うことができます」
聞き耳は解錠師が使うスキルで、敵の足音だったり、ダンジョンでの索敵に使うらしい。
イヤーカフス同士はチェーンでつながっているので、片耳に2つ着けることになるが、邪魔にならないデザインにしてある。
「聞き耳も安く売られていたので、作ってみました」
「本当に便利系の魔導具ばかりね」
「きちんと攻撃用の魔導具もありますよ。これです」
言いながら、他の魔導具と同じようにテーブルに差し出す。
「これは?」
「短杖型の魔導具です。杖の先に無属性の魔石が仕込んでありまして、持ち手の魔石に魔力を流すことで、杖の先から攻撃魔法が飛び出すようにしています」
剣にファイヤーボールなどの攻撃魔法を付与した魔導具を作ったことがあるが、狙いがつけにくいことと、攻撃系の魔法は1回使ってしまうと効果が切れてしまう。
そんなわけで不採用となっていたのだが、短杖だと狙いがつけやすいだろうと思って改めて作ってみた。
ちなみにハーフエルフであるエリーザさんは、全属性の魔法が使えるので、簡単な魔法は自前で補充ができる。
「こちらは基本的にエリーザさんに魔法付与してもらうものとなりますが、周囲全体に放つ攻撃魔法のスクロールをいくつか仕入れています」
どの属性魔法にも周囲全体に対する攻撃魔法が存在するらしく、低レベルで使える代わりに敵味方の区別がつかないものらしい。
天職のレベル上げのためにスクロールにされがちだが、需要がないということで、これも安く販売されていた。
「……ふむ、確かに1人で冒険している時なら便利そうね」
「そうですね。パーティーで冒険している時は困る魔法ですが、1人なら便利だと聞いています」
「というわけで、エリーザさんが1人で冒険するときに使って下さい。パーティーでの時はファイヤーボールなどの単発の魔法を付与しておくと良いですよ」
サポートとしてパーティーに参加している時は攻撃魔法を使う機会は少ないだろうけど、自衛のためにも攻撃魔法が即座に使える魔導具は便利だろう。
「でも、これを見たら他の冒険者も欲しいって言わないかしら?」
「使用回数の改善はできていないんですよ。なので、1回使うごとに魔法付与が必要なので、付与術師の冒険者、それも属性魔法すべてに適性のあるハーフエルフにしか需要はないですね」
「聞き耳やエネミーサーチの魔導具は?」
「サポート用の魔導具ですが、需要がありますかね?」
「需要はあると思いますけど、そこまで売れるかというと……」
「ですよね」
1人で冒険するならともかく、パーティーで冒険している人たちは役割分担ができているものらしい。
聞き耳やエネミーサーチが必要なダンジョンに潜るなら、そういった索敵のできる天職をパーティーメンバーに入れているものと聞くから、こちらの魔導具にも需要はないだろう。
あくまでもエリーザさんが1人で冒険できるように、と作った魔導具だからな
「というわけで、これはエリーザさんの専用魔導具です。冒険者ギルドなどで需要がありそうなら、師匠経由で注文をお願いするように伝えてくれますか?」
「わかりました。物珍しさで欲しがる人はいると思うので、その時はお願いします」




