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075 専用の理由

「というわけで、これらはエリーザさんにプレゼントしますので、自由に使ってください」


「でも、高いのでは?」


「ほとんど手作りなので、それほど高くないですよ。魔石くらいですかね」


 メガネもイヤーカフスも短杖も、すべて錬金術の再構成で作ったものなので、鉄鉱石をいくつか使用しただけで済んでいる。

 こういった便利系の道具は需要によって値段が決まるものだが、そもそも流通させるつもりはないし、値段を付けようとも思っていない。


「ま、カズの好意なんだから貰っておきなさい。値段に関しては協会に相談してから決めることだからね」


「師匠、これも錬金術師協会に報告ですか?」


「需要はないだろうけれど、カズの作ったモノは報告義務があるからね」


 まあ、他の魔導具を作った時も言われたことだから、これは仕方がないかな。


「報告は良いですけど、エリーザさんに作ったもの以外は作るつもりがないので、量産するときは他の人にお願いしますね」


「別にいいけれど、カズは作るつもりがないの?」


「メガネや短杖は良いですけど、イヤーカフスは作るつもりがないですね。聞き耳の魔導具は悪用しやすいので……」


 エネミーサーチの魔法は敵を発見するだけだし、短杖は付与術師が使用しないと実力が発揮できない。

 だけど、聞き耳が付与されているイヤーカフスは悪用しようと思えば、いくらでも悪用できるからな。


「イヤーカフス……一番需要がありそうなんだけど」


「盗聴に加担するつもりはないので、信用できる人以外に作るつもりはないですよ」


 自分でも軽く使ってみたが、聞き耳は壁を貫通して発動するから、誰でも簡単に盗聴が可能となってしまう。

 一般人が使うだけでも問題になりそうだけど、貴族や王族がこれを手にしたら秘密の傍受など国家間の争いに使用されるだろう。


「まあ、それなら仕方ないわね。協会長に報告するときには、それも伝えておくわ」


「お願いします。……あ、エリーザさんは悪用することはないと信じていますので、自由に使ってくださいね」


「うっ……信頼が重いです」


 そうかな? 普通にエリーザさんなら悪用することはないと思っているだけなんだけどな。


「まあカズの言う通りエリーザなら変な使い方はしないでしょ。普通に使えばいいのよ」


「そうですそうです。普通に冒険で使ってもらえれば大丈夫ですよ」


 変な使い方をする人が悪いのであって、想定していた冒険に使ってもらう分には問題にはならないのだ。


「で、カズ。他には変なものは作ってないわよね?」


「変なものって……特には作ってないですよ」


 各種属性の防御魔法が付与できる盾だったり、さらに狙いをつけやすくなりそうな拳銃型の攻撃魔法を放てる魔導具を考えたこともあったが、どちらも失敗だった。

 盾の方は防御魔法が展開している間は良いが、魔法が切れた時に普通に使うと魔石が防御面にむき出しになるので危険と判断。

 拳銃型の方は攻撃魔法を付与するのが難しいのと、全方位型の魔法を付与すると重心にもダメージが入るので失敗と相成った。


「そう? それならいいけど、新しく何かを作ったら報告をお願いね」


「わかっていますよ」


「お話は終わりました? ご飯の用意が出来ましたよ」


 魔導具に関する説明をしている間も、お昼ご飯の用意をしてくれていたソフィアさんが声をかけてくる。


「ああ、すみません。手伝いますよ」


「大丈夫ですわ。……でも、悪いと思っているのなら、何か新しい料理を教えてくださると嬉しいですわね」


 新しい料理か……正直な話、前の世界でも男飯しか作っていなかったから、あんまりレパートリーがないんだよなぁ。


「そう……ですね。少し考えておきましょう」


 ソフィアさんが料理を始めてから半年以上が経っていて、初めは食材を切るのもハラハラものだったが、現在ではレパートリーもかなり増えてきている。

 とはいえ、作れるレシピはパンに合う洋食に偏っているから、煮物なんかを教えてもいいかもしれない。

 ちなみに、炊き出しとして使われ始めたお米だが、師匠が言うには公爵領では平民の主食としてはやり始めて、公爵様も気に入っているのだとかなんとか。


「ソフィアは料理の前に空間収納のスクロールの作成ね。こっちも帝城からせっつかれてるんだから」


「わかっていますわ、お姉さま」


 思いもがけずに錬金術師ギルドに集まったメンバーだが、なかなかに相性がいいのか、今日もゆるゆると過ごしている。

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