二周目の船主、俺を破産させた欠陥船をもう一度買います ~沈む場所も理由も、今度は全部知っている~
最新エピソード掲載日:2026/10/26
「そのガラクタで、うちの船に勝つつもりか?」
船商会の主人が笑う前で、十九歳のロアルは財布を開いた。買うのは、前の人生で自分を破産させた船だ。
六十七歳で生涯を終えたはずの彼は、最初の船を買う朝へ戻っていた。あの日の買い物で父の遺した金を失い、それからは雇われ船長として、他人の旗の下で海を渡った。自分の旗だけは、一度も揚げられなかった。
船が沈む場所も、その理由も、若い船大工が見落としている使い道も知っている。
「買う。ただし、その傷を隠した塗装まで、新品の値段には数えない」
まず代金を値切り、残した金で肝心の一か所を直す。笑っていた商会主の新造船を、古い船が港の出口で追い抜いた。
「今度はこの船で、港一番の船主になる」
小さな船倉でも運べる荷。大きな船が入れない港。帰り道に買えば、次の町で喜ばれる品。一便ごとに儲け、一人ずつ仲間を増やすロアルに、船大工マーリットは呆れて笑う。
「その顔で、何十年船に乗ってきたのよ」
「長い話になる。先に、出航だ」
船商会の主人が笑う前で、十九歳のロアルは財布を開いた。買うのは、前の人生で自分を破産させた船だ。
六十七歳で生涯を終えたはずの彼は、最初の船を買う朝へ戻っていた。あの日の買い物で父の遺した金を失い、それからは雇われ船長として、他人の旗の下で海を渡った。自分の旗だけは、一度も揚げられなかった。
船が沈む場所も、その理由も、若い船大工が見落としている使い道も知っている。
「買う。ただし、その傷を隠した塗装まで、新品の値段には数えない」
まず代金を値切り、残した金で肝心の一か所を直す。笑っていた商会主の新造船を、古い船が港の出口で追い抜いた。
「今度はこの船で、港一番の船主になる」
小さな船倉でも運べる荷。大きな船が入れない港。帰り道に買えば、次の町で喜ばれる品。一便ごとに儲け、一人ずつ仲間を増やすロアルに、船大工マーリットは呆れて笑う。
「その顔で、何十年船に乗ってきたのよ」
「長い話になる。先に、出航だ」
1. ガラクタの値段
2026/10/25 22:38
2. 菓子箱ひとつ
2026/10/26 13:41