表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しの悪魔は迷探偵  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/66

第63話「理科室への招待」

 終業式まで、あと二日。


 朝の教室は、

 昨日よりも落ち着いていた。


 ざわつきはある。

 でもそれは、

 “犯人探し”の熱が一度冷めたような、

 そんな空気だった。


 (……三田村の名前が出たことで、

  みんな少し満足したのか……

  でも……

  本当の犯人は……

  あんなに堂々としてない……)


 陽斗は席に座りながら、

 昨日の透子の言葉を思い返していた。


 ──“怪しすぎるのよ”

 ──“私の影が動いてるのよ”


 (白石さん……

  本当に気づいてる……

  何かに……)


 透子はいつも通り、

 静かに席に座っていた。


 でも、

 昨日より少しだけ

 “周囲を見ている”ように見えた。


 


 ──二時間目の休み時間。


 黒板の端に、

 新しい紙が貼られていた。


 《観察⑥》

 《対象:白石透子》

 《仮説:白石透子は“影”を認識した》

 《結論:白石透子は“動く準備”をしている》


 陽斗は息を呑んだ。


 (……動く準備……

  そんなこと……

  白石さんは……

  言ってない……

  でも……

  犯人は……

  そう“見てる”……)


 クラスの反応は軽かった。


 「また出てる」

 「もう飽きてきたな」

 「三田村じゃないなら誰だよ」


 疑いは広がらない。

 むしろ、

 “事件疲れ”の空気が漂っていた。


 透子は紙を見つめ、

 静かに言った。


 「……雑ね」


 陽斗は驚いた。


 「雑……?」


 「ええ。

  “動く準備”なんて、

  私の行動を知らない人の言葉よ」


 陽斗は胸がざわついた。


 (白石さん……

  本当に……

  犯人の“理解の浅さ”を見抜いてる……)


 


 ──昼休み。


 透子は弁当を食べながら言った。


 「相沢くん。

  この事件……

  “観察”から“介入”に変わるわ」


 陽斗は息を呑んだ。


 「介入……?」


 「ええ。

  そろそろ“直接的な行動”が来るはずよ」


 陽斗は胸がざわついた。


 (直接的な行動……

  それって……

  呼び出しとか……

  そういう……)


 透子は続けた。


 「今日、何か起きるわ」


 陽斗はうなずいた。


 「……一緒に見に行こう」


 透子は小さく笑った。


 「ええ。

  もちろん」


 


 ──放課後。


 昇降口に、

 新しい紙が貼られていた。


 昨日までの紙とは違う。

 文字の密度が高く、

 図も細かく、

 “本気”の気配があった。


 《白石透子へ》

 《“観察”は終わり》

 《次は“対話”の段階に入る》

 《明日 放課後 理科室》

 《あなたの“影”より》


 陽斗は息を呑んだ。


 (……来た……

  呼び出し……

  理科室……

  明日……

  放課後……)


 透子は紙を見つめ、

 静かに言った。


 「……相沢くん。

  明日、行くわよ」


 陽斗はうなずいた。


 「うん。

  一緒に行く」


 透子は紙から目を離し、

 夕陽の方を向いた。


 「“影”は……

  明日、姿を見せるわ」


 陽斗は拳を握った。


 (白石さん……

  僕が……

  一緒に解くから……)


 夕暮れの昇降口で、

 二人の影が並んだ。


 ──“観察”は終わった。

  次は“対話”。

  影が、

  理科室で待っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ