第147話「宣言」
能研ハウス――
「次の一撃で、お前の能力を封じる。」
グランの宣言が戦場に響く。
Compulsory executor――強制執行。
その瞬間。
ソウヤは全身に寒気が走るのを感じた。
「能力を……封じる?」
結衣も表情を曇らせる。
「そんなことまで……。」
惣一は静かにグランを見据えていた。
「……。」
一切動じない。
グランはゆっくりと歩き始める。
「名取惣一。」
「お前の神足通は確かに強い。」
「だが。」
「能力者である以上。」
「能力を失えば終わりだ。」
惣一は静かに息を吐く。
「そうか。」
「なら。」
「当てさせなければいいだけさ。」
次の瞬間。
惣一が消えた。
iddhi-vidha-ñāṇa――神足通。
右。
左。
上空。
一瞬で位置を変え続ける。
ソウヤですら、その動きを追えない。
「速すぎる……!」
タジがモニターを見ながら叫ぶ。
「いや!」
「速度じゃない!」
「位置情報そのものが飛んでる!」
グランは目を閉じた。
「逃げても無駄だ。」
「宣言は変わらない。」
右拳を握る。
「見つけた。」
その瞬間。
惣一が背後へ現れる。
掌底を放つ。
ドォン!!
しかし。
グランは振り向きもせず、その一撃を受け止めた。
「!」
惣一の目が僅かに細くなる。
「...読まれていたのか。」
グランは静かに笑った。
「違う。」
「結果が決まっているだけだ。」
その頃。
ペインは戦いを止め、腕を組んで二人の戦いを見ていた。
「へぇ。」
「グランが本気を出すと、こうなるのか。」
ラルゴも短く呟く。
「……強い。」
アランダも妖しく微笑む。
「さすがグラン。」
「私たちとは格が違うわ。」
一方、屋上。
ネネは両手を胸の前で握り締める。
「グラン……。」
マランは静かに戦場を見つめていた。
「惣一。」
「お前なら。」
「どう破る。」
その瞳には、敵を心配するような色が混じっていた。
ネリクマはその横顔を見つめる。
「やっぱり。」
「少し変わったね。」
マランは何も答えない。
戦場。
惣一は再び構えた。
「グラン。」
「一つ聞こう。」
「何だ。」
「お前は。」
「自分の能力を絶対だと思っているか。」
グランは迷わず答えた。
「ああ。」
「俺の宣言は絶対だ。」
惣一は静かに頷く。
「そうか。」
「ならば。」
わずかに笑みを浮かべる。
「そこがお前の弱点だ。」
グランの眉が動く。
「何?」
惣一は一歩踏み出した。
「能力を信じすぎている。」
「だから。」
「能力が通じない相手を想定していない。」
グランの笑みが消える。
「……。」
「面白い。」
「証明してみろ。」
惣一は静かに右手を前へかざした。
iddhi-vidha-ñāṇa――神足通。
周囲の空気が歪む。
大地が震える。
ソウヤたちは、その圧倒的な力に息を呑んだ。
惣一はゆっくりと口を開く。
「ここから先は。」
「本気で行く。」
その言葉と同時に、戦場全体を包み込むほどの霊圧が解き放たれた。
グランは静かに拳を握る。
「望むところだ。」
二人の激突は、ついに本当の頂上決戦へと突入する。
――第147話 完




