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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ─  作者: n217 (嘯江 新)


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144/182

第144話「猛者の対峙」

能研ハウス――


戦況は名取家の参戦によって大きく覆り始めていた。

惣一はペインを圧倒し、

刹那はラルゴを追い詰め、

夢幻はアランダの neuropastum(傀儡)を封じ込みつつある。

「くそっ……!」

ペインは血を吐きながら立ち上がる。

「こんなに押されるなんてな……。」

それでも笑みは消えない。

「でも。」

「まだ終わりじゃない。」

ソウヤが惣一の隣へ並ぶ。

「名取さん。」

「このまま押し切れます!」

惣一は首を横に振った。

「油断するな。」

「敵の統帥は、まだ姿を見せていない。」

イレイダも刀を肩に担ぐ。

「ああ。」

「あいつが来たら、話は変わる。」

その言葉に、戦場の空気が少しだけ重くなった。


一方。


ラルゴは肩で息をしていた。

刹那の幻剣による斬撃は確実に巨体を傷つけている。

「終わりです。」

刹那が静かに踏み込む。


hallucinatio gladius――幻剣。


幾重もの剣閃。

ラルゴは両腕で防ぐ。

だが、防ぎ切れない。

ザシュッ!!

ザシュッ!!

鮮血が舞う。

ラルゴは後退しながらも、初めて笑った。

「……楽しい。」

刹那は目を細める。

「戦いを楽しむ余裕がありますか。」

「なら。」

「ここで終わらせます。」


夢幻もアランダを追い詰めていた。

「人形が……!」

呪詛によって次々と動きを止められる。

アランダは悔しそうに唇を噛む。

「まさか私が押されるなんて。」

夢幻は静かに呪符を構えた。

「降参しますか。」

アランダは妖しく笑う。

「するわけないでしょう。」


その頃――。


東京郊外。

ゆっくりと降り立つ一人の男。

黒いロングコート。

赤い瞳。

グラン。

周囲の空気が張り詰める。

「ここか。」

小さく呟く。


その瞬間。


能力が静かに発動する。


Compulsory executor――強制執行。


「これより。」

「能研壊滅作戦を、私が執行する。」

その宣言だけで、空気が変わった。


能研ハウス。

突然――

ゾクリ……

ソウヤの背筋に悪寒が走る。

「何だ……。」

イレイダも顔を上げる。

「この嫌な感じ。」

惣一だけは静かに遠くを見つめていた。

「来たか。」

ソウヤが振り返る。

「名取さん?」

惣一は静かに答える。

「あぁ。マスタークラウン統帥。」

「グランだ。」

その名前が戦場へ響く。


屋上では、マランもゆっくりと目を開いた。

「……来る。」

ネネは俯く。

「グラン。」

ネリクマは遠くを見据える。

「いよいよ、本命だね。」


能研ハウスから数百メートル。

ゆっくりと歩いてくる一人の男。

その姿を見たペインが笑う。

「やっと来たか。」

ラルゴも戦いを止める。

アランダも静かに微笑む。

三人は自然と道を開けた。

グランはゆっくりと歩き続ける。

一歩。

また一歩。

その姿には焦りも隙もない。

惣一も静かに前へ出る。

「ソウヤ。」

「イレイダ。」

「ここから先は、私が前へ出る。」

ソウヤは拳を握り締める。

「でも……!」

惣一は微笑んだ。

「安心しろ。」

「私は負けないことで有名でね。」


能研とマスタークラウン。

その命運を左右する二人が、ついに真正面で向かい合った。

グランが静かに笑う。


「名取惣一。」


惣一も静かに見据える。


「待っていたよ。」


世界最強クラスの能力者同士による戦いが、今、幕を開ける。


――第144話 完

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