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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ─  作者: n217 (嘯江 新)


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143/179

第143話「最強の統率」

能研ハウス――


轟音が絶え間なく響く。


惣一とペイン。

刹那とラルゴ。

夢幻とアランダ。


三つの戦場は、もはや周囲の景色を変えるほどの激戦となっていた。


「ハァァァァッ!!」

ペインが咆哮を上げる。


bloodbath Slaughter――殺戮真化。


凄まじい速度で惣一へ肉薄する。

右拳。

左拳。

膝蹴り。

回し蹴り。

息をつく暇もない連撃。

しかし――

惣一はすべてを紙一重でかわしていく。

「……。」

表情一つ変えない。

「どうした。」

「それで終わりか。」

ペインは歯を食いしばる。

「まだだぁぁぁ!!」

さらに速度を上げる。

ドォォォォン!!

拳が惣一の胸元を狙う。

だが、その瞬間。

惣一の姿が揺らいだ。


iddhi-vidha-ñāṇa――神足通。


拳は虚空を貫く。

「また……!」

次の瞬間。

惣一はペインの真横へ現れていた。

「隙だ。」

ドゴォッ!!

肘打ちがペインの脇腹へ突き刺さる。

「ぐっ!」

ペインは大きく吹き飛ばされる。

「今です!」

惣一が叫ぶ。

ソウヤとイレイダが同時に動く。

「おおおおぉぉッ!!」

ソウヤの拳。

イレイダの蹴り。

二人の攻撃が同時に炸裂する。

ドォォォン!!

ペインは両腕で防御するが、そのまま地面を滑っていく。

「チッ……。」

口元から血が滴る。

「連携まで完璧か。」


一方。


ラルゴは全身に傷を負いながらも立っていた。

刹那は静かに剣を構える。

「これで終わらせます。」


hallucinatio gladius――幻剣。


無数の幻影がラルゴを包み込む。

「全部……。」

ラルゴは巨大な拳を振り回す。

「壊す!」

ドォォォォン!!

幻影が砕け散る。

しかし、本物は――

「こちらです。」

ザシュッ!!

刹那の一撃がラルゴの背中を深く斬り裂く。

ラルゴが初めて片膝をついた。

「……強い。」


夢幻とアランダ

「動きなさい。」

アランダが指を動かす。


neuropastum(傀儡)。


残る人形たちが夢幻へ襲い掛かる。

夢幻は静かに呪符を取り出した。


「縛れ。」


exsecratio Carmen――呪詛。


黒い呪符が人形へ巻き付く。

ガシャン。

ガシャン。

人形たちは次々と動きを止めた。

アランダが驚く。

「全て……止めるなんて。」

夢幻は穏やかに微笑んだ。

「あなたの能力は優秀だ。」

「しかし。」

「操る者自身が縛られれば、操り糸も意味を失う。」


屋上

ネネは今にも泣きそうな表情だった。

「みんな……。」

マランは黙って見つめる。

グランの命令。

仲間。

そしてネリクマ。

様々な思いが胸を巡る。

ネリクマが静かに口を開いた。

「未来は、自分で決められる。」

マランは何も答えなかった。


その頃。


東京へ向かう黒い影。

「名取惣一を殺す。」

グランが静かに呟く。

その言葉に迷いはなかった。


戦場まで――あとわずか。


能研ハウスでは、誰もまだ気付いていない。


最悪の敵が、自ら戦場へ向かっていることを。


――第143話 完

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