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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ─  作者: n217 (嘯江 新)


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141/187

第141話「優れ者たち」

能研ハウス――


戦場に静寂が訪れる。

ペイン。

ラルゴ。

アランダ。

三人のマスタークラウン幹部が、初めて目の前の相手を警戒していた。

惣一は静かにソウヤの前へ立つ。

「立てるか。」

ソウヤは血を拭いながら頷く。

「はい。」

「なら十分だ。」

惣一はそれだけ言うと、再びペインへ視線を向けた。

ペインは笑う。

「お前。」

「今までの奴とは違うなぁ。」

「名前は?」

惣一は静かに答えた。

「名取惣一。」

「陰陽道御三家、名取家当主継承者。」

ペインは嬉しそうに笑う。

「いい。」

「最高じゃん。」

「だったら、お前から殺す。」

拳を握る。


bloodbath Slaughter――殺戮真化。


轟音と共に地面を蹴った。

「速い!」

ソウヤが叫ぶ。

しかし。

惣一は動かない。

ペインの拳が目前まで迫る。

その瞬間。

スッ――。

惣一の姿が消えた。

「……!」

ペインの拳は空を切る。

次の瞬間。

惣一はペインの真後ろに立っていた。

「後ろだ。」

ペインが振り返る。

惣一は手のひらを軽く押し出しただけだった。

ドォン!!

「がっ!」

ペインの身体が一直線に吹き飛び、何本もの街路樹を薙ぎ倒して止まる。

イレイダが思わず口笛を吹く。

「すげぇ……。」

「空間移動か?」

ペインが立ち上がる。

惣一は首を横に振る。

「違う。」

静かに能力を発動する。


iddhi-vidha-ñāṇa――神足通。


「俺は。」

「思い描いた現象を現実にする。」

その言葉に、ペインの笑みが深くなる。

「いい能力だ。」

「奪いたいくらいだ。」


一方。


刹那とラルゴ

「行きます。」

刹那が剣を構える。


hallucinatio gladius――幻剣。


幾重もの幻影の剣が現れる。

ラルゴは眉一つ動かさない。

「全部。」

「壊す。」

巨大な拳を振るう。

ドォォン!!

しかし砕けたのは幻影だけ。

「……?」

本物の刹那は既に背後。

「遅いです。」

ザシュッ!!

ラルゴの背中へ鮮やかな斬撃が走る。

「……。」

ラルゴは静かに振り返った。

「面白い。」


別の戦場

夢幻はアランダを見つめる。

「あなたの人形。」

「よく出来ている。」

アランダは微笑む。

「ありがとう。」

「でも。」

「褒められても手加減はしないわ。」

人形たちが一斉に襲い掛かる。

夢幻は静かに右手を掲げた。

「なら。」

「こちらも。」

黒い呪符が宙へ舞う。


exsecratio Carmen――呪詛。


呪符が人形へ貼り付く。

「止まれ。」

次の瞬間。

人形たちの動きが一斉に鈍くなる。

「何……!」

アランダが初めて驚きの表情を見せた。

「呪い……。」

夢幻は穏やかに微笑む。

「呪詛は。」

「人だけに効くものじゃない。」


屋上

ネネは目を丸くしていた。

「強い……。」

マランも静かに呟く。

「これが。」

「名取家。」

ネリクマは笑う。

「だから言ったでしょ。」

「簡単には負けないって。」

マランは何も言い返さなかった。

その視線は惣一だけを見つめていた。


マスタークラウン本部

グランは静かに立ち上がる。

「惣一。」

「お前は。」

「やはり障害になる。」

その目に宿る狂気がさらに深くなる。


「なら。」

「俺が直々に消してやる。」


グランはゆっくりと玉座を降りた。


ついに――

マスタークラウン統帥が、自ら動き出そうとしていた。


――第141話 完

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