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Psycer Brain ─ 神に抗え。その力で運命を変えろ─  作者: n217 (嘯江 新)


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140/182

第140話「参戦」

能研ハウス――


戦いは限界を迎えつつあった。


ソウヤは肩で息をし、血を流しながら立ち上がる。

イレイダも軍帽を被り直し、刀を握り締めた。

雛儀は帝凰剣を支えに呼吸を整え、

燕たちもアランダの人形に囲まれ続けている。

能研は、確実に追い詰められていた。


「終わりだ。」

ペインが静かに呟く。


bloodbath Slaughter――殺戮真化。


地面を蹴る。

ドォォォォン!!

一直線にソウヤへ迫る。

「ソウヤ!!」

結衣の叫び。

ソウヤは拳を構える。

(間に合わない――。)

その瞬間だった。

ヒュン――。

風が吹いた。

ペインの拳が止まる。

「……?」

目の前には、一人の男が立っていた。

黒い和装。

静かな眼差し。

右手だけで、ペインの拳を受け止めている。

「な……。」

ペインの表情が初めて驚きに変わった。

男は静かに口を開く。

「人の命を弄ぶとは。」

「感心しないな。」

ソウヤが目を見開く。

「名取さん……!」


名取惣一だった。


「よう。」

イレイダが笑う。

「来てくれたか。」

惣一は振り返らず答えた。

「遅れてしまった。」

「すまない。」

ペインは拳を引こうとする。

しかし――。

動かない。

「何……?」

惣一の握力だけで、拳が完全に止められていた。

「馬鹿な……。」

惣一は静かに手を離す。

「退け。」

それだけだった。

「ハッ!」

ペインは笑う。

「面白い!」

「お前、強いな!」

再び踏み込む。


bloodbath Slaughter――殺戮真化。


今度は連撃。

だが。

惣一は最小限の動きだけで、すべてを受け流していく。

「嘘だろ……。」

タジが息を呑む。

「ペインの速度に……全部対応してる。」


別方向。


ラルゴが巨大な拳を振り上げる。

「壊す。」

その瞬間。

「そこまでです。」

凛とした女性の声。

キィィィィン!!

ラルゴの拳が止まる。

受け止めたのは。

千藤院刹那。

幻の剣がラルゴの拳を受け止めていた。

「あなたの相手は。」

「私です。」

ラルゴは静かに刹那を見る。

「……強い。」

刹那は微笑む。

「刹那さん!ありがとうございます。」

「ですが。」

「負けるつもりはありません。」


さらに。


アランダの人形たちが一斉に止まる。

「え?」

結衣が驚く。

その背後から。

「遅くなりました。」

穏やかな声。

夜鳴鵺夢幻が歩いてくる。

「ここから先は。」

「私も混ぜてもらおう。」

アランダは妖艶に笑う。

「あなたもお人形になりたい?」

夢幻は首を横に振る。

「遠慮しておく。」

ゆっくり右手を前へ出した。

「代わりに。」

「呪わせてもらう。」

アランダの笑みが消える。


能研メンバーは、突然現れた名取家の三人を見つめていた。


ソウヤが小さく笑う。

「助かった……。」

惣一は静かに頷く。

「まだ終わっていない。」

「ここからだ。」

遠く離れた地下要塞。

グランはモニター越しに惣一の姿を見つめていた。

「名取惣一……。」

その名を静かに口にする。

「やはり。」

「お前が来たか。」

口元がゆっくりと吊り上がる。

「面白い。」

「これで盤面が揃った。」


そして屋上では。

マランが惣一を見つめ、小さく呟く。

「歴代最強の名取家当主候補……。」

ネリクマもその姿を見て笑った。

「ようやく、本命の登場だね。」


能研。

名取家。

マスタークラウン。


三つの勢力が激突する、本当の戦いが始まろうとしていた。


――第140話 完

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