第138話「孤立戦線」
能研ハウス周辺――
アランダの作戦は成功していた。
ソウヤとイレイダ。
雛儀。
燕、結衣、小雨、柚季。
それぞれが完全に分断され、互いの援護が届かない。
遠く離れた地下要塞で、その様子を見つめるグランは静かに笑う。
「いい。」
「これで能研の強みは消えた。」
第一戦場
ソウヤ・イレイダ VS ペイン
「さぁ!」
「第二ラウンドだ!」
ペインが地面を蹴る。
bloodbath Slaughter――殺戮真化。
ドンッ!!
一瞬でソウヤの目前へ現れる。
「速い!」
拳が放たれる。
ソウヤはレイの感覚を頼りに身をひねる。
「イレイダ!」
「任せろ!」
イレイダが横から飛び込み、刀でペインの拳を受け流す。
火花が散る。
「まだまだ!」
ペインは勢いのまま回し蹴りへ繋げる。
「くっ!」
イレイダは刀を盾にする。
ガァン!!
衝撃で数メートル後退する。
ソウヤはその隙を逃さない。
「はぁぁぁぁ!」
渾身の拳。
ドゴォッ!!
ペインの腹部へ命中する。
「……!」
ペインは数歩下がるが、すぐに笑った。
「いい一撃だ。」
「でも。」
「まだ足りない。」
第二戦場
雛儀 VS ラルゴ
「終わり。」
ラルゴが巨大なコンクリート片を持ち上げる。
そのまま振り下ろす。
「っ!」
雛儀は帝凰剣で受け止める。
ズガァァァン!!
地面が陥没する。
「なんて力……!」
雛儀は歯を食いしばる。
「だが!」
帝凰剣を滑らせ、力を受け流す。
そのまま踏み込み、一閃。
ザシュッ!!
ラルゴの肩から胸にかけて傷が走る。
ラルゴは傷を見つめ、静かに呟いた。
「また。」
「斬られた。」
雛儀は剣を構える。
「今度は倒す。」
第三戦場
燕・結衣・小雨・柚季 VS アランダ
「ふふ。」
アランダは優雅に微笑む。
「みんな離れちゃったわね。」
燕が睨みつける。
「あなたの狙いだったんですね。」
「ええ。」
「ようやく完成したもの。」
アランダが指を動かす。
neuropastum(傀儡)。
人形たちがさらに複雑な陣形を組む。
「結衣さん!」
燕が叫ぶ。
「絶対に離れないでください!」
「うん!」
しかし、その直後。
一体の人形が結衣の背後へ回る。
「しまっ!」
柚季が飛び込む。
Aviator(飛行)!
結衣を抱えて上空へ退避する。
だが、それで再び距離が開いてしまう。
アランダは笑った。
「ほら。」
「また離れた。」
屋上
ネネは戦場を見つめ、小さく呟く。
「……みんな苦しそう。」
マランは腕を組んだまま答える。
「グランの狙い通りだ。」
「連携を奪われれば、能研は苦しい。」
ネリクマが口を開く。
「でも。」
「まだ誰も諦めてない。」
マランも静かに頷いた。
「ああ。」
「だからこそ……厄介なんだ。」
その頃。
マスタークラウン本部
グランは立ち上がる。
「そろそろか。」
通信機を手に取る。
『ペイン。』
『聞こえてるよ。』
「時間を掛けるな。」
「能研を壊せ。」
ペインは笑った。
『了解。』
通信が切れる。
グランは静かに玉座へ腰を下ろす。
「終わらせろ。」
「ペイン。」
通信を終えたペインの表情から笑みが消える。
「命令だ。」
「ここからは遊びじゃない。」
ソウヤとイレイダが構える。
ペインはゆっくりと拳を握る。
bloodbath Slaughter――殺戮真化。
禍々しい闘気がさらに膨れ上がる。
「本気で。」
「殺す。」
能研最前線。
最強の肉体能力者が、ついに"遊び"を終えた。
――第138話 完




