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僕が死ぬとき、世界は無に還る ―自覚なき刻術士のやり直し無双―  作者: 七鳳


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第27話 暗闇の目撃者

路地裏に落ちる街灯の影が、ゆらりと揺れた。

待ち構えていたワディは、両手を広げて大袈裟な仕草で肩をすくめてみせる。


「そんなに殺気立たないでくださいよ。無事にお戻りになられたようで、何よりです」


「とぼけるな」


アヤが鞘から剣を三分ほど抜き、冷徹な刃先を街灯の光に反射させた。


「あの『清掃依頼』の正体が何だったか、知っていて私達を送り込んだのだろう。新王の兵士たちが囲っていた違法麻薬畑……一体どういうつもりだ?」


「おやおや、手厳しい。僕はただ、お仕事を紹介したまでのこと。中身がどうあれ、裏ギルドのルールに従って処理していただくのが『清掃人』の務めでしょう?」


どこまでも他人事を決め込むワディの笑みには、相手を見下すような悪意が隠しようもなく滲んでいた。リリアがセナを庇うように一歩前へ出て、ワディを強く睨みつける。


「あなた、最初から私達をハメるつもりだったのね……! 新王の兵士と相打ちにでもさせる気だったの!?」


「まさか。僕はただ……あなた方が『どこまで使えるか』試させていただいただけですよ」


ワディは嘲笑うように口元を歪めると、セナたちをゆっくりと見回した。


そして、リリアの肩に重く体重を預け、荒い息を吐くセナの上に視線が留まった瞬間。


ワディの薄笑いが、ぴたりと止まった。


(……ほう?)


ワディの瞳の奥で、底暗い光が走る。

立っているのがやっとのセナ。だが、その醸し出す雰囲気はダンジョンへ向かう前とは明らかに変わっていた。そして何より――セナの身体から漏れ出す刻術に、あの男の異質な力が混ざり合っている。


(なるほど……ちゃんと『彼』に会えたわけだ)


ワディの口元が、酷く愉悦に満ちた歪みを描いた。セナたちが生還したことにも、その身に起きた異変にも、すべて合点がいったという顔だ。


「……セナ。短時間の間に、ずいぶんと『面白いお土産』をもらって来られたようですね?」


ワディの声から軽薄さが消え、含みを持たせた不気味な響きが混ざる。セナはリリアに支えられながら、力強い視線でワディの目を睨み返した。


「……関係ない」


「ふむ……まあ、今はそういうことにしておきましょうか」


ワディは胸元から厚みのある一通の封筒を取り出すと、路地裏の石畳の上へ放り投げた。


「今回の報酬です。……ああ、それと。その封筒の中には次の依頼書も一緒に入れておきました」


「次の依頼……?」


アヤが警戒を強めると、ワディはくすりと不気味に笑った。


「ええ。今回の『清掃』の成果を見越してか……あるいは最初からそう決まっていたのか。あなた方を『名指し』で指名した依頼が、わざわざ届いていましてね」


「私達を、名指しで……!?」


エルナが息を飲む。自分たちの正体や動きを把握した上で、ピンポイントで指名してくる謎の依頼主。


「受けるか受けないかはあなた方次第ですが……受けていただけると僕は非常に助かりますよ。……それでは」


ワディは嘲笑を残し、闇の中に身を引くようにして姿を消した。


残された四人の間に、重苦しい静寂が落ちる。

石畳の上に転がる封筒。そこには報酬だけでなく、セナたちを次なる泥沼へと引きずり込もうとする「名指しの指名依頼」が眠っていた。

やはりお話を書くのは楽しいことだ

これからどうなっていくんでしょうね

最近セナの戦闘シーンがないですね


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