第26話 暗雲と予期せぬ再会
不気味に広がる地下の栽培所が、静かに崩れ去っていく。
残された惨劇の跡と違法植物を完全に消し去るため、リリアが土魔法を詠唱していた。緑色に狂い咲いていた不自然な植物たちが、魔法の光に包まれると同時に急速に朽ち果て、ただの黒い土へと還っていく。密閉された地下空間で火を使えば煙で窒息する――そのリスクを避けた、最も確実で静かな消滅だった。
アヤが周囲を警戒する傍らで、セナは壁に背を預け、激しい呼吸を整えている。あの男に額へ触れられた瞬間から、体内の『刻術』の回路が不気味な熱を帯び、過剰な全能感と激しい疲労が交錯していた。指先ひとつ動かすのすら重い。
黒い土塊へと変わりゆく畑を見つめていたエルナが、ふと眉をひそめて呟いた。
「……おかしいわ。ここは新王の兵士たちが資金源にしていた場所よ。なぜ裏ギルドに、ここを潰させるような『清掃依頼』が出されたのかしら?」
その言葉に、剣を構えていたアヤが振り返る。
「新王派の内部抗争……あるいは、裏ギルドの中に新王を追い落とそうとしている何者かがいる、ということか?」
「ええ。それか、私たちをここに誘い出すために誰かが仕組んだ罠……」
エルナの懸念はもっともだった。自分たちをこの「清掃」に送り込んだ人物の意図が、一気に不気味さを増していく。
「……話は後よ。とにかく一度脱出しましょう。セナ、肩を貸すわ」
荒い息を吐くセナの異変に気づいたリリアが素早く寄り添い、その肩を支える。
刻術
アヤとエルナも頷き、四人は最下層の隠し扉を抜け、土の匂いが満ちる暗い通路と長い階段を急ぎ足で上った。
洞窟を抜け、ようやく地上――夜の冷たい空気が満ちる街の路地裏へと這い出す。冷気に触れ、セナを支えていたリリアが安堵の息を漏らした、まさにその瞬間だった。
「おや、思いのほか早いお帰りですね?」
暗がりから、ぬっと影が揺れた。
街灯の薄明かりの中に立っていたのは、あの掴みどころのない笑みを浮かべたワディだった。
まるで最初から、四人がここへ戻ってくる時間を知っていたかのように。
「――っ!?」
セナを庇うようにアヤが瞬時に前に出で、刃に手をかける。
あまりにもタイミングが良すぎる再会に、路地裏の空気が一瞬で氷のように冷え切った。
本当にお久しぶりです。
書く書く詐欺申し訳ないです
ちゃんと書いていきますのでどうぞよろしく




