9話 記憶と戦闘力と体があるの、普通に助かるわぁ。
9話 記憶と戦闘力と体があるの、普通に助かるわぁ。
得られた情報は、断片的で、しかも、あまりにも歪だった。
だが、何もない状態から比べれば、これは間違いなく前進だった。
(さて、とりあえず……ラッキの城にでも行くか……)
小さな足で、センは再び歩き出す。
全ての問題解決に繋がる糸口を求めて。
★
森の中を走りながら、さっき身ぐるみ剥がしたばかりの戦利品を確認していく。
アイテムボックスから、出したり戻したりしながら、使えそうなものはその場で装備。
走りながらなので、だいぶせわしない。
(ランク5以下の魔カードが数枚……金が2万3000エン、と)
エンがこの世界の通貨単位だということは、突入前の事前調査で頭に入っている。
事前に調査していたことが、役に立ってくれている。
どこにどんな町があって、どのへんにどんなモンスターがいて……などなども一応把握できている。
(ゴミみたいなクオリティの剣に盾……食い物が少々……まあ、良くはないが、悪くもないスタートかな)
剣は刃こぼれ寸前、盾は縁が歪んでいる。
山賊の所有物だけあって、お世辞にも上等とは言えない代物だが、どれも、ないよりはマシ。
(記憶と戦闘力と体があるの、普通に助かるわぁ……てか、前の俺は、それら全部がない状態で、よくやってたな。もしかしたら、俺はちょっとすごいのかもしれない。……普通の視点だと、存在値が2になって3歳児になっているっていう今の俺の状況でも、だいぶやばいもんなぁ)
走りながら、センは、心の奥底で、
――配下たちは、本当に無事なのか。
と、そんなことを考える。
山賊たちの話が本当なら、少なくともトウシは『昔からこの世界にいる有名人』として扱われている。
トウシは天才で高潔な男。
トウシがトップ層にいるのであれば、この世界の治安は、調査時よりも劇的によくなってしかるべき。
正直、安心できる要素の方が大きい。
しかし、情報が足りない現状だと、それも絶対ではない。
大事な配下が、もしかしたらピンチかもしれない……そう考えると胸が爆散しそう。
おそろしく過保護な親心。
(現状をはっきりさせたいな……)
1・百年以上、気絶してた説。
2・『トウシたちが昔からラッキの配下だった』と、この世界の人間の記憶が弄られている説。
3・『トウシたちがセンの知り合い・配下である』というのがセンの思い込みだった説。




